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方言娘

 私が始まりの街に向かう理由はただ一つで、ここは雑魚しか出ないだろうという予想から。

 というのも、イベント限定モンスターにはもちろんボスもいて、ボスはやはり超強力。さすがにボスを狙っていたら時間が足りない。

 だがしかし、王都や解放されているエリアで狩っているとボスに出くわす可能性があるとなると、さすがにここでしか狩れない。


 私が欲しいのは一応ある。アクセサリーで、防御とか関係ない、ただただ見た目だけを変える装備の互換装備と呼ばれるもの。

 その互換装備はものすごく、見た目がいい。夏だからか、ビキニの互換装備や、白装束、ゴーストプリンセスの装備と呼ばれる黒いゴシックドレスみたいなのがある。

 私はゴーストプリンセスの装備が欲しくて、ポイントを集めていた。引き換えるポイントは250。間に合わないポイントではない。


「なんでイベント開催期間中に予定ばっか入ってんの」


 多分、フルでやれるのが今日ぐらいだ。

 なので、今日一日で交換までして、ガチャの動画を撮って、防具紹介の動画も撮らねば。忙しい忙しい。


「あと少し……」


 時間は午後11時10分。

 ぎりぎり日付をまたがないで済みそうだ。私は手を休めず狩り続けていた。魔物が出てきて、私は双剣を握りしめ切りかかったとき、魔物が背後から何者かの攻撃を受けたのか、私のほうに吹き飛んできた。


「やったべ! 倒したあー!」

「なんだ?」


 初期装備の高校生くらいの女の子が杖を持っていた。両手を天に掲げ、喜んでいる。これは獲物を横取りされたと解釈してもいいよなぁ。

 私はしょうがないので声をかけようとすると。


「ちょ、ちょっとミツキ……。あれあの人が倒そうとしていた魔物だよ……。横取りは嫌われるんだよ……」

「そうなんか!? 謝るしかねぇべ……」


 女の子は私の前に立ち、深々と頭を下げる。

 連れ添いの女の子もいっしょに頭を下げてきた。


「ごめんなさい。私が教えておけばよかったです」

「ごめんなせえ。あんたの魔物横取りしちまった」

「ん、いいよ」


 まだ魔物は狩れるし。

 それにしても……。ミツキと呼ばれた女の子はすごい方言だな。


「方言すごいね。どこの人?」

「わたすですか? わたすはどこって言われても……」

「結構土地渡り歩いているんで、その土地の方言が移りに移って変な口調になってるだけです」

「そうなんだ」

「わたす影響受けやすくてなぁ。使ってるうちになんだかわかんなぐなっちまって。でも、これがわたすのあいでんててえだと思って生きてたら気にならなぐなったんです」

「老人特有のディがでえになってる」


 老人口調も混ざってんの。すんげえ特殊な人……。

 世界はやっぱ広い。


「んじゃ、ま、ここで会ったよしみだし、少し一緒に狩る? 初心者でしょ? いろいろと指南してあげるよ」

「いいんですか? 見た感じ、ものすごく上手そうな方でしたので戦い方の指南をしていただけるのはうれしいです!」

「よろじぐおねがいしやーす!!!」

「警戒心ないね二人とも……。ま、変なことはしないけど……。私はじゅんぺーっていうんだ。二人の名前を聞いていい?」

「私はウヅキっていいます」

「わたすはミツキ!」


 ウヅキはプレイヤーネームっぽいけどミツキは本名くさい。

 まぁ、一応そういうネットマナーとかはわきまえて……いるのだろうか。わからないな。


 私はミツキって本名って直球で訪ねてみる。すると、そうだという答えが返ってきた。

 本名プレイ、か。悪くはないけど、ネットにおいて本名プレイというのは自分の個人情報を一つ晒上げているようなものだからなー。私の場合は別に顔も本名もすでに割れてるし構わないけど……。

 こういう本名プレイの何がいけないかって、害悪プレイした時に、その自分の名前がついていじられたりしたり、ひどい人は方言とかを見抜いて住所を特定するっていうやつもいなくはない。

 住所特定は本当に少ないが。


「ネット始めてかは知らないけど……。本名プレイはあまりしないほうがいいよ。もう遅いけど、本名じゃないって名乗るべきだよ」

「そうなんですか?」

「ネットは恐ろしいからね。本名プレイは顔がすでに割れている人とかならいいけど、一般の人がやるとちょっと怖いものもある」

「……うぐぅ。作り直したほうがいいんだべか……」

「いや、そこまでする必要はないと思うけど。とりあえず、ネットマナーについてはあとで教えてあげるよ。狩りにいこうか」


 私は二人を促し、戦いの場へ向かう。









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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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