鬼時間 ①
ゲームが発売されて二週間が経過した。
二週間も経過したとなると、装備だって整えているやつもいるし、料理系の職業などを開拓した奴もいる。
「第二ボス、攻略!」
私は双剣を手にして次のボスを倒していた。
このボスを倒すことで王都に行けるようになるらしい。蒸気機関車の線路の上をこのぐうたら熊が立ち往生していていけなかったということだ。
「……なんか気配がするな」
私は人の気配を感じ取っていた。
『なんかあの茂みの背後にいない?』
『あの茂みに人影あるな』
『PKか?』
『あー、あるかもな』
あの茂み。
多分私の目の前にある森につながる道の横にある茂みだろう。
私はとりあえず茂みを覗き込もうとしたとき、私の目の前に剣が突き出され、私は危なく躱す。
「なんだ?」
「ちっ。当たんなかったか……」
ガラの悪そうな男は茂みから出てきたかと思うと剣を構える。
見た目は高校生くらいか。剣で人を切ろうとしているということはPKだろう。
「死ね!」
「死なせたいなら気持ちよくさせろ!」
『お前がでいいんだよそこは』
『気持ちよくさせる意味ねえ!』
剣を振り下ろす男。
私は左手の剣で受け止め、右手の剣で相手の脇腹にブッ刺した。
私を振り解こうとする男。
「いきなり殺そうとしてきて死にたくないってのはなしだよ。お互い、イこっか?」
「くそ! ムカつく! 何で俺は……」
「さ! 共にイクぞ!」
男は死に、消えていく。
私はそのまま取り残されてしまった。
「なぜ私を置いて先にイクんだ」
『そりゃあんた攻撃受けてないじゃんwww』
『ダメージ受けなかったらしぬこともないんだよ?』
『草』
『でもそういうおふざけ抜きにしてもPKいるんだ。旨味ないじゃん』
PKな。確かにいるんだという驚きがある。このゲーム、PKやる旨味はほとんどない。殺してアイテムを奪えるだとか、経験値が貰えるといったものはなく、ただただデスペナが重くなるだけ。
「PKは……まぁ、人の邪魔とかしたい奴がやるんだろなあ」
私はそう言い残し、早速王都へ向かおうとしたときだった。
突如としてアナウンスが響き渡る。
《鬼時間が開始します》
《プレイヤーの皆様は鬼にキルされないよう気をつけてくださいませ》
《鬼時間ではレアドロップや鬼の固有素材などが手に入ります》
ということを言われた。
『鬼時間?』
視聴者も鬼時間というものが気になるようだ。
すると、私の背後に突然、赤い鬼が現れていた。赤い鬼は金棒を振り下ろしてきたのだった。




