同窓会 ①
宅配便は私が頼んでいたものだった。
中にはネットで頼んだ漫画などなど。いろいろ生活必需品とか。
そして、ポストには一通のはがきが入っており、同窓会のお知らせと書かれた紙が入っている。7月6日に帝国ホテルの広間を貸し切り同窓会を行いますということ。
参加するんだったらこの紙をもって同窓会の会場に来てほしいということだった。中学生の同窓会。なんなら今日やるらしい。今初めて知った。
とりあえずいってみるか。暇だし?
私はとりあえずラフな格好で同窓会の会場である帝国ホテルへ向かうのだった。
会場に着くと、もう数人は来ているようだ。
私は受付の人に紙を見せて参加させてもらう。こういうのに参加したら雑談のネタになるからな。ネタ探しとかは大事なんだ。
私が中に入ると、スーツを着た男たちとかがべらべら話していた。
「あ、もしかしてじゅんぺー?」
と、一人の男がこちらに気づく。
「うん」
「きれいになったなー」
「うん」
そりゃ大人になったらもっときれいになるだろうに。
一応、見た目とかは気にしないといけない職業だから清潔感は保ってる見た目にしてるけど。
「今何してんの?」
「動画投稿者」
「へぇ。儲かる?」
「ぼちぼち」
目の前にいるのは安生 博文。
昔はゲームが好きなイケメンオタク。今でも多分そうなんだろうけど……。
「ねぇ。こっち来て話そうよ」
と、安生が私の手を引く。
会場の外に出て、安生はものすごく長い息を吐いた。
「やべえ、同窓会が皆のマウント取る場になってる」
「やっぱり?」
「やれ上場企業に就職してるだのえらい立場にいるだのものすごく稼いでるだの……。凄い鬱陶しいことこの上ない……」
「オタクには疲れるよね」
「わかってくれるか、同志」
「まだ同志って呼ぶの私を」
昔からこいつは私のことを同志って呼ぶ。オタク仲間だからだろう。
「マウントしてきても困るから一応ピシッとしたスーツ着てきたってのに……。もー疲れたぁ」
「……今安生ってどこで働いてんの?」
「親父の知り合いが社長やってて人手不足だからってそっちの会社に入った。残業は時たまにあるけど働きやすい会社でさ」
「おー」
「でも、中小企業だからさ……。やっぱりマウントとか取られるとむかつくわけ。まじでマウントとってくる自尊心の塊しかいないから気を付けたほうがいい」
もうそれだけで同窓会の場が地獄かわかる。
昔を懐かしむわけでもなく、ただただ昔の同級生にマウントを取りたがっているだけ。これが地獄絵図ってやつですね。
「動画投稿者だなんて聞いたらもっとマウントとってくるよ絶対」
「だよねー。ま、でも、多分私はそいつらよりは年収多いから大丈夫」
「……何してんのそれ」
「チャンネル登録者数、200万いる大手配信者だよ私って。そんじょそこらより年収とかやりがいとかあるからねぇ。私の戦闘力は200万ですってか」
「フリーザさんやめろ」
「フリーザっていい上司だよね……。ミスしてもやり直す猶予くれたりとか……」
「わかる。どんな相手にも丁寧語で話すしな」
なんかオタトークが始まりそう。
「ま、会場に戻ろうよ。せっかく来たんだし料理とかつまんで帰ろうか」
「そ、そうだな」
私は会場のほうに入ると、すでに大方の人数はきたらしく、そろそろ始めようということになっていた。




