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地上絵討伐戦

 瓦礫をあらかた片付け終わった。が、特に何も起きそうには……。

 私はそう言いかけた時、突如として地面が揺れ始めた。祭壇の床に描かれていた鳥かもわからない絵がベリベリと剥がれていき、その絵が空中に浮かび上がった。


『俺様の封印を解いてくれてありがとう!』


 と、絵が喋りだす。

 私たちは瞬時に武器を構えた。敵意は感じないが警戒しておくに越したことはない。

 封印されていたと言っていた。となると、それ相応の力があるということ。

 悪意によって封印されていたのか、人々の意思によって封印されたのとで、敵かどうかが変わる。


『そう警戒するな、よ!』


 と、何かを飛ばしてきた。私は双剣で弾く。


『おぉーやるねぇ!』

「敵だな」

「そうですね」

「やるぞ」


 攻撃してきたというのは敵対するという意志と捉える。

 私は瞬時に距離を詰め、双剣で切り付ける。


『いったぁ! 早くて厄介だなお前……!』

「敵なら倒すまで。私はお前に恨みはないけど、経験値となれ」

「じゅんぺーさん、避けてください!」

「おう」


 私は空中に大きく飛び上がる。

 背後から火の玉が飛んできて鳥の絵に当たる。鳥の絵は燃えていた。


『テメェ! あちぃじゃねえか!』


 火は消えた。が、その瞬間、矢が鳥の絵を貫く。

 ソーダが大弓を構えていた。


「珍しい武器使ってんな」


 狩人だな、ソーダは。

 狩人は弓と大弓が使える職業。弓は連射性があり、小回りが効くが威力と射程はそこまでない。

 大弓は射程、威力は弓よりも秀でているけど、連射性はなく、小回りもそこまで効かない武器だ。

 人気なのは小回りが効くほうだが、大弓もいないわけではない。でも使ってるところは初めて見る。


『くそ、厄介だなこいつら。舐めてかかっていたぜ。この俺様不覚! 皆共々殺してやるぜ!』


 鳥の絵は光を放つ。

 光の矢が私たちめがけて襲いかかってきた。私は双剣で弾きつつ、コーラ、ソーダの様子も見る。


「防ぎきれねえ! 大弓だからしゃあねえけど!」

「私もキツイ……」

「しょうがない」


 私は二人に当たる攻撃も防ぐ。

 双剣を振るスピードを上げ、ひたすら全部弾く。


 数分後には光の矢が襲って来なくなり、鳥の絵は疲れ果てていた。


『なぜテメェそれだけ動ける……!』

「こういうのは慣れてんだよ。私。プロゲーマーなめんな」

『プロ……?』

「あ、ありがとうございます! じゅんぺーさん!」

「ありがとう!」

「感謝は後!この鳥は疲れてる。攻撃を叩き込むチャンス」

「それもそうだな!」


 私は双剣を構え直し、鳥の絵に向かっていく。

 この後、まだヘキガマンを倒さなきゃいけないってのに。だけどまぁ、自分を虐めてると思えば快感極まりない。

 虐めてると思うと……。


「おっとよだれが」


 私はよだれを拭う。


「あなたの攻撃チャンスは終わりましたー! また来世で会おうね!」

『やめ……』

「命乞いだけは聞いてあげようか?」

『悪かった。俺様はお前たちには……』


 私は双剣を突き刺した。


『命乞いだけは聞いてやるって……』

「十分乞うたでしょ」


 私は鳥の絵にトドメを刺した。


「しゃオラァ! レベルアップ! 24!」

「え、私たちもレベルが20に!?」

「まじかよ。すげえ強い相手だったんだな……。序盤で戦うようなやつじゃねえんじゃねえの?」

「そりゃ。あの光の矢はあれ一発当たったら私たちじゃ死ぬだろうし」


 あれは威力相当高いぞ。

 鳥の絵が疲れるくらいなのだから相当威力があるはず。


「あれよく一人で……」

「ま、プロゲーマーだからね。こういうのはお茶の子さいさい。本音を言うなら配信したかったけど……。とりあえず!宝箱ドロップしたみたいだから開けて解散。私はまだやることあるし」


 私は宝箱に近寄ろうとすると。


「あのさ」


 と、ソーダが引き留めてきた。


「あんた、強いんだな!」

「うん」

「その強さを見込んでお願いがある」

「お願い?」

「俺たちのギルドのリーダーになってくれないか!」


 ギルドぉ?









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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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