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勝ち確定演出

 残り時間、あと20分。

 私は木陰に隠れ、鬼の様子を見張る。


「囲まれてるっすよ……」

「相変わらず私の居場所のリークは続いてるっぽいねぇ。相手側も私だけは何とか捕まえたいっていう意思を感じる」


 私は場所を少しずつ変えながら考える。

 そもそも、そういうリークがあったとしてもそのリークを真に受けてくるというのはありえない。配信者としてどうなのかという話にもなる。

 このイベントに公平性がまるでないから普通は禁止するはずだろう。いや、禁止しているかもしれないけどそういうことをする輩はいる。絶対にいる。日本人全員が民度高いわけがない。


「そのリークを真に受けるなんて炎上しても知らないぞ……。そういうのって今の時代は割と受け入れられないんだ」


 ゲームのリーク情報を流したら叩かれるように、公平性を無視してしまうと最悪たたかれることがある。前にやっていたゲームがそうだったな。

 さてと、どう逃げるかな……。


「リーク情報を流してるやつは私のアンチかな……。まぁいいけど。逆境で勝ってこそ私が天才である証明にもなるよね」


 私はそれでも勝つ。

 天才じゅんぺーちゃんが勝つと決めたなら絶対に勝つのだ。


 すると、木陰からひょこっと顔をのぞかせたのは一人の男性。

 男性は見つけたといわんばかりの顔をしている。


「逃げられないですよぉ。じゅんぺーさん」

「そうかい」


 私は全力で走りだした。

 三角飛びで木の上に乗り、忍者のように木の上を飛んでいく。


「悪い、コガラシ、許して」

「じゅんぺーさんの時間を少しでも稼ぐっす! じゅんぺーさんを勝たせるっすよーーーーー!」


 鬼はちっ、と舌打ちをしてそのままコガラシを追い始める。私は全力で木を移動していく。鬼としても木の上を捕まえるのは相当厄介だろう。

 私は休憩のために少しばかり木の上で立ち止まると、木がものすごくゆれ、私はバランスを崩して下に落ちていく。

 下には鬼がいる。鬼は木を揺らして落とそうとしているようだ。だがそうはいかない。回復する時間はたくさんあったからな。


 私はすぐに鋼水の糸を射出し、ぎりぎりのところで木の上に再び戻った。


「スペック差が違うからすぐに追いつかれるな……。鋼水の糸をうまく使って逃げないと」


 そうこうしているうちに、残り時間はあと10分を切る。

 コガラシは……捕まっただろうな。あそこに鬼はたくさんいたし、包囲されて捕まるという可能性が高い。

 下にいると包囲される可能性が高いからな……。


 私は再び移動しつつ考えていると、木の上にまたなにか影が見える。


 鬼も木を登ってきているようだ。それはまずい。

 私は地面に降りてそのまま走り出す。マジで、場所リークされたからめっちゃこのあたりに鬼いるやんけ。

 だが……この状況ほどマゾヒストの私は燃えちゃうってわけだ。


「じゅんぺーちゃんが勝つって言ったんなら絶対勝つんだよ。本気のじゅんぺーちゃんをなめるなよアンチども」


 鬼はすぐに走って追いつこうとしてくる。

 実際すぐに追いつかれるが、捕まえようと手を伸ばしてくる。私はその手を躱し再び逃げる。どこに来るかさえ予想出来ていたら見ないでも躱せるわ。

 砂漠エリアについた。

 こっから安全に逃げる方法。それは遺跡を見つけることだ。

 あの遺跡は鬼は入れないようだ。となると、あそこを見つけて入るしかない。ただ、遺跡のありかは地図には載っていないことを考えると見つけるのは相当に苦労するだろう。


 だが……この場所にないわけがない。遺跡は何らかの法則がある場所にあるはず。これは私の予想でしかない。法則などを考えてはみたが、1個しか見つけていないので法則性が見つかるわけがない。だからこそ、法則があるのだと仮定して、場所に目星を付ける。

 一応ここらへんだとは目星がついている。ここら辺にたぶんあるはずなのだ。


「あった!」


 私は砂漠を走っていると遺跡のようなものを見つける。

 鋼水の糸を射出し、階段をすばやく駆け上っていく。そして、遺跡内部に死に物狂いで駆け込み乗車。遺跡の扉は締まり、鬼は外に取り残される。


「あとはここで待機するだけ……。制限時間10分っていうのが仇になったな……。あと10分を切ったんだからここで待機していたら勝ちだ。ずるい方法使うならこっちも使わせてもらう」


 私の勝利、だぜ。


『勝ち確』

『こういう抜け道を用意してるんだ』

『まぁ、場所リークされたら逃げ切れるもんも逃げきれないよ』


 それはそう。

 だがしかし……。


「遺跡に入るのも大博打だった。こういうのはたまーに、残り時間10分もないなら機能しませんというのがあるからな……」


 だからこそ博打。

 機能していたら逃げ切れる、機能していなかったら逃げ切れない。私は賭けに勝った。残り時間が明記されてるなんて言う不安要素があったから無理だと思ったが……。


「試練なんてやんなくてもいい、鬼はどうせ入ってこれないねぇ。これをずるだなんていうなよ。最初にずるをしているのはお前らだからな。そういうことをしなければ私もこういうことはしなかったんだぜ」


 リークを受けて私付近に集まるというのはどう考えてもずるだろう。

 これは少し炎上するかな……。そういうことをする配信者が。









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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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