興奮しちゃうじゃないか……♠
私は瓦礫をどけていると。
「やっぱなんか祭壇みたいなのあったぜ! 俺の推察通りだな」
「でもやっぱ不気味……」
と、一組の男女のプレイヤーがやってきた。
その男女のプレイヤーは私に気づいた。
「あー、先客いるよ! 俺らが最初だと思ったのによォ!」
「まぁ……あのボス攻略した人は私たちが最初じゃないと思ってたし……」
「あの人何してんだろーな。聞いてみようぜ」
と、声をかけてくる。
「すんませーん」
「なんだい?」
釣り目の男性が何をしているか聞いてくる。
私はとりあえず瓦礫をどけて何かないか探してるというと、俺らも手伝っていいっすか?と聞いてくるので、まぁ、いいよと答えた。
というのも、クエストもあるしこんなとこにそこまで時間を割いてられないし。
「よし、俺らもやろうぜ!」
「本当にここになんかあんの……。なかったら骨折り損だしちょっと嫌なんだけど……」
「俺を信じろって! 俺の勘がここにはなんかあると叫んでいるんだ!」
「わかったよ……。とりあえず、この瓦礫を祭壇の下に投げ捨てればいいんでしょ?」
と、彼女さんも瓦礫をどけ始めた。
「そういえば、君たち名前は?」
「あ、俺はソーダっす! こっちが彼女のコーラ! お察しの通りカップルっす!」
「馬鹿! 自分でカップルっていうな恥ずかしい……」
「ごめんごめん! それであなたは?」
「私? 私はじゅんぺー。よろし」
「じゅんぺーって……あのじゅんぺー!?」
と、彼女さんであるコーラのほうが驚いていた。
「どのじゅんぺーを指してるかはわかんないけどそのじゅんぺー」
「マジで!?」
「知ってんのか?」
「超人気配信者だよ! 私も好きで見てるって前言ってたじゃん! マゾヒストなのにゲーム超うまくて……。そして、とりわけ美人! あの! いつも見てます……!」
「ありがとう」
彼女さんは私のファンだったようだ。
「こんなとこで会えるなんて……。ここに連れてきてくれてありがとね」
「お、おう。なんかイベントでも何でもないのに感謝されると微妙な気持ちだな」
そうだよね。彼女が私を目の前にしたからありがとうって言ってるとね。
「有名な人なんだな……。俺普段動画とか見ねえし知らなかったわ……」
「動画見ないんだ?」
「見ないっつーか、見る暇なかったっつーか」
「仕事で?」
「つい先日やめてきたんすけどね。前いたとこすんげーブラックで。休みなんてほっとんどなくて。残業ばっかさせるくせに残業代でねえし、家帰って寝て起きてまた出社してって繰り返しだったっすよ。まじで動画とか見る暇なかったんで」
それはそれは苦労していたことで。
ブラック企業ってのはなくならなさそうだからな。私はそういうの見分けるのが下手だから動画投稿者になって、配信者になったわけなんだけど。
「今度俺、じゅんぺーさんの配信見てみます」
「歓迎するよ。私の視聴者は鍛えられてる人ばかりだからね」
「……で、気になったんですけどマゾヒストって?」
「あー、えっと」
「私、重度のマゾヒストなんだよね」
「……そもそもマゾってなんすか?」
……それ知らないの? 純粋な子なんだね。
私はマゾについて説明してあげた。すると、彼の顔がどんどん引いていく顔になっていく。その軽蔑の視線、私にもっとくれ。ちょっとゾクゾクしてきた。
「殴られるのが好き……?」
「うん。その今の軽蔑してる視線でもちょっと興奮してる」
「いいぞー! もっと軽蔑してあげてー!」
「やめ……。興奮が止まらないから……。人の彼氏で興奮するなんて趣味私には……」
「……変なやつぅ」
だからドンびくと興奮するんだって。




