遺跡発見
適度に距離を取りつつ逃げていると、何やら遺跡のようなものを見つけた。
私は古びた遺跡を眺める。マップを見ても、遺跡がここにあるというのは書いていない。さっきの平原がここで、逃げてきた距離からすると森の中のここら辺……。でもここは森のマークで、緑でおおわれている。
遺跡なんていう文字はマップにはない。
「隠し要素か……」
私は遺跡内部に入ろうとヴォナスに提案した。
ヴォナスは少し怖がっているが、入ることは否定していない。ヴォナスも好奇心はあるようで、この中がどうなっているのか気になっているんだろう。
私は遺跡に入るために、入り口につながっている階段を歩いていく。
「この遺跡がダンジョンで魔物が出るんだとしたら怖いです、けど」
「その時はその時。私が戦ってあげるから」
「お手数をおかけしてすいません……」
「いいよいいよ。戦うの好きだし。でも……。魔物だけで済んだらいいんだけどねぇ」
「ど、どういうことですか?」
「私たちが出会った鬼って少ないじゃん。まだ結構鬼いるはずなんだよね。でも、出会ったのが少ないのならこの遺跡内部にも配置されていたりするかもね」
あくまで私の悪い予想だが。
幸運にも私の悪い予想は基本的にほとんど当たらない。悪い予感は当たるくせにな。
「まぁ……配置されてるというか、鬼もここに来ることはあると思うよ。遺跡内部は逃げにくいから逃走者にとってはネズミ捕りに近いと思う」
「ひっ……」
「だけど……もしそうなら私たちを釣るためのエサがあるはず。そのエサを搔っ攫う! 卑しいネズミのように掻っ攫ってやろうか。それに、わざとかかったほうが面白い」
遺跡入り口の前についた。
ヴォナスは深呼吸している。が、そんな暇はないようだ。
「後ろを見て」
「え?」
後ろには鬼がいた。
鬼は私たちを追い詰めるようにゆっくりと階段を歩いてきている。あの鬼は配信者だな。確か名前はまんだらゲーム実況というチャンネルのまんだらって人だ。
優しい顔して結構暴言を吐くチャンネル。いろいろとゲームの不運を呼び寄せて暴言吐くのも仕方ないと思われるぐらい運がない人だ。
「ひっ……」
「まんだらさーん。あとで勝負してあげるからこの遺跡はいらせてよー」
「あっ、じゅんぺーさん! じゅんぺーさんそっち側なんすね!」
「そうー! 抽選会でお呼ばれしたから今回は呼ばれなかったんだと思うー! この遺跡だけ調査させて! そこで待ってていいから」
「いや、さすがにそれはダメっしょ! なんで全力で追いかけます!」
と、走って向かってきた。
やべ、乗せちゃった。私はヴォナスの手を引っ張り遺跡に入った。私たち二人が入ったとき、遺跡の扉が勝手にしまっていく。
「勝手にしまった……」
「出ることができないってわけだな」
なら必然的に先に進まなくてはならないってことだ。
私たちは遺跡内部を進んでいく。分岐する道とかがない。一本道だった。挟み撃ちにされたら相当きついな。
この先に何が控えているのだろう。
私たちは先へ進むと、広い空間に出た。
そして、その空間の真ん中には鬼が立っている。
「罪子……!?」
「最初の挑戦者があなたですわね、じゅんぺーさん」
挑戦者?




