表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
204/229

道連れ

 鬼ごっこをするのは前にテレビの番組で呼ばれた時以来だな。

 木の上も安全ではなさそうだと踏んで、私は鬼を警戒しながら歩き出す。マップを見て、現在地を把握しておくことにしようか。

 

「牢屋エリアはここ……。近いな」


 丸形の島のような場所であり、中央にはなにか祭壇のようなものがあるようだ。ところどころに移籍のようなものがあり、砂漠や雪山といった場所も用意されている。

 この広大とはいえないがそこそこ広い大地で鬼ごっこか。


 私はとりあえず牢屋エリアに向かうことにした。

 誰か捕まってたりするのだろうかと思い向かってみる。牢屋エリアには牢屋が置かれてあり、その中にプレイヤーが転送されるようだ。

 鬼ももちろん見張っており、見張っているのは運営スタッフだろう。配信者には追いかけさせる側を担当させるはずだ。


 牢屋の中には誰もまだ見受けられない。まだ誰も捕まっていないか。


 私は周りの警戒をしながらも、牢屋の中を見ていると。


 運営スタッフと目があった気がする。だが、あっちは気づいていないようだ。不自然かと少し思われただろうが、ここは木の陰なので姿が見えづらいだろう。

 だが、早いとこ移動したほうがいいのは事実だな。偵察も済んだし行くとしようか。


「というわけで、私も積極的に捕まった人助けに向かうから。定期的に見に来ることにしよう」


 私はカメラに向かってそうしゃべる。


『単独行動とか久しぶりだね』

『じゅんぺースペック高いから勝てそう』

『じゅんぺーのスペックだよりだぜ』


 私を頼りにしてくれてありがとう。

 私はわざと足音を立てて移動してみる。足音を立てれば鬼たちは寄ってくるんじゃないだろうか。蜜に群がる虫のように。

 だが、近くに鬼はいないようで誰も寄ってこない。


 イベントが始まって10分。まだ誰もプレイヤーと出会っていない件について。


「どこに鬼がいるのかわからない緊迫感、鬼のスペックのやばさ……。激しくそそられるぜ……」


 この緊迫感が素晴らしい。

 油断はできない、捕まったら死ぬ。私も本気で逃げてやろうじゃねーの。私、本気出したら超強いんだぜ?

 私は周囲の警戒を皿に鋭くすると、なんか茂みのほうに気配を感じる。鬼なら隠れる必要がないだろう。スペックが違うのだから飛び出してでも追いかければいいはずだ。


「そこに誰かいるんでしょ。出てきていいよ。私は鬼じゃない」


 そういうと、茂みからがさっと音がしたと思ったら、女性が出てきた。


「あ、お、鬼じゃないぃ……」

「鬼が怖くて隠れてたんだ」

「は、はいぃ……」


 気弱そうな女性がぱんぱんと自分についた砂埃を払う。


「君可愛いね。名前なんて言うの?」

「あ、ヴぉ、ヴォナス、です」

「ヴォナスか。私はじゅんぺー。今配信してて映ってるけど大丈夫?」

「だ、大丈夫です!」

「よかった。単独行動も寂しいからさ、一緒に行動しようよ。少なくとも私と居たらちょっとは安心していいから」

「え、えと」

「私も本気で逃げるから。天才じゅんぺーちゃんを信用してほしい」


 私が胸を貸すように胸をたたくと、はい、とうなずいてくれた。

 旅は道連れ世は情け。私も道連れが欲しかったところだ。


「で、さっさと移動しようか。鬼が近い気がする」


 鬼の気配が近づいている気がする。

 私の勘は当たるぜ。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ