クエスト受注
サンキチに教えているうちに私も大剣の要領が少しずつ掴めてきた。
サンキチもだいぶつかめてきたらしく、大剣の扱いもこなれてきた感じがする。
「そろそろ教えることはないと思う。十分強くはなってると思う」
「そう? んじゃ、この調子で私もレベル上げするけど……。じゅんぺーは来る?」
「いや、私は解放されたエリアを見に行きたい」
「わかった」
私はサンキチと別れて、解放されたエリアを見に行くことにした。
解放されたのはグレゴリオ研究所跡、ノワール遺跡、エスポリスタウンの三か所。エスポリスタウンは街のようで、人が住んでいる。
グレゴリオ研究所跡、ノワール遺跡はともにモンスターが生息する場所のようだ。
「とりあえずエスポリスタウンへいこう」
私は全力で走り、エスポリスタウンに向かう。
エスポリスタウンは始まりの街とは違い、近代的な感じで、発展しているようだった。王都までの蒸気機関車が走っていたり、初期武器にはなかった銃などもあるようだ。
ともかく、エスポリスタウンはどことなく近代のような街だということを理解した。
「へぇ」
街を走る機関車に、昔ながらの自動車。まるで日本の明治時代のような趣を感じる。
「あの機関車に轢かれたらとんでもなく痛いだろうな……」
思わずよだれが垂れる。
いかんいかん。そういう妄想は後にしよう。とりあえず、この近辺を探索しないことには始まらない。
「誰かおらんかのぅ……」
と、歩いていると困っているおばあさんがいた。
私はおばあさんに話しかけてみる。
「いやね……。うちの孫がアクセサリーを作りたいといってるんじゃが、素材がなくてのぅ。ノワール遺跡にいるヘキガマンの落とす絵の具があればいいといってるんじゃが……。誰もいってくれる人がおらんくてのぅ。孫が自分で行くっていって聞かないんじゃ。ノワール遺跡は危険じゃというのに……」
「そうなんですか」
「おぬし、戦えるのじゃろう? よければ私の孫の代わりにヘキガマンを倒して絵の具を持ってきてくれんかね」
《クエスト:孫のアクセサリーの材料のために! を受注しますか?》
なるほど、クエストか。
「いいですよ。ヘキガマンを倒してくればいいんですね」
「受けてくれるか! 助かるのぅ。なるべく早く持ってきてほしいのじゃ。孫はせっかちじゃからのぅ」
「わかりました。じゃ、早速行ってきます」
ヘキガマン。
ノワール遺跡はそういう系のモンスターが多いのかな。ヘキガマンって多分漢字で書くと壁画マンっていうことだろ? 遺跡の絵が具現化して魔物になった感じかな。
まぁ、魔物はどうでもいい。今作初のクエスト受注だ。気合入れて行かなきゃな。




