ガチャ
ボスを倒すのはよくよく考えてみると配信したほうがいい気がする。
どんなゲームでもボスの初見攻略はだれだって見たいものだしな。ほかの奴に一発目をとられたくないが……。
まぁ、そこは私の運次第。誰かが攻略して勝てたのなら素直にほめるべきだろう。
私は始まりの街へ戻り、少しばかりやることをやる。
装備は考えなくていいのだが、問題はスキルだ。攻撃スキルや、デバフなどの無効化スキルも欲しい。少なくとも、動けなくなる状態異常の無効化スキルは欲しいものだ。
初期防具縛りをする以上、防御に関するものはそこまで求めないが、動けなくなるとなると話は別になる。動けないと死ぬからな。私は。
いや、普段ならいいけど、例えば勝たなければいけない時とかにそういうのになると困る。
「武器で大方金使っちゃったしな。課金してガチャ回すか」
VRMMOのこのゲームには課金要素はもちろんある。
私は課金要素である不思議なガチャガチャ屋へと向かうことにした。
不思議なガチャガチャ屋とは、この世界での課金要素であるガチャシステムを扱う店。ガチャの中には武器やスキル、見た目装備などがあり、限定の武器などもあるということ。
今はゲーム開始記念で100連が無料だったかな。私は一度も引いてないし、本来ガチャを引いてリセマラしたほうがいい。それをすっかり忘れていた……。
「ま、リセマラなんてしなくてもいいか。別に」
リセマラなんかしたら面白くないしな。
私は不思議なガチャガチャ屋に入っていく。不思議なガチャガチャ屋はどの街にもあるようなので、どこでもガチャを回せるらしい。
不思議なガチャガチャ屋は、少しぼろい木製の建物で、カウンターと、カウンターの隣によくあるガチャガチャが置いてあるだけ。
カウンターには老婆が座っていた。
「ひっひ……。お客さん、ガチャを引きにきたのかい?」
「そうです。いい?」
「今ならサービス開始記念で全員100連だけは無料だよ……。ほれ、これが必要なコインさ。100連、まずは回しちゃれ」
というので、コインをガチャガチャに入れてつまみを回す。
ガチャガチャの中からたくさんのカプセルがあふれ出してきた。全部で100個あるようで、100連引き終わったということ。
そして、カプセルは自動で開いて、アイテムは私のアイテム欄に自動で入れられるようだ。
《スキル:星の夢 を取得しました》
《スキル:不惜身命 を取得しました》
というアナウンスが私の頭の中に響く。
星の夢、不惜身命……。私はおばあさんに景品のレア度の一覧を見せてもらうと、やはり高レアスキルのようだった。
スキル事体、ガチャで出る確率は低いようで、その中でもさらにレアなのが星の夢、不惜身命。排出確率は本当に低く、0.05%。それを二枚引いたのでものすごく運がいい。
そして、この星の夢、不惜身命は単一スキル。誰かが引いた瞬間に誰も引けなくなるというものらしい。
「幸先めっちゃいいな。出なかったら課金しようと思ってたけど、課金する理由がほとんどないな」
一応二つのスキルの説明を見ておこう。
星の夢は、敵の攻撃以外のダメージを受けず、敵がいる場合、攻撃以外のダメージを相手に与え続ける。
不惜身命は体力を10に強制的に減らす代わりに攻撃力が100あがるというもの。私にはちょうどいいスキルだ。
不惜身命は絶対に手に入れたかったしこれは運がいい。
「星の夢は毒や地形ダメージを相手に全部押し付けられるっていう効果だな。毒薬をわざと飲んで押し付けるっていう手段も取れるか」
なかなかいいじゃん?
「だけどまぁ、まだ引くか。おばあさん、引きたいんだけど」
「ひっひ……。1回引きたいならコインを私から買うしかないねェ。料金表だよ。異世界の金を集めていて、お前さんたちは持っているだろう? そちらでもいいさ」
と、コイン一枚の料金表。
1回きりとかかれたSSR武器、防具確定ガチャというのもある。ガチャで手に入れる武器や防具は強化ももちろんできるが、性能的には自分で作ったほうがいいというのもある。稀に、ものすごく壊れの武器がでたりもする。
だがそんなのは今はどうでもいい。確定ガチャ分だけ買って……。
「スキル確定ガチャもあるんだ」
これも一度きり。
スキル確定は絶対に購入。




