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【詩集】果てしない扉  作者: につき
深緋 (こきひ)の裏側
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「二月十四日」「残雪」

「二月十四日」


贈りものの枠を超えて

美しい風習へと昇華されるために


美徳ではない

もっと押し出すこころの強さ


けして甘くはない

いくかもどるかの相克の

争いの渦


破滅か生還か一か八かの

ギャンブル


当たり目は不明

希望的観測は無意味


不可知の未来へ飛びこみ

息詰まる瞬間を経て

過去は決定する


当って砕けた?

それとも溶けた?


結果は甘いか苦いか

薫り高く誇り高くあれ





「残雪」



雪が降り少しつもり融け

日陰に残る


冬の残滓

諦めきれない思い


一面を白く染めたのに

雲を割った光に水になった


冷たい寒い心地はもう

芽吹く命に押しやられて


木々の枝には新芽が膨らみ

地面からは着々と芽吹きの気配が


風はまだ冷たいけれど

われわれを外へ連れ出すほど甘い


空の雲はすっかり優美さを取り戻したようだ

奏でられる朝の音楽に悠然と身を任せている


窪みや日陰の残雪は

ただ蹲って仲間の来るのをまっているけれど

やがて全て溶けてなくなってしまうだろう

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