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「ねこ」「気球」「はんてん」「五七五七七その一~その三」
「ねこ」
可愛がっていた ねこが死んだとき
愚かだった 愚かだった
「気球」
あなたとわたしの魂をのせて流れる
気球は
風に逆らって行く
あまりに軽やかに静かに透明に
風に紛れたみたいに
「はんてん」
赤いチェックのはんてんを
妻は諦めてしまった
わたしが奪ったからだ
「五七五七七 その一」
雲流れ見る鉄塔の先光る
青空の先在る夜の群れ
「五七五七七 その二」
待つと無く待たれるも無く咲く花の
色は匂えど散る音も無し
「五七五七七 その三」
ドブ亀の首の長さの程もなき
ノイズ混じりの閃きの秒




