表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【詩集】果てしない扉  作者: につき
琥珀の横顔
53/100

種を飛ばしているのだ

果たしてわたしなんてものは

なくて


総じてあなたなんてものも

なくて


たったひとつの

枯れた花だけが

語っている


風が吹いていること

雨が降っていること

雨が止んで日が照っていること


自動車のタイヤが花を

踏んで

潰れてしまっても


そこに花はあったということは

語られていて


そのことを語るのは

わたしであって

あなたであって


首をもがれた花の無念も

明日に望めぬわたしの思いも

なにがしかのあなたの願いも


語られないことには

伝えられないのであって


わたしもなく

あなたもなく

花もなく


誰にどう繋がるのか

分からないこの時代にさえ

ただ言の葉だけを残そうとして


強靭な根を張り巡らし

太い茎を持ちながら

透明なままでいる


分からない明日というやつに

種を飛ばしているのだ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ