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Dream On Dreamer_1
また書き忘れたよ。
第二部1章以降に読んだほうが少し解る話でふ。
――俺はまた、同じ夢を見ている。
とても不思議な夢だ。
とても幸せな夢なんだ。
穏やかで温かく、その光景を見ているだけで、心が豊かになるような――そんな夢だ。
ひとりの女性が、荒れた大地で笑っている。
とても大勢のヒトビトに囲まれて、大切だった気がする俺の知らないそのヒトが笑っている。
呆れるほど賑やかで、祭りのようなバカ騒ぎに包まれて、その子は、澄んだ瞳で笑っていた。
けど、そこに俺はいなかった。
何故だかそれが悲しかったけど……でも、その子の笑顔が見られて、俺は溢れるほどに幸せになった。
どうかこの子の幸せが、いつまでも続きますように――俺は夢の中でそう思った。
――この夢も、いつか現実になるのだろうか。
そうしたら、きっとこの果てしない地獄も報われる。
心から、そう思った。
そしてもし、呪われたこの力が、大切なあの子の救いになるのなら――
――きっとそれが、俺の生まれた理由なんだろう。




