第087話 糸井先輩の意外な裏
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「ひ、ひぇー。相手が薔薇姫とか聞いてないよー。」
「こんなの勝ち目ないだろ。」
俺達をの目の前にして、嘆いている鉄道研究部。
武器は短剣を使うらしい。
短剣はかなりインファイトが必要なので、扱うにはそれなりの技術と身体能力が必要だ。
彼が扱えるかは甚だ疑問である。
「それでは、両者構えて、始め。」
開始の合図が聞こえても相手からアクティブに攻めてくる様子は見受けられない。
完全に待ちの姿勢を取っている。
これが作戦ではなく、ただただ怯えているだけなのかどうかは判断が難しい所。
騎士役もこちらに攻めてくる気配がないので、アクションはこちらから起こさないと何も始まらないだろう。
何かあるかも知れないと恐れていても試合が終わる事はないので、俺から仕掛ける。
まずはゆっくりと相手との距離を詰める。
すると相手も俺の一歩に合わせて一歩下がりだす。
そんな事をしていれば、あっという間にフィールドの端に辿り着く。
「無理無理無理だぁーー!」
「せめて僕を守ってよー!」
阿鼻叫喚。
まだ、何もしてないだろうが。
こんなみっともない醜態を全校生徒に晒してしまって大丈夫なのか。
例え、ここから勝ったとしても失うものがあると思うけど。
「安心してください。手加減なんてしないから。」
姫役を狙って一振り。
手加減なんてしないと言いつつも無抵抗な相手に全力で殴り掛かるのは、流石に倫理観が欠如しているので多少優しめに。
しかし、それが後悔を生む事になる。
「その油断、付け入るぜ。」
足を薙ぎ払らわれる。
何が起こったのか分からなかったが、騎士役が体勢を低くして、足元を狙っていたらしい。
弱者のフリをしてまで勝ちたいのかよと内心苛立つが、こういう時こそ平常心。
とりあえず、姫役が全力で華の所まで走っているのを止めなければ。
姫同士の戦いになれば勝つのは絶対的に華だけど、万が一という言葉もあるくらいだからな。
「待ってよ。」
俺が立ちあがろうとするのを足を掴んで止められる。
無敵の騎士役同士が争っても何の益にもならない。
相手の作戦にハマってしまっているのか。
相手の姫役は作戦通りなのか華の近くにまで辿り着いた。
一対一の状況を作り出しているが、勝ち目はないぞ。
「うおぉーーー!!!」
大声で気合いを入れながら突進する。
華が相手なので、そうでもしないと怖気付いてしまうのかもな。
そうして、二人の戦いに気を取られている隙に、もう一人の鉄道研究部員もいなくなっている。
援護する為に走り出しているようだ。
俺も反応が遅れたけれど、相手の足は遅い。
日頃の運動不足が祟ったのかもな。
出遅れこそしたものの援護には間に合った。
間に合いはしたが、俺の援護はいらなかったらしい。
殴り掛かって来た姫役を蹴り一発で返り討ちに。
心配も反則を取るかどうな悩んでいる様子だけど、とりあえずはお咎めなしだ。
「恋愛支援部の勝利ーー!」
何とも言えない空気感。
最初からこうなる事は予想出来ていたけど。
ルール上では、姫役に一撃を与えた方の勝ちとなっているが、その一撃が騎士役なのか姫役なのかの明言はない。
そのルールの仕様だと、華は姫役でも活躍出来る。
「お疲れ様。なんか一人でも優勝してしまいそうな雰囲気だな。」
「そんな事はないって、二対一で一発も貰わないのは難しいから。」
「出来ないとは言わないんだな。」
「アタシなら、不可能ではないからね。」
すごいカッコよくて見えて来た。
普段から頼りにはしているが、今日はより一層頼りになるな。
大船に乗ったつもりで堂々としていよう。
「お疲れー、二人とも。やっぱり頼りになるねー。」
「糸井くんには後で仕事があるから安心して。」
「お手柔らかにお願いします。」
戻って来たら二回戦を勝ち上がった事に対する労いが行われた。
まだ、優勝した訳ではないのだけどこの労いが嬉しい。
そして、余計に勝ちたいと思えて来た。
「すごいよ二人とも!ウチじゃ、あんなに格好良く決まらないよ!」
「ちょっと喧嘩が強いだけなんだけどね。なんの自慢にもならないよ。何の自慢にも。」
「いや、姫役同士の戦い良かっただろ。蹴りで仕留めるとはな。」
褒めに慣れていない華に構わず褒めようとすると、それ以上は恥ずかしいから止めろと小突かれた。
小突かれたと言ってもまぁまぁ痛かったけど。
残されたのは、三回戦、決勝の二試合。
結構なハイペースで進行しているので、二十分もしない間に三回戦が始まってしまうだろう。
大人しく待っておくのが良いよな。
さっきみたいに飲み物買い忘れとかになったらテンション下がるし。
「実は二人にプレゼント。」
渡されたのはスポーツドリンク。
まさか、あの列の中買ってくれたのか?
俺が買い忘れたの見て気遣ってくれたのかも。
この優しさが胸に染みる。
何たって、今日の気温は三十度を超える。
水分補給をしなければ、熱中症で倒れてしまう所だった。
一応、運営テントで麦茶の支給をしているが、生徒達の待機場とは反対方向。
あれはほぼほぼ先生達が飲む用だよ。
「めっちゃ助かる、ありがとうな凛。」
「本当にアタシの彼女にしたいくらい出来た子だよ凛は。」
「彼女なんて大袈裟だよ。ウチに出来る事からやっていこうと思っただけ。」
十分過ぎる。
それに凛にはいつも感謝している。
それが伝え切れないのが、歯痒いくらいだ。
スポーツドリンクが全身の火照りを冷やす。
風邪の時と運動後のスポーツドリンクってどうして美味しく感じるのだろうか。
一気に飲み干してしまう。
どうやら、俺の体は本人が思っている以上に水分を欲していたらしい。
また、あの列に並ぶのは苦痛だと思っていたので非常に助かった。
次の試合まで雑談でもしようかと思っていた所に、訪問者が現れる。
「みなさーん!お疲れ様でーす!」
元気良く登場して来たのはハイラ先生。
確かに顧問が顔を出している部活もあるが、まさか来てくれるとは。
教師のほとんどは運営で忙しいはずなのに。
「みんなに差し入れがありまーす!はい、これどうぞ!」
手渡しされたのは、アイスクリーム。
凛と言いハイラ先生と言いお人好しが過ぎるな。
これは俺が優勝する事でしか返してやれないかもな。
「先生はこちらに来てよろしかったのですか?」
「それはみんなの"顧問"ですので!なるべく力になりたいです。」
「それじゃあ、みんなで応援しましょう。」
糸井先輩は、どこから用意したのかも分からないメガホンやポンポンを出してくる。
最初から出すつもりだったけど、タイミングを見失っていたのかも。
出す時にすごく嬉しそうな顔で取り出してたし。
「先生を含めた四人でこれを使って応援するから、二人共絶対勝ってよ!」
「すごい良い場面なのにごめんね。糸井くん、貴方の後ろに見える黄色の布は何かしら?」
「気付いちゃう?」
「気付くわよ。」
糸井先輩は布の正体を見せるべく、両手で天高く掲げる。
「ジャーン!チアガールのユニフォーム!やっぱり応援と言ったらこれでしょ!」
いつもは頼りになる先輩だけど、この時ばかりは冷たい視線を送らざるを得なかった。
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