第085話 騎士、始めました
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作戦らしい作戦なんて一つも立てないで、部活動対抗戦の日がやって来た。
当日になってしまった以上どうにでもなれの精神で挑むしかないだろ。
てか、今までだってそんな感じでなんとかして来たし。
「ただいまより、部活動対抗戦を始めます。今年も優勝した部活動には部費として三万円贈呈しますので、張り切っていくぞオメーらぁーー!!!」
放送部の型にとらわれない開会のアナウンスにより、会場は一気にボルテージが上がる。
今年はなんと三万円も出るというのだから、これだけ盛り上がっているのも頷けるな。
しかし、いくらやる気を出そうとも価値は譲らないぞ。
三万もあれば、ホワイトボードを買ってもお釣りが来るはず。
その余ったお金で何か娯楽的要素を買うのだ。
まぁ、その為には七瀬先輩の説得という大きな壁があるけど。
「早速、最初の勝負に移ろうと思います。最初はこちら!」
校舎の屋上から一気に降ろされる垂れ幕。
そして、そこには競技名が書かれている。
「"息を合わせて勝ち抜け!騎士と姫ゲーム"」
思っていたのとは違う勝負が始まりそうだ。
もっとリレーとか障害物競走みたいな感じかと勝手に思っていたけれど、ここまでゲーム性のありそうな勝負だとは。
「ルールは簡単!武器を持たないお姫様をスポンジ製の武器を持った騎士が守りながら戦うゲームです。」
説明がそれだけだとルールが少なく過ぎて、なんでもありになるだろ。
他の生徒も説明不足に不満を感じたのか、ブーイングが起こる。
こうなる事は事前に予測出来ただろ。
しかし、放送部は依然態度を変えない。
堂々とした佇まいで、マイクを取る。
「静まれー!詳しいルール説明をするから黙って聞けよー。良いか、一度しか言わないからな。」
最初からそうしろよとみんなが心の中で思ったことだろう。
ルールをまとめると以下のようなっている。
・騎士と姫役に各種一人ずつ選手する。(性別問わず)
・二対二で戦い姫に一撃でも入れたチームが勝ち上がり。
・騎士はどれだけ攻撃を与えても勝敗に関係ない。
・時間は三分間で、決着が付かない場合はジャンケンで勝敗を決める。
・姫役は武器を持てず、騎士役のみスポンジ製の武器が配布。
・審判を各試合配置しており、危険な場合中断する可能性もある。
大体こんな感じか。
詳しく説明をしてもらったが、案外最初の説明で完結していたな。
ちゃんと説明してたのに疑ってしまった。
いや、あんな適当な感じで話されてもそう思うだろ。
そもそも最初からこの説明で良かったし。
「さてさて、聞いてたかなみんな。ここは部長の僕が、選出しようと思う。」
こんなの聞かなくても誰が出るか予想出来る。
「佐倉くん、古東くん。君達に任せるよ。」
「そう言われると思って準備しておきました。」
「アタシ、騎士役で良いの?」
「駄目だよ、華ちゃん!ちゃんと陽太くんに守ってもらわないと!」
「そうそう、華の通り名にも姫って入ってんだし。」
ギロっと俺を睨む華。
あんま、薔薇姫って呼ばれるのが好きじゃないのは知ってるけど、今度から冗談でも言うのはやめておこう。
「それでは、第一試合始まるので決まった部活動から会場へお上がりください。」
対戦相手を有利に決める為には、誰かが動いた後に動き出す必要がある。
俺達が少しでも確実に勝つ為には、どちらも女性で選出している文化系を狙うべきだろう。
多少、卑怯と罵られようとも確実を取るべきだ。
しかし、もう一人はそんな事考えてもいないだろうな。
誰も行きたがらない空気が華を刺激する。
誰も一歩目を踏み出す事なんて出来ない。
だからこそ、彼女は踏み出すのだ。
「アタシは準備万全だけど、そっちは。」
「勿論、俺もだ。」
「それじゃあ、行くよ。」
俺と華が動くと周りの視線を一気に浴びる。
昔の俺だったらこんな状況耐えられなかっただろうな。
けれど、今は問題ない。
目立つ事に慣れた訳じゃないけれど、ある程度覚悟が必要な時があると知ったから。
それに一番頼りになる背中が前を歩いている。
逃げ出す必要性がどこにあると言うんだ。
「さて、勇猛果敢に先陣を切ったのは、まさかまさかの一年生ペアによる恋愛支援部!これは他の部活動も黙ってはいられないかぁー!」
他の部活動を煽る放送部。
残念ながらそんな事では、他の部活動は出てこないぞ。
相手が誰か知っているからな。
薔薇姫と呼ばれた女が相手となれば勝ち目はない。
しかし、華は姫役。
それを見抜けるかどうかが次の立候補者の鍵になる。
「だぁー!めんどくせー!行くぞ、菊池。」
「あいよー。」
明らかに短気そうな男とのんびりとした気のない男のペア。
何部かは知らないけど、ある程度自信のある部活だと言う事に間違いはない。
「続いて出て来たのは、ボクシング部の二人だ!彼等はプロからも注目を浴びている期待の選手達!この対戦カードは流石に、恋愛支援部にとって不利か?」
対戦相手が決まった事によって応援に熱が入る。
ボクシング部はかなりの強敵らしいが、負ける気はしないな。
「それでは、第一回の試合を開始します!両者、構えて!始め!」
「噂じゃバケモンみたいに扱われてるけど、俺からしたら雑魚と変わんねーだろ。」
一気に距離を詰めてくる。
それも数秒の出来事。
俺の反射神経は追いついていない。
武器はグローブ。
かなり近距離戦を好んでいるのは確かだ。
「悪いけど、アタシはただの古東華。思っているのは違うよ?」
前に出した蹴り一つで騎士役の短気野郎の動きを止めさせる。
これ以上、近寄ってはいけない雰囲気が流れているのを俺にでも理解出来た。
「おいおい、バケモンかよ。」
姫役をフリーにする奴がいるかよ。
そっちに気を取られている隙に俺がトドメを刺す。
そうすれば、華の負担はかなり軽減されるはずだからな。
「悪いけど、俺も成長させてもらうぞ。」
「熱いのは嫌いだ。」
俺の選んだのは、リーチの長い棒。
扱い方も簡単で、刀程の難しさはないはずだ。
一撃を入れれば良いだけなら、これに勝る武器はない。
「当たらないよ。そんな攻撃。」
全ての攻撃が、のらりくらりと躱される。
煙のように掴めない実態を相手しているようだ。
どちらが先に攻撃を当てるかの勝負になって来たが、それだと技術の無い俺達が不利なのは明らか。
それで良いのかよ俺。
また、足手纏いになるのかよ。
いつまでも人に頼ってるだけの俺とは今日でおさらばだ。
集中して、音を聞く。
心音までもが聞こえて来そうなほど、姫役の相手だけに的を絞れている。
相手がリズムを崩した一瞬、その一瞬を見逃さなかった。
「うぉおおおーーー!!!」
回避不可能な横振りで確実に仕留める。
「クソッ!」
振りが甘かったのか、ギリギリのところで避けられてしまう。
それだけなら問題は無かった。
相手は咄嗟の出来事で反射的に俺に向かって反撃を仕掛けて来た。
身体能力に優れているはずもないので、案の定避ける事も出来ずに顔面直撃。
流石に審判が駆け寄って来て、鼻から血が出ているのを確認した。
確認が終わると胸ポケットから反則のレッドカードを出そうとしている。
これで勝ちも同然。
同然なのだが、納得は出来ない。
血を拭って、審判の手を止めた。
「終わらせないでください。俺達の手で勝ちますから。」
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