第084話 打ち明ける嘘
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
「もしかして、アクアンさんですか?」
「え、はいそうですけど。なんで、僕のナンバーセブンのプレイヤー名を。」
「えーっと、非常に言い辛いんだけど俺がまんじゅうなんだよね。」
・・・ドンマイ泉田さん。
ネットでは良くある本来の性別とは違う性別でプレイする人だったのか。
男よりも可愛い女キャラの方がモチベーション上がるっていう人も多いからな。
それにしてもどうしてここまで黙っていたのだろう。
本人も自分が女だと思われていることくらいは、やり取りをしている文面を見れば分かったはずなのに。
さっきから泉田さんが言葉を失っている。
口をパクパクさせて、言いたいことはあるみたいだけど。
自分の思い描いていた理想とは大きく掛け離れる結果になったのだから、この反応になるのも仕方ないと言える。
恐らく、この沈黙を破るのはまんじゅうの方から出ないといけないだろう。
「あの〜・・・なんかすみませんでした!」
九十度に綺麗に腰を折り曲げた謝罪。
どうやら悪い気持ちがあって、騙していた訳ではないようだ。
それなら余計に話してやるべきだったと思うけど。
「女の子だと思ってたのに、男の子だったなんて。僕を揶揄って楽しかったですか。」
「いや、違うんです。最初からお話しさせていただくつもりだったんです。」
「嘘だ!そんな様子無かったじゃないか!」
ヒートアップしていく会話。
ここから俺達が入っていけば、余計に火種を落とす事になる。
黙って顛末を見届ける方向にシフトチェンジしよう。
「俺は君と話していて楽しかった。オンラインゲームなんて初めてだったのに優しくしてくれる君といるのが。」
「それは君が女の子だと思ってたから!」
「そうだと思っていたから、余計に言い出せなかった。言ったらどんな反応をするかと思うと恐かった。」
「そ、それは。」
実際に会って話しているから言える事。
もしも、ゲーム内だけの話ならコッソリとフェードアウトして終わりだろうな。
泉田さんが言葉を詰まらせたのは、その事を否定出来ないからだ。
「僕は、僕は一体どうしたら良いんだ。この気持ちはどこに置いてくれば良いんだ。」
「本当に済まない。ただ俺は、友達として君と一緒に居たかったんだ。」
すれ違った思いは戻る事が無いのかもな。
あまりも大きくすれ違ってしまったから。
「すみません、今日は帰ってくれないですか。考える時間が欲しくて。」
「ナンバーセブンにて待ってます。また、友達してやっていけるのであれば会いに来て欲しいです。」
それだけ言い残して帰って行った。
俺達も、メッセージだけ残して帰る事にしよう。
「いやー、中々すごいものを見たね。」
「アタシには全く分からない次元の話だった。」
「いるんだよ、世の中にはそういう人達も。」
ゲーム内だって現実と変わらず、コミュニケーションが必要だからな。
現実同様に恋愛へ発展したとしても何らおかしな話ではない。
しかし、ゲームで好きになり実際に会うとなると大変だ。
大半の人間は、自分の思い描いていた人物との差に苦しむ。
今回の相談は、色々あったが終わりという事で良いんだろうな。
後の事は、恋愛支援部が関われる所にないし。
「さて、せっかくここまで来たんだし、何か美味しそうなの買って帰ろうぜ。」
「賛成。ちょうどお腹空いてた。」
「なら、あそこ行ってみない?」
そこにあったのは喫茶店だった。
勝手なイメージだが、喫茶店って夕方のこの時間には閉まっているものだと。
看板には、カレーライスと書かれた看板が置いてあった。
誰も詳しい説明は書かれておらず、ただ淡々と商品名だけ記載されている。
外装もかなりこだわっているであろう作りだ。
中々に恐る恐る入ってみると想像よりも優しそうな店主がいた。
もっと頑固者の老人をイメージしていたんだけどな。
この場合は、良い方に予想が外れた事を喜ぼう。
「いらっしゃい!三名ね!空いてるテーブルに座っちゃって。あ、後これメニュー表ね。」
常連客なのか、チラホラとテーブルが埋まっているのが見える。
それに対して、店主一人でこの店を切り盛りしているのだから忙しいだろうな。
アルバイトの一人でも雇えば良いのでないかと思うが、人件費がその分掛かるので安易には雇えないか。
「見てよ、これ!手作りプリンだって!すごい気になるよね!」
「それも美味しそうだけど、アタシ的にはこのオムライスも気になるな。」
「メニューの数、尋常じゃないぞ。本当に一人で作れるのか?」
「頼んで見れば分かるって。」
横にあったベルを鳴らす。
チーンと一度鳴ると店主が急いで厨房から飛び出して来た。
「ご注文をどうぞ!」
「コーヒー三杯と手作りプリン、オムライス、サンドイッチで。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
時間掛かるのは仕方がない。
小腹を満たす程度の量にしていたが、待っている間にお腹が空いてしまうかもな。
「はい、出来ました。サンドイッチとコーヒー三杯ね。砂糖とミルク置いておくよ。オムライスとプリンはちょっと待ってね。」
余りにも早過ぎるサンドイッチの出来上がり。
こうなると予め作って置いた物を出していると考えて良いだろう。
サンドイッチは冷たくても美味しく食べられるからな。
作り置きは少し味が落ちるから残念だけど。
「じゃあ、お先にいただきます。」
目の前に置かれたサンドイッチを一口頬張る。
一口食べただけで、俺の考えは否定された。
これが作り置きかどうかは分からないが、少なくとも味が落ちるなんて事はない。
「美味いぞこれ。」
「どれどれ。」
一つのサンドイッチを手に取り、半分に割って凛にも手渡す華。
みんなで分けられるようになのか一つ一つが小さいサイズで良かった。
「んー!これ美味しいね!」
「本当だ。コーヒーにも良く合うし。」
もしかしたら、良店を見つけてしまったのかもしれない。
最寄駅ではないにしろ、たまに食べに来ても良いと思えるクオリティーだ。
その後、プリンとオムライスもテーブルに届いたが味見させてもらうと絶品だった。
そろそろお会計をしようと思った時、店主の方から声を掛けて来る。
「君達、藍連高校の生徒だよね。」
「えっ、はいそうですけど。」
「あー、やっぱり。昔と制服変わらないすぐに分かったよ。おばちゃん、そこの卒業生なんだー。」
まさか、藍連高校の卒業生だったとは。
「えー!そうなんですか!料理すごく美味しかったです!」
「そう言ってくれると嬉しいね。そうだ、端数だけおまけとしといてあげる。」
意外な出会いによって得をしたな。
しかし、せっかく優しくしていただいたのだから、またここへ来よう。
落ち着いた雰囲気の場所だったし、色んな使い道がある。
それに学生が利用出来る時間帯にオープンしているのも嬉しい。
「ご馳走様でした。」
「また遊びに来てね。おばあちゃんいつでも歓迎だから。」
「絶対遊びに来ます!」
帰り道は喫茶店の事で大いに盛り上がった。
今日、木枯駅に来てなければ出会う事が無かったかも知れないので、失恋中の泉田さんに感謝しないと。
早いうちに立ち直れる事を祈りながら帰ろう。
ご覧いただきありがとうございました!
宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。
毎日22時から23時半投稿予定!




