第079話 豪運
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
「よし、これで全員で集合したな。」
一度帰ってから夜の九時になる前に集合という約束は、忘れられてなかったのでひとまず安心した。
「まずは、イベントに申請しないとですね。」
「酒場の中でやってるから早くしよう。じゃないと、人が多くなる一方だ。」
人が多くなって、申請用のNPCの周りが案の定人だらけ。
これは一歩で遅れてしまったみたいだ。
イベント詳細のページには、参加人数に限りは無かったけれど、申請は決められた時間までに行わなければならない。
いくらNPCは同時に話が出来るとは言え、人集まりが出来ている中でNPCを選択出来なければ話にすら進まない。
「参ったな。どうする?」
「今回の相談はゲーム関係に強いウチに任せてよ。」
申請まで十分以上掛かったが、なんとか時間までに終わらせる事が出来た。
後は誰かがまんじゅうと接触出来るかどうか祈るのみ。
大会の進行方法は、トーナメント方式で最初は六ブロックに分かれて行われる。
全員ブロックは分かれて参加するようにしたので、まんじゅうに会える確率は大幅に上がった。
それでも、不測の事態が発生する場合も考えると油断は出来ないけど。
もし、この作戦が失敗したら、最終手段として残された泉田さんから直接紹介して貰うしかない。
しかし、それだと下手に質問が出来なくなるので、聞きたいけど聞けないというもどかしさがあるだろう。
「そろそろ始まりそうだから、それぞれで分かれようか。」
「幸運を祈る。」
この場の幸運とは、大会で優勝することではなくて、まんじゅうに会える事ただ一つ。
俺も遅刻してはならないと、ご丁寧に指示のピンがテーブルの上にあるのでそこまで移動する。
アバターは個性溢れる奴らばかりで普段の俺ならツッコんでしまっていただろう。
しかし、ゲーム内ではこれくらい当たり前だし、触れないでおくのが吉。
『これより、ポーカーイベント大会を始めます。ゲームスタートまではもう暫く掛かりますので、エントリーしたプレイヤーは着席したままでお願い致します。開始時刻前後でテーブルを離れますとエントリー解除されますので予めご了承ください。』
開始に伴い諸注意が行われる。
このまま待っておかないと行けないのは暇だけど、このイベントはそこそこに大きいイベントらしいので、運営の準備が大変なのだろう。
今のうちにまんじゅうというプレイヤーが同卓にいないか探してみるが、見当たらず。
「勝ち進むしかないよな。ポーカーとかそんな得意じゃないんだけど。」
『それではゲームを開始します。NPCディーラーの指示に従ってください。』
俺の心配とは裏腹にゲームは進行している。
カードが二枚配られて、指示のあったプレイヤーからベットが開始。
オンラインのポーカーは、少ない情報だけで相手の癖を読まないといけない。
コールの速さやベットの金額なんかがそうだ。
相手の表情やトークで揺さぶりがない分、シンプルなハンドの強さが重要になる。
それでも、現実と同じくらいの駆け引きを必要とする場面もあるけど。
ここで一人の熊の着ぐるみアバターが仕掛ける。
よっぽど手札が良いのかオールインだ。
他のプレイヤーは、このオールインには流石に手をつけられずフォールド。
これが熊野郎の気を良くさせたらしい。
「こいつ、オールインだけしてコイン稼ぐつもりかよ。」
オールイン中毒になってしまったらしい。
ポーカーにおいて、こういうプレイヤーは面倒だ。
安全に倒すには、他のプレイヤーが勝負してくれるのを待つのみだが、一枚も捲れてない状態で勝負に出れる程のギャンブラーはいないだろう。
「ジリジリとだけど、コインの枚数がリードされていくな。」
しかし、この焦りは一瞬で消える。
俺の手札にはエースが二枚。
多少の事では負ける事のない最強の手札だ。
熊野郎がオールインしたのを確認してから、俺もオールインで追う。
他のプレイヤーはフォールドした事によって、両者の手札がオープン。
その後、淡々と五枚のカードが捲られる。
結果は、エースのスリーカードで俺の勝ち。
流石に同卓の他のメンバーも苛立っていたのか、俺の勝利にエモートで賞賛を送り、間接的に熊野郎を煽る。
次のターンで、煽られた熊野郎は勢いに任せてオールイン。
だけど、余りにも少額過ぎて誰もビビらない。
普通に無視された状態でベットなどが進んでいく。
全てが終わって手札がオープンされると、やはり熊野郎の手札はハイカード。つまり、役なしだった。
しかも、数字の低いカードでオールインしてるので勝ち目は無かったに等しい。
結局、熊野郎のオールインを刈り取った俺が勝ち進む事になった。
敵であるはずの同卓のプレイヤーから心地良く送られたのは、共通の敵がいたというのが大きいだろう。
色んな意味でありがとうな、熊野郎。
「俺は勝ち上がったけど、どんな感じだ?」
「アタシ、見つけたけど。」
「えっ?まんじゅうを?」
「そう。まんじゅうを。」
結構なグループがある中で一発目に同じテーブルを引くとは思わなかった。
もしかしたら、華はかなりの豪運を持ち合わせているのかも知れない。
目的のプレイヤーは見つけたので、俺がこれ以上勝ち上がる必要性は皆無だ。
とりあえず手持ちのコインを全て掛けて速攻で負ける。
そして、その後は華の共有された画面に注目した。
どうやら、糸井先輩の指導で個人チャットが出来る関係までなった様だ。
ゲーム面では頼りなかったのに、それ以外はやはり頼りになる先輩だな。
『初めまして!今日始めたんですけど、分からない事が多くて。よろしければ色々と教えてください。』
『初めまして!私もそんなに詳しくないですけど、それでもよろしければ。』
相手からの反応もしっかりあるし、噂通り親切なプレイヤーに思える。
ただ、ゲームの事は質問出来てもリアルの話は嫌がるプレイヤーは多い。
それがネットリテラシー的には正しいと言えるのだけど、今においては不正解だ。
・・・いや、待てよ。
俺は勝手に会って告白するとばかり思っていたけど、ゲーム内での告白ならばそれなりに聞きやすい。
ゲーム内での好きなアイテムを集めるとか。
『彼女と一緒ゲーム初めてこっそりプレゼントとかあげたいんですよね。』
華のアバターは男のアバターなのも功を奏して、女の子受けの良い物を聞き出せそうだ。
まさか、ゲーム音痴が効いてくるとは思ってもいなかったな。
『それなら、メープルクイーンの花冠とか、炎炎狐の襟巻き、浮霊山の頂に咲く花とかが人気ですよ。私も見てみたいぐらいですから。』
「これはまずいことになったね。」
「かなりな。どうやって集めるにしても難しいことになりそうだ。」
「どう言うことか分かりやすく説明してもらっても良いかな。」
分かる人には分かるが、その他の人を置いてしまったみたいだ。
俺達も悪気はないのだが、ついつい勝手に盛り上がってしまう。
「今、言われたアイテムを手に入れるには、パーティーで挑む必要のあるレイドに行かなければなりません。もちろん、ゲーム内通貨でも購入出来ますが、その資金集めるのにも時間が掛かりますね。」
「つまり、どちらにせよ時間が掛かるってことだね。」
「逆を言えば、時間を掛ければ可能ってことでしょ?」
可能かどうかはプレイしてみれば分かる。
恐らく、今日から俺達の部活は一時的にゲーム部へと変化することになるだろう。
ご覧いただきありがとうございました!
宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。
毎日22時から23時半投稿予定!




