第069話 思わぬ誤算
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「見たかよ陽太。さっき綺麗な花火上がってたぞ。」
「見たもクソもあるかよ。俺は明日から花火師かもな。」
「何言ってんだよ。ついにおかしくなったか?」
ついにとはなんだ。
いつおかしなこと言い出しても不思議ではないって言い方だな。
自分で言うのもあれだが、まともな方であるという自負がある。
なので、即刻発言を取り消してもらいたいものだ。
「それで彼女とのデートは楽しめたのか?」
「何!?どこから見てたんだ。まさか、わざわざ後をつけてたとか?」
「大体のカップルがデートしてんだろ藍連祭で。」
「つまり、美少女二人と回った陽太は浮気野郎ってことか。」
「ばっ、お前どこでそれ聞いたんだよ。」
「どこでって言うか知らない奴いないだろ。」
普段は注目が集まらないように管理しているが、藍連祭というイベントで浮かれてしまったか俺。
いや、本人達があれだけ喜んでくれたのだから今更後悔することもないのだけど。
こうなって来ると当分肩身を狭くして、なるべく目立たないよう静かな学園生活を送るしかない。
今までも率先して目立とうとはしてなかったけどな。
「てか、そろそろ練習時間だよな。」
「そうだな。出番の三十分前には集まって軽く通しをしようって話だったけど。」
「凛がいない。凛に限って遅刻するとかありえるか。」
「まぁ、考え難いよな。気になるなら探しに行けば?」
その選択は真っ先に思い付いた。
だけど、クラス全体のことを考えれば主役級二人の不在は大きく影響する。
不安や焦りは伝染してしまう。
それが唯一の懸念点だ。
・・・いや、俺の心はどうするか決まってる。
クラスの事なんかより友達の方が大事だ。
後で何か言われるのだとすれば、二人で一緒に怒られたら良い。
それにまだ凛の身に何かあったと決まった訳じゃないのだから、すぐに見つかる可能性だってあるしな。
「言い訳は適当に頼んだぞ。」
「任せとけ。しっかり見つけて来いよ!」
送り出されたのは良いが、探すってどこを?
花火の時のように全神経を使って考えてもヒントがない。
あの場にはもう一人、浅間がいなかった。
嫌な予感が当たっているならアイツらにどこか閉じ込められたか。
直接本人達に聞き出せば話は早いけれど、どうせ白を切られてしまう。
それに、俺がなんかしたと言われて仕舞えば、余計に肩身が狭くなる。
「もし閉じ込められていたら、いじめに分類されてもおかしくないだろ。」
考えろ。
藍連祭でも、人通りが少ない場所。
いや、もっと確実に人を寄せ付けない為には鍵の掛かる場所か。
さらにそこから屋上を除いて考えると、何ヶ所かに絞れる。
念の為携帯の方にも連絡してるんだが、一切返信が返ってこない。
普段、携帯のアプリでもゲームをしている場面を見かけるので、肝心な場面で充電切れの可能性があるな。
とりあえず、思い付く場所を片っ端から探す作戦に変更だ。
大丈夫、時間ならまだ余裕があるはず。
出番までに見つけて戻れば最悪問題ない。
「まずは教室を片っ端から探すか。寝てるって可能性もゼロじゃないだろ。」
口からポロリとこぼれ落ちる独り言。
言葉にしないと焦りでどうにかなってしまいそうだ。
少しばかりの願いを込めて教室を探したが、やはり姿は無かった。
となるとトイレにいるって可能性もあるか。
しかし、そうなると俺が入って探すなんて事は出来ない。
どうか他の場所にいてくれと願うばかりだ。
「あらあら。随分と大変そうですね。」
ここで最も会いたくない人物に遭遇する。
この状況を把握しているのかもな。
「まさか、アンタが先導してる訳じゃないよな。」
「これは私にとって嬉しい誤算ですよ。」
知らないとは答えないんだな。
言われた所で信じるに足りないけど。
そんなことよりも、今は学校のどこかにいるはずの凛を探す事が優先。
こんな奴の相手をしてる場合じゃない。
「こっちも急いでるんで。用がないなら俺は行く。」
「そんなに焦らなくても良いじゃないですか。もう少し楽しみましょうよ。」
行く手を阻むように前へ出る鬼龍院。
このまま強引にでも突破したい所だが、威圧感というかオーラというか、兎に角近付けない雰囲気が漂っている。
防御力に定評のある俺がこれだけ怯えていると言う事は、相当な実力の持ち主なのかも知れない。
「力尽くで通さないって言うなら俺も本気出すぞ。相手が女子だからって舐めてると痛い目見るって教訓があるからな。」
「意外ですね。暴力沙汰は好きじゃないかと思ってました。」
「好きな訳ないだろ。」
拳を全力で振りかざしながら、鬼龍院の下まで走り込む。
今まで防戦一方ばかりな事が多かった俺の始めての攻撃。
こんな事になるならもっと体を鍛えておくべきだった。
「グハッ!・・・どうなってんだよ。」
何が起こったのかすら分からない。
比喩表現などではなく、気が付けば地面に寝転がり天井を眺めていた。
普段の立ち振る舞いからは想像も出来ない力だ。
たちあがるこ立ち上がる事すら出来ず、呼吸を整えるので精一杯。
今は少しでも時間が欲しいって言うのに、邪魔すぎるなあの女。
「おい、これどう言う状況だよ。」
「あらー、これは薔薇姫じゃないですか。」
俺が倒れているのを見て、怒りを露わにしてくれる華の姿がそこにあった。
華が来た瞬間に、興味の対象がすぐに移り変わる。
新しいおもちゃを貰った子供のようにウキウキと目を輝かせているのが、この距離からでも分かるな。
最初から目的は雑魚の俺なんかではなく、華を誘き寄せること。
メールか何かで呼び出したと考えるのが妥当か。
「なんか急ぎの用があるんだろ陽太。行って来な。」
「だけど、こいつ相当強いぞ。」
「分かってる。まともに戦って勝てるかどうか分からない。だから、時間を稼いで教師を呼ぶ。」
「随分と可愛い判断をするようになりましたね薔薇姫。前の貴方でしたら、どちらかが真っ赤な血に染まるまで殴り合うことを選んだはず。だってそれが薔薇姫の由来の一つなのだから。」
真っ赤な薔薇の華は、誰かの血を浴びることでその花びらを染めて来たという意味か。
どこのヤンキーが考えたのか知らないが中々なポエマーのような由来を考える。
「その肩書きは捨てたんだよ。今は一人の生徒として、友達を見捨てない。」
「悪いが任せるぞ。華、負けんなよ。」
「誰に言ってんの。アタシ、つえーから。」
一番頼もしい相手にこの場は任せる。
華が負けないって言うのだから、それを信じる。
シンプルな話だ。
鬼龍院とすれ違うが先程と違って、そのまま通してくれた。
俺が足止めを喰らったせいで、華が対処する羽目になったのは自分自身に憤りを感じるが、今は自分の役割を遂行すべきだ。
探す場所は、大体決めた。
多分、あの場所辺りに閉じ込められているのでは無いだろうか。
何となくだけど、俺の直感がそこにいるのでは無いかと言っている。
予想が正しければいるはずの部室棟の隣の物置小屋へ向かう。
あの場所は、人目につく事もほぼ無く、尚且つ鍵も掛けられる。
時計の針は残り十分で出番が来る事を告げていた。
体の痛みに耐えて、俺は校舎を全力で駆け抜ける。
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