第063話 究極の二択、答えはどちらも
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「おはよう。」
「あっ、おはよう陽太くん。昨日はしっかり眠れた?」
「八時間は寝れたな。」
「ってことはグッスリだったみたいだね。」
偶に緊張や興奮で十分に睡眠を取らない人も多い。
しかし、俺は全くそれに当てはまるタイプではないので、凛の心配も不要だ。
というよりも、俺じゃなくて凛の方が大丈夫じゃなさそうだ。
緊張で手は震えているし、目元の血色が悪いことから寝不足なのも伺える。
「 練習が始まるまで仮眠してたらどうだ?俺が起こすぞ。」
「いやいや、大丈夫だよこれくらい。それにウチ、一度寝ちゃうとアラームとか掛けても起きれない人だから。」
「それなら無理に寝させない方が良いな。そろそろ練習も始まると思うし、頑張って耐えようぜ。」
近くの壁に座り込んで背中に全体重を乗せてもたれかかる。
他の生徒が真剣に台本を読み込んでいるというのに、俺と来たら不真面目な奴だ。
しかし、これも仕方ないこと。
俺は既に台本を暗記しているので、覚えることはもうない。
台詞を口ずさむことぐらいなら出来るけど、イメージが全く浮かばないので誰かとやらないと出来ない。
「おはようみんな!早速、最後に通して練習していこうと思う。当たり前だけど、台本を見ないでね。」
一部生徒は、台本を見てはいけないと聞くと不安そうな顔を浮かべている。
しかし、今日はもう本番だ。
本番は台本なんて当たり前に見れないのだから、この時点で暗唱出来るくらいになってないと困る。
練習が始まると全員が真剣な顔付きになる。
表情や態度からも世界観を表現されていて、良くここまで形にすることが出来たなと感心するほどだ。
だって、最初のグダグダな感じを見たら、誰だって成功するはずがないと思うだろ。
「良いね!完璧だよみんな!」
手を叩いて褒める御城。
それを聞いて全生徒が胸を撫で下ろす。
こんなに頼れる生徒になった御城だが、果たして内心では何を考えていることやら。
願わくば、改心したことを祈りたい。
「言葉では上手く言えないけど、凄かったねみんな!」
「いや、凛の演技が一番良かっただろ。普段の凛からは想像出来ないほど迫力があったぞ。」
「そんなことないよ。ほら、陽太くんだって最初の頃と比べてかなり良い演技だったじゃん!」
「凛から太鼓判を貰えるなら本番も安心だな。」
そのまま凛は台本読みに入った。
もう心配するような点は無かったはずなのに、どこまで行っても真面目な奴だな。
今の時間は八時二十分。
もうそろそろ藍連祭が始まる時刻となる。
俺達、一年生の出し物は舞台発表のある十四時から十六時まで。
つまりはほとんど終盤の方なので、それまでは時間が有り余って仕方ない。
何をしようかなんて一切考えていなかった俺は、とりあえず飲み物を買いに行く道中で考える。
朝一で飲み物を買っておかないと、一般客も使える様になっているので気付いた時にはほとんど売り切れになっているだろう。
「二本くらい買っておいて損はないと思いますよ。」
後ろからわざわざアドバイスしてくるのは、見覚えのある女。
しかし、朝から出会ってしまうとは縁起が悪いな。
「そんな露骨に嫌がらなくて良いじゃありませんか。」
「人に嫌がられるようなこと沢山して来ただろうが。」
「はて?何のことか全く持って身に覚えがありませんね。」
「その歳なのに、記憶力が低下してるとは大半そうだ。じゃあ、用件がないなら俺はこれで。」
「せっかちさんなんですから。花火、置いておきましたから、良ければ探しておいてください。」
それだけ言って、また姿を消す鬼龍院。
神出鬼没な疫病神だなアイツは。
ゲーム感覚で、人の不幸を楽しんでやがる。
こっちはその事で頭一杯だったって言うのによ。
藍連祭を楽しむなんてこと二の次で、俺は走り出した。
まずは、人が多く集まりそうな場所から重点的に。
隅々まで探そうとしているが、想いに反して見つからない。
人が入るのは九時からだ。
それまでに見つからなければ余計に発見は難しくなるだろう。
体育館にあるのではないかと山を張ってくまなく探しているが、ここには無いのかもな。
途中で何度か教師とすれ違って声を掛けられたが、教師に頼ることは出来ない。
何として、他の誰かが見つける前に。
校内放送が聞こえる。
「大変長らくお待たせいたしました。これより第十四会藍連祭を開始いたします。校内等では・・・」
やばい、気付けば開始時間になっていたのか。
まだ体育館は人が来る事はないが、他のエリアは今頃人で溢れ返り始めているかもな。
俺とした事が探す順番間違えたか。
そもそもこんなに広大な敷地内を一人で探すのには、無理があったのかも。
なんて弱気にもなってみたが、そんな暇があるなら走り回れるだろ。
あれだけ、わざわざ俺に接触して来た鬼龍院のことだ。
何かヒントは残しているはず。
「いたいた!陽太くん!」
このタイミングで話し掛けて来たのは凛。
まさか藍連祭中に話し掛けてくる奴なんていないと思ってたのに。
話を早めに切り上げて探し物を再開させたい所だが、愛想悪くする訳にもいかない。
自然な形でこの場をフェードアウトしなくては。
「あっ!やっと見つけた陽太!」
嘘だろ。
なんで今日に限って神崎とも遭遇してしまうんだ。
神様は俺を見放してしまったのだろうか。
神崎も加わったことにより、周りの視線も集まる。
目立って行動したくない俺にとって最悪な状況だ。
そんな困った俺を見兼ねてなのか、一本の着信音が鳴る。
誰からの電話なのか見ていないが、タイミングとしてはバッチリだ。
縋る思いで電話に出ると、声の主は華だった。
「どうかしたのか華?」
『鬼龍院の落とし物はアタシが見つけるから、陽太は藍連祭楽しんで。』
「それは無理な話だろ。気になってそれどころじゃないっての。」
『だからって、目の前の二人放って置いて良い理由にはならないでしょ。』
どこからか俺のこと見てたのかよ。
ドッキリのカメラを探すかのように慌てながら華の位置を探す。
すると、こっちに手を振る人影が校舎三階に。
状況が分かってるなら助けてくれよと言いたい所だが、きっと華は凛の肩を持つだろう。
「分かったけど、俺も一応周囲を探しておくからな。」
『あんまり堂々と探さないこと、凛が気付くから。』
「俺のことどれだけ信用してないんだよ。」
『バーカ、一番頼りにしてるっての。』
あっ、アイツ言いたいことだけ言って切りやがった。
ドラマの主人公なのか。
ちょっとだけ胸がキュンとしたじゃねーか。
「悪い悪い。電話終わったけど、俺になんか用とかだったのか?」
「「どっちと藍連祭見て回るか選んで!」」
世界一恵まれた質問だけど、俺にどちらかを選ぶ機能が付いていない。
どちらかを選ぶということは、選ばない方が存在するということだ。
「三人で回るという選択肢は・・・」
「「ない」」
息ぴったりなんだから、凛と神崎で回れば良いだろ。
絶対俺と回るより楽しい。
結局、二人で話し合って交代制で俺を連れ出す事が決まったようだ。
そこに俺の意思は含まれていないが、案の定拒否権というものは存在しなかった。
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