第056話 完璧を纏う男
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次のクラスはD組。
俺にとっては全く知り合いのいないクラスだ。
だからと言って、偵察なので見ない訳には行かないよな。
運が良い事に俺らには真が付いている。
顔が広いコイツの事だから、D組にだって知った顔があるはずだ。
現に俺らの前を歩いてくれているし、余り関わることのない他クラスに行くのに自信満々な顔。
「よーす、音無!元気そうかだなー!」
「やれやれ君か。僕らのクラスの様子でも見に来たのかい?それならば、ウェルカム。盗める情報を盗んで行くと良い。」
この会話を聞いただけでも癖の強い生徒だと分かる。
いや、そんなことよりもこの自信。
まだ文化祭元い藍連祭までに時間があるというのに。
まさか、この段階で形になってるとか言わないよな。
だとしたら、他のクラスを凌ぐ団結力だぞ。
「来ておいてなんだけど良いのか見ても。」
「その答えはノープロブレム。僕が指揮を取っている以上、常に完璧な状態だからね。それに他のクラスと協力して、切磋琢磨し合いより良いイベントにする。それこそがビューティーフルだろ?」
「おい、真。お前の友達は癖強い奴ばっかだな。」
「お前もだけどな。」
俺よりも普通の人間はいないぞ、失礼だな。
それよりも音無が歓迎するなら見ていくとするか。
どうやら、休憩明けでちょうど練習を再開するみたいだしな。
って、既に音響や照明の練習まで始めている。
どこから用意したんだよその機材。
何から何まで手筈が良すぎる。
「どうやら驚いているみたいだね。これでも各クラスに用意されている予算は守っているんだ。例えば、衣装。これは近所の演劇サークルからお借りしてる物だ。僕のクラスにそこの大学に通ってる兄弟がいる子がいてね。これもまた一つのディスティニー。」
行動力、統率力、状況処理能力。
どれを取っても完璧すぎるだな。
七対三で分けられた前髪さえもが、完璧な髪型に見えて来たのは一種の洗脳か?
「うへぇー、音無のクラスだからレベル高いとは思ってたけどここまでとは。」
「何者なんだ音無は。」
「アイツは、高校生になってからサッカー部に入った俺の部活仲間。」
「説明が省かれているぞ柊くん。中学一年で野球を極め、二年でバスケ、三年で陸上。そして次がサッカーだ。それを忘れてもらうのはノーセンス。」
どこの超人だソイツは。
フィクションでももっとリアリティーある設定にするぞ普通。
しかし、今の状況を見ると本当だと言うことが本能的に理解出来る。
コイツは、人間の範疇を遥かに上回る完璧人間だ。
「それで僕らの出し物はどうだった?我ながら出した結果はパーフェクト。それ以外ないと思うのだけど。」
「乾杯だな。これ見せられて何頑張れば良いんだよって感じだ。」
「ウチもちょっと戦意喪失したかも知れない。せめて、出番がD組より先なことを願いたいよ。」
全く持って同意見だ。
他のクラスが見劣りしてしまって話にならない。
でも、完璧なのは練習の段階でだ。
もしかしたら、アクシデントがあるかも。
いや、人の不幸を願ってまで成功させたいもんじゃないな。
それに俺達の感想よりも観客の心を掴めるかが大事だ。
彼らがやるのはオペラ座の怪人を短く纏めた物。
端的にしてあるとはいえ、どれだけの人に響くか。
「それにしても張り切ってるな、どのクラスも。なぁ、陽太。」
「まさか、配られたプリントを見てないのか柊くん。ノットアンダースタンド。」
「驚くことないぞ音無。コイツはそういう人間だ。」
「良いだろう、説明してあげよう。どうしてどのクラスも張り切ってのかという質問だけど、それはこのプリントにしっかり記載してある。最後の行だよ。」
「どれどれ、各学年の最優秀賞クラスには購買部にて幻の数量限定販売・特選肉祭り弁当の引き換え券を人数分配布か。・・・えぇ!!!どんだけ金持ちなのこの学校。一クラス三十人の三学年で九十食あるですけど。」
金もそうだけど、その弁当の価値だ。
あれはこの学校でしか食べることの出来ない弁当で、ここの卒業生で有名な料理家の方がご厚意で提供しているのだ。
その数、月に一つ。
しかも、いつ何時に販売しているか不明。
つまり、学年の最優秀賞が確実に手に入る手段だ。
「だから、みんな張り切ってんだよ。分かったか?」
「なら、俺達も頑張らないとな。今はあんな感じだけど。」
「全然上手くいってないもんね、ウチのクラス。他のクラスを見る限り、一番進行度も遅いかも。」
「あんだけバラバラならな。」
これから一致団結して、最優秀賞を取る。
そんな未来を思い描いても実現は出来ない。
あまりにも御城という存在が邪魔だ。
音無のようにリーダーとして動きたがる彼だが、スペックが違いすぎる。
「ありがとう音無!次のクラス見てくる。」
「そうか。互いに悔いの残らない物にしよう。それでは、グッバイ。」
残されたクラスはA組だ。
神崎と物部がいるクラス。
あちらもクラスの団結力で言えば、群を抜いているはず。
どんな感じになっているのか楽しみだ。
「おーい、風香!調子どんなもん?」
「あぁー!真!見に来てくれたの?」
「ちょっと暇な時間が出来たから来ちゃった。」
「嬉しい〜!」
このイチャイチャは毎回人に見せつけないと気が済まないのか。
そんなことより中の様子はどうだろうか。
チラッと覗くとそれなりに準備が進んでいる。
簡易的な小道具を作ることで練習の質を向上させたり、暇な人間を作らないよう常に進行状況を確認したりしているようだな。
このクラスの指揮を取っているのは、神崎かと思ったがそうではないようだ。
男子生徒と積極的に会話出来ないことを考慮すると自然か。
そんなことを考えながら神崎を見ていると目が合う。
一瞬、俺の名前を呼ぶのではないかと危惧したが、小さく手を振ってくるだけ。
良かったと安心しながらも俺は手を振り返した。
こっちに来て会話に混ざるのかと思ったが、彼女はクラスの友達と準備を続けている。
これだけの人数がいる中で俺と話せば、目立ってしまうことを考慮したのか。
俺が気を遣わせてしまっていることに気付くと、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「どう?すごいでしょ?」
「やばいな陽太。俺達のクラスも順調な方だと思ってたけど、グダグダじゃないか。」
「明確なリーダーがいないからな。委員長がそれを務めてくれれば丸く収まるが、御城がそれを許さないだろうよ。」
「なんか大変そうね真のクラス。」
大変とか言ってられる時間は遠に過ぎた。
解決を目指さなければ、最優秀賞どころか最悪の思い出として記憶に残ることだろう。
「色々状況は見えたからクラスに戻るか。」
「そうだね。ウチも頑張らないとなって気合い入ったよ。」
握り拳の両手で作って気合いをアピールする凛。
それを見ると俺も負けてられないと思う。
クラスに戻ると誰一人として練習なんてしてなかった。
当たり前といえば当たり前か。
わざわざ練習をしようと思えるほどの気合いは、最初から感じなかった。
この場いる全員が目指しているのは、それなりに楽しかったと思える藍連祭だ。
「よし、練習しよ陽太くん。」
「そうだな。負けてられないし。」
最初は二人で台本を読んでいた。
そしたら、一人また一人と台本読みを始める。
誰かがやれば自分もやるという気持ちがある分、どうにかなりそうだと希望を見出した。
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