第039話 近いけど遠い世界の話
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数学の後は漢文・古文、世界史、英語の順でテストは進められた。
どれも苦戦を強いられる難易度に感じたが、復習の成果で何とかなりそうだ。
一日目のテストはこれで全て終了。
後は帰宅して良いことになっている。
大半の生徒は、今日の結果を受けてより勉強に励む。
一部例外もいるが、そう言う奴は決まって頭が良いか諦めているかだ。
「お疲れ様ー。どうだったテストは。」
「俺は何の問題もなさそうだけど。」
「・・・そうなのか。もし、俺に赤点があったらお前が骨は拾ってくれよ。」
「大袈裟に言い過ぎだろ。」
「今の俺を見て大袈裟だと本当に思うか?」
いや、大袈裟とかではなく、本当に赤点を取るか取らないかのギリギリなんだろう。
「なんか奢ってやろうか?」
普段は厳しく接してしまっている俺でも、優しい言葉を投げ掛けざるを得ない。
勉強しなかった真が悪いのは事実だが、弱っている相手に追い打ちをかけるのは可哀想だからな。
「いや、流石に家に帰って勉強するよ。後のテストもギリギリだったら親に殺されてしまうって。」
「それなら邪魔しない方が良いか。」
「またテストが終わったら遊びに行こうぜ。場所とかは決めておくからさ。」
それだけ言い残して、教室を足早に去って行った。
誰もいない教室は静かだ。
俺も早く帰って勉強すべきなのは分かっているが、もうすこしだけこの空間にいたい。
机にダラーっと体を預けながら、外の景色を眺める。
「あれ?何してるんですか?」
見た事ない生徒が教室に入ってくる。
学年が同じかどうかも分からないが、少なくとも同じクラスでないことは確かだ。
「テストで疲れてゆっくりとしていたところです。」
「そうでしたか。他の教室は電気さえ付いていなかったのに、ここだけ使われていたので気になって覗きに来てしまいました。」
「もうそろそろ教室を出るつもりだったので、さっさと準備して帰りますね。」
「いえいえ、お気になさらず。綺麗に教室を使っていれば何の文句もありませんので。」
そう言われても、理由もなく教室に残っていただけ。
先生か誰かに帰る様促されたら帰るつもりだった。
「そうそう、貴方一年の佐倉陽太さんですよね。」
「そうですけど?どうして、俺の名前を。」
「どうしてだと思いますか?」
「一年では悪評広められてちょっとした有名人なので、知ってる人もいるだろうけど、他学年まで広まってるとは。」
「あら。私、自己紹介をしましたっけ?」
「何となくですよ、何となく。」
俺のことをわざわざ"一年の"と呼ぶくらいだ。
そんなの他学年ぐらいだろうと思っただけ。
それにしても、わざわざ俺だと分かっていて呼び止めるなんてな。
この学校は変人が多いと思っていたが、まさかこんな人までとは。
「呼び止めて何か用ですか?」
「用ということではないのですが、噂に聞いた人が実際はどんな人なのかと思いまして。」
「たまたま俺と遭遇したから話しかけてみたと?」
「そういうことになりますね。」
それだけ言ってまじまじと観察を始める。
整った容姿の美少女から見つめられているはずなのに、蛇に睨まれた蛙の様な気持ちになる。
相手が興味があると言って話しかけて来たので、こちらから話題を振ることもなく、ただただ無言の時間が流れる。
耐え切られなくなってしまい、俺から声を掛けることに。
「用はそれだけですか?」
「えぇ、今の所は・・・ですけど。」
「じゃあ、さよなら。」
教科書を詰め込んだ鞄を持って教室を出ようとする。
彼女が見えなくなるぐらいの所で、最後に声を掛けられた。
「私の名前は、鬼龍院 雅。以後お見知り置きを。」
なんでわざわざ俺に自己紹介をして来たんだ。
他学年の先輩と今後関わることも少ないだろうから、覚えておく必要もないと思う。
しかし、これだけ怪しげな存在を簡単には忘れることが出来ない。
仮にもう一度会うことがあったらすぐにでも名前を思い出すだろう。
学校は午前中で終わってしまったので、午後から何をしようか迷う。
明日に向けて勉強をするのが無難だけど、一・二時間くらいの息抜きなら許されるはず。
時間帯を考えるとどこかで昼飯を済ませるのが、丁度良い息抜きになるだろう。
そして、こんなこともあろうかと俺は目星を付けている店がある。
「いらっしゃーい!」
元気な挨拶と店全体に広がる湯気が俺も出迎えた。
ここは知る人ぞ知る・・・と勝手に思っているラーメン屋だ。
俺が小さい頃からあったが、今まで来るタイミングを逃していた。
しかし、テストで早く帰れることが未到の地へ踏み込む勇気を与えてくれたのだ。
「味噌ラーメン一つ。」
「お兄ちゃん、ウチの味噌ラーメンは野菜結構多いけど大丈夫そうかい?」
「お腹ペコペコなんで大丈夫です。」
「漢がそういうなら邪魔できねーな。」
そう言って厨房へと戻っていく。
テーブル席は満席だったので仕方なくカウンターへ。
行列が出来るほどではないが、昼時に席がぼちぼち埋まるのは親しまれてる証拠だろう。
ラーメンが届くまでの間、携帯さえも触ることなく厨房を眺めていた。
ラーメンを作り出すまで工程を見ているだけでも面白い。
また、一人来店して来たようで俺の隣に座る。
「おい、お前。」
隣に座った男は、誰かに話し掛けているようだ。
まさか、俺に話し掛けて訳ないよな。
「名前は、佐倉陽太だな。」
へぇー、同姓同名の人がこのラーメン屋にいるんだ。
珍しいこともあるんだなぁー。
「俺のことわすれてねぇーだろうな。」
「誰が忘れるかよ。華のこと付きまとってた天竹だろ?」
「おい!お前姉御のこと下の名前で呼んでるのか!」
「そうだけど?何か関係あるの?」
「チッ。そんなことは今いい。姉御、学校での様子はどうだ。」
なんだこいつ、会って最初に聞くことがそれかよ。
前にあんだけ好き勝手やっておいてよく平然としていられるな。
無視をするのが一番なんだろうが、前のように暴れられても厄介なので素直に答える。
「お前に心配されるまでもなく楽しそうにやってるよ。友達もちゃんといるし、部活だって入ってるし。」
「そうか。姉御は今幸せなんだな。」
天竹が見せた表情は悲しさと嬉しさが混じっているように思える。
前と違ってどこからも危なさを感じさせない。
だからと言って、前回の行いが清算される訳じゃないけど。
「俺が直接姉御に話してもまともに取り合ってくれないから、お前に頼みがある。」
「はぁ?頼み?絶対に聞いてやんねーよ。」
「頼む、この通りだ。」
謝罪のつもりなのか、こちらを向いて頭を下げる。
「はいよ、味噌ラーメン二つ。」
ここでラーメンが到着する。
「そこの兄ちゃんよ。龍坊は、気性も荒いし、突っ走って行動する癖があるけど、悪い奴じゃねーんだ。話ぐらい聞いてやってくれないか?」
俺はラーメンを口にかき込む。
最初の注告通り野菜が多いけど、しっかり野菜にも味がついているな。
「この美味いラーメン作った店主に感謝するんだな。話くらいは聞いてやる。」
決して許したとかでは無いけれど、美味いラーメンを作った店主の言葉を信じてみようと思っただけだ。
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