第038話 テストのある朝は静か
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来てしまった。
いよいよ今日がテスト本番。
どう足掻こうとも今までの積み重ねで結果が変わる。
だから、俺は無駄に教科書を開かない。
と言いたいところだが、実際にはそんな余裕全くなくホームルームが始まるギリギリまで目に焼き付けていた。
中には全く家で勉強していなかったのか、嘆きの声を上げなら必死にテスト範囲を覚えようとしている者もいる。
この瞬間だけでどうにかなるなら苦労はしないだろ。
「うわー!やばい!マジでテスト勉強してたのに!」
なんだ、よくよく見たら真か。
こんなにうるさいのに誰も反応を示さないので、俺にしか見えない悪霊の類とさえ思っていたのだけど。
「土曜日、一緒に勉強したばかりだろ。その後も勉強してれば・・・。」
「も、勿論勉強しようと思ったよ?でもさ、これには闇よりも深い事情があって。」
なんだその厨二心をくすぐるような事情は。
普通は谷とか海とかじゃないか?
そんなことは置いておくとしてどうせ大した理由じゃないんだろう。
一応、理由を聞いて欲しそうにこちらを見てくるので問いかけるけど。
「それで話したいなら素直に話せよ。」
「なんと・・・、なんと。彼女とお泊まりデートしたんだよねー。」
ほらな、こう言うことだ。
朝から友人の惚気話を聞くほど元気ではない。
ましてや、今日はテスト当日。
そんなことをいちいち聞いているぐらいなら、教科書を眺めていた方が自分のためになる。
「それでさー、俺も勉強するなら良いって言ったんだけど、どうしても甘えてくるから仕方なく。んで、ゲームとか雑談に花咲かせてたら朝になってたんだよ。お陰で寝不足だっての。・・・って、聞けよ最後まで。」
「お前、焦った方が良いんじゃねーの?先に言っておくけもど、赤点取っても俺は助けないからな。」
「そんなこと言っても、今から勉強したってあんまり意味ないだろ?」
言っている事は正しい。
しかし、その発言はこの場にいる多くのクラスメイトを敵に回していると気付かないのか。
まぁ、そんなことを聞いたって怒り狂う生徒がいる訳でもないから良いけど。
「とにかくだ。補修受けて彼女と遊べなくなるのは嫌だろ?」
「確かにそれは困る。うーーん、教科書だけでも眺めとくか。」
彼女を引き合いに出した途端大人しく勉強を始める。
こんな事で大人しくなるなら最初からそうしておけば良かった。
中学からの付き合いになるが、まだまだ知らない事も多いな。
「おはよう陽太さん。今日はテスト当日ですけど、自信のほどはいかがですか?」
今度は凛が話しかけて来た。
真だと鬱陶しく感じるのに、凛だと全く感じないのは何の差だろうか。
そんな事を考えていると、自信がないと勘違いした凛が申し訳無さそうに謝る。
「もしかして、勉強の邪魔しちゃいましたか!?ごめんなさい!」
「いやいや、別のことを考えてた。勉強の自信はなぁー、そこそこにほどほどにってところだ。」
「と言うことは自信ありってことですね。謙遜は日本人の様式美ですから。」
「そんなものは美と言わない。どちらかといえば悪しき風習だろあんなもん。そんなこと言ってる凛はどうなんだ。」
「・・・」
「おーい。」
「あっ、う、ウチですか?」
勉強のしすぎなのか、一瞬だけ別の世界にトリップしてしまったようだ。
俺の質問が悪かったのかと思い聞き直そうと思ったが、その前に慌てて答えてくれる。
「それは自信あります!と言いたいところですけど、不安ですね。」
「凛の学力とか知らないから気になるな。」
「うぅ〜、頑張ります。」
世間話のつもりがプレッシャーを与えてしまったらしい。
「中学の時は学力どのくらいだったんだ?」
「それはですね!なんと!学年で十位以内を取るくらいの成績ですよ!」
母数が分からないから何とも言えないが、このドヤ顔を考えるとかなりの好成績を収めていたと思ってまず間違いない。
中学と高校ではレベルが違うと考える人もいるかも知れないが、中学で頭が良い奴は大体高校でも頭良い。
「言っちゃ悪いが、普段からゲームしてるイメージしかしてないから成績良くないかと思ってた。めっちゃ見直したかも。」
「ふっふっふ。それはよく言われますけど残念ながら違うのですよ。学力上がる=レベル上げみたいで好きですから。」
「その感覚が羨ましい。俺はゲームでも、先が見たくてバンバン進むタイプだったからレベリングは苦痛だ。」
「なっ!レベリングの良さについてウチが熱く語って上げますよ!」
「テストが終わったら、存分に聞かせてもらおう。」
「本当ですか!約束ですよ!」
ゲームの話をする相手が少ないのか、その約束を取り付けるとルンルンで席に帰る。
それくらいならいつでも雑談として聞いてやるのに。
俺から語れる物は少ないけど、ゲーム熱を再度灯す為には良いかも知れない。
最近は手を出さなくなったゲームも多いからな。
学校で勉強出来る時間は無惨にも消え去っていった。
扉を開ける音を聞いて、すべての生徒が鞄に教科書を入れる。
ここで間違っても引き出しに入れてはならない。
カンニングを疑われてしまったら、点数どうこうの話ではなくなるからな。
「それでは今からテストを始めるぞー。知っての通り、最初は数学だ。計算ミス等がない様に十分注意すること。それでは問題用紙を配る。」
テストが始まっているので、誰も声には出さないがいきなり数学からとは。
事前に分かっていたとして文句を言いたい。
数学が一番正確性とスピードを求められる教科だ。
それを最初に持ってくれば、次の教科が始まる前に疲れ切ってしまう。
「では、始め!」
そんな嘆きも届かず、時間通りにテストが始まる。
これ以上、文句を言っていても点数は増えない。
それよりもシャーペンを動かすべきだ。
いつも見ている問題集より難しく感じてしまうテスト用紙を見ながら俺の戦いは始まった。
◇◆◇
「そこまで!解答用紙を後ろから回して集めてくれ。」
終わった。やっと終わったぞ。
数学は当初の文句と裏腹に詰まる事なく解けた。
簡単かと言われれば軽く首を縦に振ることは出来ないが、問題集の問題を少し難しく見せていただけのこと。
基礎をしっかりと押さえていれば六十から七十は取れる。
後の点数はガチガチの応用だったので、点数を取れたかは分からない。
「や、やばいぞ陽太。」
しわしわになった真が近づいてくる。
これを見ただけでどれだけ苦戦したかが分かるな。
ここで勉強しなかったことを咎めてやりたい気持ちもあるが、一緒に乗り切った戦友でもあるので控えよう。
真っ先に送る言葉は労いでなければならない。
「よく頑張ったな。」
「陽太ー!」
「俺はお前が赤点でも否定したりしないからな。」
「なんで赤点取る前提なんだよ!」
「冗談だっての。後の教科も頑張ろうぜ。」
他の人がどれくらい出来たのか聞きたいが、この時間も次のテストに向けて勉強しているだろうから邪魔できない。
俺も油断は出来ないので、教科書を広げよう。
こうして俺達の補修を掛けた戦いが幕を開けたのだった。
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