第030話 探り合う食卓
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その家は、二人で住むには十分過ぎる家だった。
お子さんが居たのかどうかは知らないが、佐藤先生の歳を考えると既に家から出ていると考えた方が自然か。
「おかえりなさい!まぁー、皆さんがウチの旦那の生徒さんですか?」
「お世話になっております。学校で奥さん話を良くされているので是非ともお会いしてたく本日は来ました。」
「礼儀正しい生徒さんですね。どうぞ、中へ入ってください。」
佐藤先生の奥さんは、落ち着きのある方で言葉の端々から品性を感じる。
それと急に来た俺達を歓迎してくれる心の広さも。
外で話すのもあれかと思い言われるがまま室内は入ると、まずおしゃれなインテリアが目に入る。
インテリアの中でも特に気になるのはライトとして置かれている植物。
葉っぱに電球が仕込まれていて光るようになっているのか。
普段からそういった物に疎い俺でも全ての物に興味が湧き出る。
「さぁ、皆さんお座りください。今からお料理持って来ますから。」
「お手伝いさせていただきますよ。急に押しかけてしまったので。」
「良いですよ良いんです。最近、旦那だけに料理出すのも飽きて来た所だし。それに子供と内は気遣いなんて覚えなくて良いんですから。」
俺達が手伝おうとするとまとめて背中を押され、キッチンから出された。
これ以上は、余計に気を遣わせるかと思い着席。
若干の手持ち無沙汰はあるものの佐藤先生と雑談タイム。
そうした方が、佐藤先生が生徒から好かれる先生だと印象付けられるからな。
「はい、今日はグラタンを作ってみました!後、ミネストローネもあるからね。」
食卓には次々とご飯が並べられていく。
サラダやパンも取り分けられるようにおいてある。
夜ご飯は一週間を同じメニューがサイクルする俺の家とは大違いだ。
「お、美味しそう!こんなに手の込んだ料理が出るなんて佐藤先生羨ましいですよ。」
目をキラキラに輝かせながら話す凛。
料理を目の前にして緊張がほぐれたのだろう。
ただ一つだけ忘れてはならないのが、ここへ来た目的だ。
美味しい料理を食べて満足でしたで終わらないよう気を付けていただきたい。
「いただきます!」
全員が席についたので食事の挨拶を済ませる。
話を切り出すのは、一度料理に手を付けてからが無難だろう。
出された時から匂いで俺を誘惑していたグラタンを口へ。
これが飲食店を出せば行列が出来るほどに美味しい。
チーズの香ばしさと程よい焼き目が口の中を支配する。
ある程度グラタンを堪能した後、ミネストローネを飲むとトマトの酸味が口をさっぱりとリセット。
・・・毎日この料理が食べられる佐藤先生が羨ましいな。
「どうかしら、口に合うか心配だけど。」
「とても美味しいですよ。何か、料理系の仕事をされていたんですか?」
「いやいや、そんなことは全くないですよ。ただ凝り性なだけ。」
「佐藤先生、良い奥さんですね。先生がいつもおっしゃる通りの人だ。」
ちょっとした芝居も挟む。
俺達は無駄に口を挟むとボロが出そうなので、今は口を閉じておく。
気持ちとしては全部任せるつもりでいよう。
「あら、貴方学校で私の話をしているの?」
「そうなんだよ。僕には出来過ぎた奥さんだってね。」
「やめてよー、恥ずかしい。褒めても何も出てこないですよ。」
恥ずかしいと言いながらも嬉しそうだ。
職場で自分の自慢話をしてくれて、気分が悪いはずがないか。
さて、問題はここから。
奥さんの気分良くすることには十分成功した。
後はどうやって情報を聞き出すかということだ。
顔には決して出さないようにしながら熟考する。
華は料理に夢中な様子だが、それもバレないようにする為だような?
まさか、完全に目的を忘れたりとかでは・・・。
途中で目が合ったけど、首を傾げて食事を続けていた。
「お二人とも夫婦円満で羨ましいです。何か秘訣とかあるんですか?」
「簡単なことなんですけど、互いに尊敬し合うことですかね。」
「今でも休日にお出掛けとかされるんですか?」
俺も振り絞って質問してみる。
タイミング的には悪くなかったのではなかろうか。
「娘達がいた昔程ではないけど、時々行きますよね。それこそお昼ご飯を食べに行ったり、私の好きな雑貨屋を巡ったり。」
「雑貨好きなんですね。玄関のインテリアすごく可愛いかったですよ!」
「分かってくれる!?旦那に言ってもオシャレとしか言ってくれないのよ。あれの可愛いさが伝わって嬉しいー!」
俺には全く伝わらなかった可愛いと言う感性。
どうやら、凛には伝わったようだ。
佐藤先生も誉める努力はしたようだが、可愛いは当てられなかったらしい。
同性だからこそ伝わる感性なのかもしれない。
「雑貨とか意外にも趣味ってあるんですか?裁縫とか音楽とか。」
「うーん、裁縫は滅多にやらないわね。音楽とかなら家事の合間に流すけど。」
自然な形で誘導に成功した。
ファインプレー過ぎるだろ凛。
ここから音楽の話を深掘りすればいずれゴールへ。
「僕はクラシックとか聞きますね。ピアノを習っていたので。」
「ピアノが弾けるんですね。実は私もなのよ。小さい頃に演奏してコンクールで賞を貰ったことだってあるの。」
「それは僕も初見だな。ピアノの話なんて聞いたこともなかった。」
「普段なら話題にならないですからね。」
コンクールで賞を取った曲ならいくら小さかった時とはいえ記憶に深く刻まれているはずだ。
オルゴールにする選曲にピッタリかもしれない。
「ちなみにどんな曲で賞を?」
「パッヘルベルのカノンよ。今聞けば聞くに耐えないかも知れないけど、当時は相当努力した曲。言わば、思い出の曲ね。」
間違いなく聞き出すことに成功した。
全員でアイコンタクトを送り、これにすることが決定。
後は難しい気を使わずに雑談するだけで終了だ。
楽しい食事会も終わり解散することに。
奥さんはまた遊びに来てねと念押ししていたので、縁が合ったらまた来たいものだ。
「本当にお手柄だよ星海くん!君の入部は大歓迎さ!あの入部届は僕から学校の方へ提出しておくから、また明日からもよろしくね。」
「よろしくお願いします!」
解散とする流れになってその場を後にする糸井先輩へ、深々と頭を下げている。
「それにしても、いきなり連れ出されたのには驚いただろ。」
「勇気出して部室に入ったらすぐだったので驚きましたよ!」
「この部活いつもこんな感じだからなー。凛もアタシみたいにそのうち慣れるって。」
好きな曲聞き出すの忘れて、ご飯に夢中になっている奴にだけは言われたくないだろうな。
「でも、これからどんな人達と出会って行くのか楽しみでもあるんです。きっと色んな体験がウチを待ってるって。」
「俺としては何事も起こらない方が嬉しいんだけどな。喧嘩沙汰とかマジで勘弁してほしい。」
「えっ!そんな怖いことまで起こるんですか?」
「安心して凛。なんか合った時はアタシが守ってあげるから。」
カッコいい決め台詞の所申し訳ないが、俺も守っていただけるのでしょうか?
自慢じゃないけど喧嘩強くないからな。
と言うより、何も起こらないことを祈ろうぜ。
恒例のイチャイチャを眺めながらに思うのだった。
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