第026話 偶然の約束
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妹はまだ写真集のコーナーにいた。
どうやら、他のアイドルグループの写真集も吟味しているようだ。
どうせ買うつもりがないことは知っているので、すぐに終わるはず。
遠くから俺達に気付くまで観察しておこう。
数冊手にとって表紙を眺めた後に、満足した表情で移動を始めた。
同時に俺達の存在にも気付いたようだ。
「いるなら声掛けてよー!」
「邪魔をしたら悪いかなと思って。」
「そんなの今更気にしなくて良いから。」
その言い方だと普段から邪魔になっているみたいだからやめてくれ。
会計へ行くとそれなりの列が出来ていた。
そして、全員がプラチナハイの写真集を持っている。
中には、見た目が六十歳くらいのおじいさんも持っていた。
プレゼント用なのか自分で見るようなのか分からないが、昼過ぎても買い求める人が後を絶えないのはかなり人気だ。
加えて、在庫切れを起こさないのもそれ程売れる見込みがあって予め発注していたのだろう。
「人気なんだな、プラチナハイ。」
「お兄ちゃんも興味出て来た?一枚ぐらいならライブならCD貸すけど?」
「わざわざ借りなくても散々リビングで見させられたっての。」
ライブだけじゃなくて、メンバーが出演している番組は絶対に見逃さないだろ。
やることを全て終えたので、外に出ると空が茜色に染まっている。
ここからの移動時間も考えると今のうちに帰るのが最善策だ。
「今日の所は帰ろうぜ。大分遊んで日も落ちて来たし。」
「そうしようか。それにしても楽しかったなー。また、みんなで遊びたいな。」
「ウチも全く同じこと思いました!こんなに楽しい休日過ごしたのは久しぶりですよ!」
最初は嫌々家を出て買い物に来たが、友達と外で遊ぶのも悪くないな。
まだ休日は家派であることには変わりないが、誰かと一緒なら外に出てみようと思える。
電車に揺られて藍連市に戻ってくる。
夕方だからなのか定時で帰る人々でパンパンだ。
人混みを掻き分けてようやく駅構外に出れた。
他の三人もしっかりと出れたことを確認する。
「二人の帰る手段はなんだ?」
「ウチはここからバスで帰ります。家がバス停から近いので。」
「アタシもバスかな。帰ろうと思えば、徒歩でも帰れなくないけど。」
「俺達は歩きだからここで解散だな。」
「すごい名残惜しいけど今日はバイバイですね。また、絶対遊びましょうね!」
結局梨乃が見送ると言い出したので、二人が完全にバスに乗るまで残ることに。
家に帰ったところで急ぐ用事もないので良いけど。
人数が減った事で静かになると思っていたが、お喋りなのは梨乃だという事を忘れていた。
今日の感想が止まることなく語られていく。
俺と二人で買い物に来ただけなら、これだけ満足させる事は難しかっただろう。
あの二人には十分お礼を言っておくことにしよう。
「それにしてもお兄ちゃんもやるね〜。」
ニヤニヤしながら俺の顔を覗き込む妹。
可愛い顔をしているがなんとも腹立たしく感じる。
言いたい事はなんとなく想像がついてしまうからな。
とりあえずは、分からない振りをして返事を返す。
「やるってのはなんと事だ?あれか、ゲーセンのカーレースのことか?」
「なんで惚けるの。それにカーレースは私が勝ったじゃん。」
何を言っているのか。
あんなハプニングが無ければ俺の勝ちは決まっていた。
つまり、妹を勝たせてやるためにわざと負けたに過ぎない。
そのことを家に帰ってからよく言い聞かせることにしよう。
「めっちゃ可愛い友達がいますな旦那。」
悪徳商人のように手をスリスリとして近寄ってくる。
どのテレビの影響を受けたらそんなこと覚えるんだ。
「確かに外見は可愛いけど、それを俺に言われても困るな。」
「まぁ、そうだよねー。私のせいで変に気まずくなってもらっても困るし、この話はここまでにしておこー。」
「分かってて、最初に口に出すのはどういう理由があるんだよ。」
「お兄ちゃんは普通の高校生より幸運だってこと。自覚しないと色んな人に妬まれるよ。」
「そんなの今に始まったことじゃないだろ。」
「そっか!絢音お姉ちゃんがいるもんね。」
つまり、妬まれるのは慣れているということだ。
寧ろ、それが日常の一部になっているまである。
「あれ?梨乃ちゃん、それに陽太も。」
「噂をすれば絢音お姉ちゃん!」
噂をすればというより、噂をしたから来たという可能性もある。
オカルトめいたことは信じない方だけど、こういう時に神という存在を認識する。
あまりにも悪戯な神がいるのだ。
俺が沈黙するときっと神崎は察してしまう。
気まずいと思い、避けられているのだと。
それなることを回避するためだけに口を動かした。
「どこか遊びにでも行ってたのか?」
神崎も服装は私服なので学校の帰りではないはず。
女友達の多い神崎のことを考えると休日に遊びの誘いがあったと考えるのが妥当だ。
「部活の友達が一緒に遊ばないかって誘ってくれたの。そっちは仲良くお出掛け?」
「まぁ、そんなところだ。梨乃が写真集買いたいって言うから。」
梨乃が本屋の袋から戦利品を取り出して見せる。
ご丁寧にジャーンという効果音もセルフで付いて来た。
「あっ!プラチナハイじゃん!誰好きなの?」
「それはもちろん、佐々木隼人くん!この顔、国宝級じゃないですか?」
「めっちゃ分かる。私も隼人くん好き。」
なんだか俺が入りにくい空気が溢れているな。
別に自ら入ろうとも思わないけど。
それでも疎外感というのは感じてしまう。
女子二人が会話しているのをただ眺めている。
内容が理解しながら聞いているわけではない。
ただ右から左へと音として流れていくだけ。
そんな魂の抜けた俺に気付いた神崎が話し掛けてくれる。
わざわざ話題を振ってくれるとは律儀な奴だ。
「妹の為とはいえ、わざわざ休みの日に外出るのは珍しいね。」
「どうしてもって梨乃が言うからな。暇だったから仕方なくな。」
「でもお兄ちゃん、華さんと凛さんに呼ばれてたから結局外出てたでしょ。」
「華さん?凛さん?」
「部活の友達みたいなもんだ。相談事があったみたいでな。」
「ふ、ふーん。・・・女子とね。」
なんだよ。俺にだって女子の友達くらいいるだろ。
いや、自分でもおかしいということには気付いている。
だから、深く掘り下げないで欲しい。
「私、早く写真集みたいから先帰るね。バイバイ絢音お姉ちゃん!」
急に血相変えて走り去って行きやがった。
どんだけ自由人なんだよ。
取り残された俺と神崎は余計に気まずい空気になる。
「良ければ・・・なんだけどさ、今度の休み一緒にテスト勉強しない?ほら、テストとか近いし!お互い得意分野被ってないからさ!って、やっぱり駄目かな?」
まだ断ってないだろ。
外で勉強するとなれば、他の人に見られる危険性がある。
けれども、神崎の家に行ったりするのもな。
となると、残された選択肢は俺の家だけか。
「まぁ、俺も勉強しないといけないのは事実だから良いぞ。俺の家で良いか?」
「よ、陽太の家!?」
「嫌ならどっか別の場所でも良いけど、今の時期勉強出来そうな場所は学生ばっかりだからな。」
「色々考えてくれてるんだよね。・・・分かった、そうしよっか。じゃあ、今日はこの辺で。勉強会楽しみにしてるね!」
勉強会が楽しみとか真面目な奴だな。
余程楽しみなのか鼻歌交じりに帰る神崎の姿を、夕日と共に消えるまで見届けた。
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