第025話 冗談の使い分け
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華はその呼び掛けを無視している。
まるで、華にはその少年の存在が認識できていないようだ。
「なんで無視するんですか!」
ついに華に接触までしようとするが、流石にそれは嫌がってる相手にすることではない。
どんどんの距離を詰めて腕を掴もうとした時、俺が間に割って入る。
「誰だテメェー?」
「俺達のセリフだから、そっくりそのまま返すぞ。」
「チッ、俺は天竹。」
天竹は俺達など眼中にないらしく、ずっと華に話しかけようとしている。
何度も何度もしつこいので痺れを切らした華が反応を示した。
「アンタとはもう関わるのやめたんだ。だから、アタシのことは無視してくれない?」
「今のアイツらには薔薇姫の力が必要なんですよ。」
「聞こえなかった?関わんなって言ってんだよ。」
普段は見せない薔薇姫としての顔。
他者を威圧する眼力と暴力的な構え。
その全てが今まで見て来た彼女の印象をガラッと変える。
天竹は怖がるどころか喜んでいるようだ。
この表情を待っていたと言わんばかりに。
「その顔、やっぱり姉御は変わってないんですよ。戻って来てくださいよ。男女とか関係なく俺達で頂点取れますって。」
「そんなものいらないから。」
「コイツらですか?コイツらのせいでそんな甘い考えになってしまったんですか?」
華を除く三人を一瞥する。
その眼の奥から感じるのは憎悪。
それも酷く強い思いが込められている。
俺の危機感知センサーが言っている。
この男、何か仕掛けて来ようとしていると。
じわじわと距離を詰めて来る。
そして大分距離が縮まって後に、静かさの中から不意を突く一撃を放つ。
これが俺に向けられたものならどれだけ良かっただろうか。
狙われたのは凛だった。
避けることも戦うことも出来ない凛は目を瞑るしかなかった。
「なーんて、冗談冗談。どうやら居場所が出来たみたいですね。」
拳は凛の顔前ギリギリで止められていた。
どうやら、目的は華への挑発らしい。
凶暴な姿を見せれば、自然と周りから人が減っていくと考えたのだろう。
当の本人である凛は、その狙いを読み取れるほど冷静ではなかった。
力が抜けてペタリと座り込んでいる凛の姿を見て、怒りのボルテージは最高潮に達したのだ。
前にストーカー五人を相手にした時とは、また違う雰囲気。
単純な怒りとは違う複雑なものがあると思う。
「天竹、さっさとここから立ち去れ。そして、アンタが次顔見せたら容赦しないから。」
「姉御、アンタはもうそっち世界に生きるんですね。・・・また、機会があればお会いしましょう。」
こちらを振り返ることなく、挑発するように手をひらひらと振る。
掻き乱すだけ掻き乱しておいて、用事が済んだらさようならはちょっと自由が過ぎるのではないだろうか。
天竹がその場を去った後も空気は一向に戻らなかった。
華が全く話をしようとしてくれないのだ。
そうなればこっちも触れてはいけない腫れ物のように扱ってしまう。
決して、華を嫌いになったとかではない。
寧ろ、友達だと思うからこそ触れられないのだ。
この沈黙を最初に破ったのは梨乃だった。
「何あの人!ちょっと感じ悪いんですけど。」
「ああいう、生き物なんだろ。知らないけど。」
「何も起こらなくて良かったねお兄ちゃん。」
「華が追い払ってくれたからな。」
多少フォローしてみたが、会話に参加することはまだ出来ないみたいだ。
「ウチのことは気にしないで華ちゃん。ほら、見ての通り何も無かったし。」
ピョンピョン跳ねたり、くるりと回って何も無かったことをより強調する。
それでも納得出来ない華は罪悪感に押し潰されそうになっていることだろう。
「本当にごめん。アタシのせいで。」
「なら、甘いもの食べに行きましょうよ!それで全部リセットされるんだから。」
「うわー良いねそれ。ウチ何食べようかな?ほら、華ちゃんも行こう!」
手を握り強制的にでも歩かせる。
「心配してるのは華だけじゃないみたいだな。悪いと思うならいつも通り接してやった方が良いぞ。」
「分かった。・・・ありがとう。」
お礼を言われるのは二人であって俺ではない。
俺ではないが、悪い気持ちはしないので素直に受け取ることにした。
てか、まだ食べられるってどんだけ胃袋大きいんだ。
本当にご飯とデザートは別々の腹があるんじゃないかと思うほどには食べている。
「でさ、結局陽太は何処行くつもりだったの?」
ある程度いつも通りになって来た華が、先程遮られた話の続きを始める。
「俺の行きたい場所って訳でもないんだけど、行く場所ならあるな。」
「え、お兄ちゃんに行かないといけない所なんてあるの?」
「本屋だよ、本屋。まさか、忘れてたとか言わないよな。」
「あは、あははー。やだなーお兄ちゃん、ワスレテナイヨ。」
嘘発見機を使わなくても分かる嘘だな。
これだけの盛り沢山の出来事が起これば、本来の目的を忘れてしまうのも仕方ない。
ただ、一つだけ言わせてもらうなら梨乃のために外出したんだということは忘れないで欲しい。
申し訳ないと思ったのか足早に本屋へ向かった。
ここの本屋は藍連駅の本屋より広い。
その分取り扱っている種類も多くなるので、プラチナハイの写真集も絶対にあるはずだ。
ついでに、ラノベの新刊を買うことにした。
エスカレーターで二階分下ると目の前に膨大な量の本が並んでいるのが見える。
「普段本読まない私でもこういうの見るとワクワクしちゃうんだよねー。」
「もっと本読んだ方が良いと思うぞ、高校行きたいなら。」
「お兄ちゃんだって漫画の方が多いじゃん!」
失礼な奴だ。
帰ったらラノベだけで埋め尽くされた本棚を見せてやろうか。
妹の絶望的な学力を心配している間に写真集のコーナーへ辿り着く。
これで目的は完了だが、せっかくならみんな本を買いたいとバラバラに探索を始めることに。
面白いことに一人として同じ場所へ向かう者はいなかった。
俺は買うもの決まってるからすぐに選ぶ。
後は他の人が何を買うのか気になるので店内をウロウロと。
最初に見つけたのは、ラノベコーナーの裏にある少女漫画のコーナーに華がいた。
そういえば、最初に会った時にも少女漫画を読んでいた気がする。
「うわっ!びっくりさせるなよ陽太。これはあれだ、部活の為に必要な教材であって決して趣味とかじゃないから。」
「はいはい。分かった分かった。仮に趣味だったとしても馬鹿にしねぇーよ。」
「分かってるけど、アタシにもキャラってのがあるんだよ。」
出会って間もないが、華から色んな表情を見た気がする。
果たして本人がどういったキャラをイメージしているのかは分からない。
結局、手に取っていた漫画をそのまま買う予定らしい。
さて、もう一人は何処へやら。
漫画のコーナーには見当たらないな。
順序よく探すと奥の方に姿を見付ける。
なんのコーナーなのかと見てみるとどうやらゲームの攻略本のコーナーらしい。
今ではネットが主流なのに紙媒体を選ぶとはセンスがあるな。
「何のゲームの攻略本見てるんだ?」
「陽太さん、それに華ちゃんも。これはですね、『別にアンタのために魔王倒すわけじゃないんだからね。』の攻略本ですね!なんと、人気ゲーム過ぎて紙媒体の攻略本ですら売り切れ続出なんですから。」
「そんなに面白いならアタシも挑戦してみようかな。」
「それなら是非とも高画質のゲーム機でプレイしてください。グラフィックが綺麗でリアルと間違えるほどなんで!」
凛の熱の入った演説に華も興味を示している様子。
ちなみに俺は攻略済みである。
さて、十分楽しめたし妹を探し出して帰るとするか。
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