第024話 アクシデントにご注意を
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「私あれやりたい!」
真っ先に梨乃が指差したのはクレーンゲーム。
普段からゲームしない人でも楽しめるものの代表格だ。
しかし、クレーンゲームも奥が深い。
店によって個性があり、店長の親切心が計り知れる。
「うわぁー、また掴めなかったー。」
「こういうのってある程度お金入れないと取れないようになってるんでしょ。」
これもよく聞くな。
確立派とテクニック派で分かれる。
もちろん、俺の腕前があればどんなクレーンゲームも一発で攻略できるけどな。
このままでは、全財産投入してしまいそうな勢いの梨乃を止める。
「俺に任せとけば良いんだよ。一発で取ってやるから。」
さっと位置を変わり、二百円を投入する。
昔は百円でほとんどがプレイ可能だったが、今ではあまり見なくなってしまった。
一発で取る俺に取っては関係のないことだけどな。
「・・・あれ?おかしいな。」
「自信満々そうだったのに取れてないじゃんお兄ちゃん。期待した損した。」
「待て待て、まだ一回だろ。後、一回やれば確実に取れるから。」
「それって完全に思う壺なんじゃ。」
言うな古東。
この世には気づいてはいけないこともあるんだ。
その後も数回挑戦したが結果は全くもってダメでした。
あれだけ自信があったからこそ余計に恥ずかしい。
今すぐにでもここから逃げ出したいくらいだ。
「ウチも挑戦してみたいです。」
食い入るように眺めていた星海が満を持して参戦を希望する。
これ以上の被害者が増えるなんて可哀想で仕方ない。
その無残な末路をこの目で見届けてやるか。
「やった!取れました!」
・・・ん?
なんかますます俺の格好が付かないな。
それとも、星海の才能がすごいだけか?
今はそういう事にしておかないと立ち直れそうにない。
「これ、梨乃ちゃんにあげるね。」
「えっ?良いんですか?」
「だって、梨乃ちゃんの為に取ったんだし。」
「うわー!凛さん、めっちゃ大好き!」
妹は星海に抱きついて離れなくなるほど喜んでいる。
ちょっと苦しそうだけど、星海も満更でもないようなので放っておくことにしよう。
景品はそれなりの大きさがある犬か猫のぬいぐるみである。
普通であれば犬か猫どっちであるかはっきり分かるものだが、なんとも曖昧な顔立ちをしている。
梨乃が言うには、女子中学生の中で知らない人はいないぐらい人気らしい。
世の中の流行とは不思議なもんだ。
「佐倉、あれなに?」
俺の肩を叩いて質問してくる古東。
指差す方向には、バイク型の機械に乗るカーレースがある。
「やってみるか?俺が勝負しても良いぞ?」
「アンタ、何も分からない相手をいじめるつもりなの?」
「安心しろって、俺が教えてやるからさ。」
「私もやるー!」
「もちろん、ウチも参加しますよ。」
「じゃあ、三対一ってことでよろしく。」
それはちょっと俺が不利ではないだろうか。
文句を言っても始まってしまうだろうから、大人しく操作方法を教える。
一回分プレイすればゲームが成り立つ程度には操作が出来るようになる。
俺の敵と認めるには程遠いけどな。
「負けても文句なしですよ佐倉さん。これは格ゲーの時のリベンジです。」
「甘いな。この間初めてゲーセン行った相手に俺が負ける訳がない。」
秒読みのカウントダウンが始まった。
それに合わせてスタートダッシュを決める。
一応、教えてはあるが成功させたのは俺と星海、あとはコンピュータ数台だ。
やはり、上位の争いに食い込むのは俺と星海になるか。
序盤は団子状態だったが、中盤には後方と少し差が生まれる。
これが経験の差だと言ってやりたいが、油断出来るほどの距離じゃない。
そして、最終局面で事件は起きた。
あとは大きなカーブを曲がると直線を残すのみ。
直線になればよっぽどなことがなければ、順位を覆すのは不可能な局面になる。
俺は大きく差を離すためにインコースギリギリの走りを試みる。
それが最大の失敗とも気付かずに。
ギリギリを攻め過ぎた結果、壁と衝突して転倒してしまう。
俺が倒れると同じようなことを考えていた後続車が次々と連鎖して倒れていく。
それによって優勝はまさかの梨乃になった。
相手にもならないと思っていた人間に負けてしまったのは悔しい。
今度からゲーセン通って練習しようかと本気で考えるほどだ。
「やったー!私の勝ち!それじゃあ、何をお願いしようかな?」
「どさくさに紛れて何言ってんだ。」
「やっぱり勝負なんだから賭けがあった方が盛り上がるじゃん?」
それは始まる前に言うものであって、勝敗が決まってから付け足すのは誰もしない。
「安心してよお兄ちゃん。そんな変なことは言わないから。」
「そんなことを心配してる訳じゃないんだけどな。」
「それじゃあ、三人はこれからお互いのこと下の名前で呼び合うこと。呼び捨てとかはお任せしますけど。」
どんなことが来るのかと思い身構えたが、案外普通の提案だな。
むしろ、妹と知り合ったので今後呼び分けが難しくなるからきっかけが出来たと思えば有難い。
「ほら、こういう時はお兄ちゃんから呼ぶもんだよ?」
「てことで、古東と星海さえ良ければ。」
「古東と星海じゃないでしょ?」
「華と凛が良ければ。俺は下の名前で呼ぶけど。」
「そうよなー。梨乃も佐倉だし正直分かりにくいと思うからこの際そうするか。」
「う、ウチも覚悟はできてます。よ、よ、よ・・・よろしくお願いします。」
言いかけたけど諦めたな。
多少恥ずかしさがあるなら今すぐにとは言わない。
日常の会話で機会を伺ってくれれば、タイミングも見つかるだろう。
「それじゃあ、仲も深まったことだしプリクラ撮りに行こー!」
「忘れてなかったのか。」
「当たり前じゃんお兄ちゃん!私はゲーセンで一番好きなのがプリクラなんだから。」
妹の取り扱い説明書に新たなる一ページが追加された。
いつか見返すなんてことはないんだけど、もしものことがあるので脳内に記録しておこう。
それにしても何度来てもプリクラのコーナーはアウェーに感じる。
今は男よりも女の方が多いので気まずい空気も薄れるけど、それでも早く終わらせてしまいたいのが本音だ。
三人が仲良く選んだプリクラで撮影を開始する。
前回のやつとはまた違ったコンセプトのようだ。
指示されたポーズを見よう見真似で撮る。
撮影が終われば後は、女性陣に任せよう。
全て完了すると梨乃から完成したものを手渡される。
どうやら俺の分まであったらしい。
「満足したー!来年が楽しみになってきました。」
「来年?何かあるの?」
「私来年高校生なので、二人と放課後遊んだり出来るし!」
「俺達の学校に入る為には勉強頑張ろうな。」
「はぁーい。」
なんで嫌そうな返事するんだよ。
入試落ちる可能性は全然あるからな。
「よし、最後は陽太の行きたい場所だな。」
「俺の行きたい場所か。」
普段はインドアな俺。
どこが良いかと言われても咄嗟に思いつかないな。
悩んでいると遠くから声が聞こえる。
全く聞き覚えのない声だ。
まだ三人は気付いていない。
段々と声は近付いて、より鮮明に耳へと届く。
「姉御!姉御じゃないっスカ!?」
ヤンチャという言葉が良く似合う少年。
そいつは華に向かって話しかけ続けるのだった。
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