第016話 先輩達の実力
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専属マネージャーに次期エース。
ここでようやく重要そうなキーワードが耳に入る。
白島矢先輩は、恐らく相談者である横浜先輩について学園で一番詳しい人物だ。
つまり、最近の動きなどを聞き出せば何かわかる可能性が高い。
それに次期エースという言葉も気になる。
もしも、彼がそれほどの存在であると学年中が知っていたとする話の流れが見える。
大方、才能に嫉妬した生徒のイタズラか、将又憧れを抱いた生徒からの本物のラブレターか。
どちらにせよ横浜先輩に宛てて書かれた手紙で間違いない。
俺の勘がそう言ってるからな。
「横浜先輩と仲良いのは嘘ですけど、顔見知りだと思いますよ。」
「やっぱり嘘だったのね。嘘付きにあげる彼の情報はないから帰って。」
口が堅いのは友達として良いことだけど、俺としては厄介だな。
染み付いてしまった悪いイメージが先行して、まともに話を取り合ってもらえない。
これ以上の長居はより警戒心を深めるだろうけど、何の成果も得られずに帰ることは俺のプライドに反する。
「あぁー、それなら仕方ないですね。横浜先輩がモテモテって聞いたから見たかったですけど。」
モテるという単語を聞いて、眉をピクリと動かしたのを見逃さなかった。
気になりはするが自ら話を聞いては来ない様子。
「また今度の機会にでも見に来ますので、よろしくお伝えください。では、失礼しました。」
これは賭けだ。
白島矢先輩が引き留めて来なければ、素直に帰ることしか出来ない。
ただ、あの時の表情から鑑みるに十中八九声を掛けてくる。
「待ちなさい。彼がモテるモテないの話はどこで聞いたの?本人から?」
「話聞いてくれるんですか?」
「まぁ、ちょっとだけよ。横浜くんの今後に関わることかも知れないから。」
俺の予想が正しくて良かった。
ここからは他言無用であることを説明して、あの手紙を見せた。
白島矢先輩が書いたものなのではないかとも疑っていた。
しかし、反応を見る限りでは初めて見たように思える。
「なんなのこれは?イタズラ?誰が誰に書いたのかもさっぱりじゃない。」
「横原先輩の靴箱に入っていたらしく、困っているだろうから返して欲しいと相談を受けたんです。」
「横原くんらしいわ。でも、相手を間違えているだとしたら失礼だし、本当に横浜くんに宛てに書いたのだとしても名前を書かないのは失礼よ。」
ズバッと一刀両断。
ごもっともな意見だが、少しはオブラートに包むことを覚えた方が良い。
いつかトラブルになりそうだと勝手ながらに思う。
「心当たりはないんですか、心当たりは。」
「私が彼の心身に影響が出そうなことするはずないでしょ。」
「そうじゃなくてですね。普段一緒にいるなら、横浜先輩を狙ってる女子生徒がいるとかを聞いたいんですけど。」
「そんなの沢山いるわ。毎日、追い払うのが大変よ。」
数々の横浜先輩ファンの人も大変だろうな。
どれだけお近付きになりたくても、これだけガードの固いマネージャーがいるのだから。
しかも、マネージャーが女子なので女子ファンから不満の声が上がってもおかしくない。
「尚更、分からなくなって来た。」
「いえ、誰が出したか絞れるわ。」
それをもっと早く伝えて欲しかった。
こんな遠回しのやり取りを挟む必要すらなかったのに。
「二年C組・羽田さんか、三年B組・野中さんね。」
「なんでその二人に絞れたんですか?」
「女子は告白する前に友達とかへ伝えておく人が多いの。だから、女子同士の噂ですぐに回ってくるわ。」
今度はその二人に話を聞きたいけど、直接聞きに行けば何故知っているのかとなるだけ。
加えて、全く面識のない俺が言い出したら恐怖すら感じるだろう。
「それだけ聞ければ十分ですので。ありがとうございました。」
「横浜くんが貴方を頼ったなら任せるけど、彼に支障が出ないようにしてよ?」
「はい、分かりました。」
彼女はこの後柔道部へ向かうのか、これ以上話を深掘りされることはなかった。
俺もまだまだやることは多そうだな。
二年の教室を離れて、階段へ行くとすぐに電話を始める。
「お疲れ様です。佐倉です。」
『お疲れー。電話してくるということは早くも進展があったということだね。』
「たまたま横浜先輩の関係者と遭遇したので。そちらは何か良い情報ありましたか?」
『僕は誰が入れたのか目撃した人がいないか探ってみたけど、誰もいなかたったようだね。』
直接手紙を入れた生徒を見ていれば、確実にその生徒のもとに送り返せる。
俺もその考えには至ったが、情報を得るためには不特定多数の生徒に聴き込みが必要になる。
同学年からは煙たがられ、他学年とは交流のない俺にとっては不向きだ。
「ということは、収穫なしということですね。」
『いやいや、部長としてしっかり働いたよ?結構な生徒に聞いて誰も見ていないということは、人の少ない校舎が閉まるギリギリか門が開いてすぐの時間を狙ったということ。そこからある程度の生徒を絞れる。』
ただ得られるものがなかったと諦めるのではなく、更に先を生み出すのは経験の差か。
経験の差だけではない。人脈が無ければこの短時間で大勢に聞き込みすることすら不可能だ。
何から何まで先輩としての力量を見せつけられたということになる。
毎回一歩先を行く、糸井先輩の姿に悔しさを覚えながらも結果を報告する。
「二年C組の羽田さんと三年B組の野中さん。この二人が横浜先輩に告白すると知人に公言していたようです。あの手紙が彼に対するものか分かりませんけど、その二人を調べるのが良いと思います。」
『それで僕にってことだね。三年の方は僕が調べておくから。二年は君に任せたよ。』
電話はその後二言三言話をして終わった。
二年の羽田さんは任されることになったので動くしかない。
教室を見て回ったが、先程まではチラホラといた二年生の姿はどこにもなかった。
「諦めて帰るしかないか。」
「佐倉も今帰りか?」
「今日はもう人がいないからな。調べようにもって感じだ。そっちは順調か?」
「アタシの顔見て順調そうに見えんの?」
たまたま帰るタイミングが重なった古東は、酷く疲れ切った様子。
古東は学年を問わず悪名が広まっているので、生徒から情報を集めるのは困難だ。
つまり、彼女は自分の足で手掛かりになりそうなものを見つける必要がある。
聴き込みの何倍も疲れるのは当たり前だ。
「今回はアタシの出番なさそうだしな。」
「まだ進展は少ないんだから諦めることはないだろ。」
「さっき楓先輩と会ったんだよ。そしたら、今回の件は意外な決着が付きそうかもって。」
七瀬先輩の動きも気になっていたが、確信に迫るところまで来たのか?
いや、それどころか何がどうなるのかまで見えているようだ。
糸井先輩は聴き込みという分かりやすい方法であったが、七瀬先輩に至っては何をしたのか皆目検討もつかない。
いつもながらに二人の先輩の仕事ぶりに驚きを隠せないまま、陽は落ちていった。
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