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そのお悩み、”恋愛支援部”が解決します  作者: 風野唄


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第100話 止めてくれるなよ

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

一度殴り飛ばしただけでは怒りが収まらないようで、二発目も行こうとしている所を俺と糸井先輩で阻止する。

男二人で止めているのも関わらず、完全に動きを止めるまでは出来ない。

どこにそんな力を隠しているんだと疑いたくなる。


「落ち着いてください!」


「落ち着けだと!今の状況で落ち着ける程、私の心は広くない!」


生徒会長の言い分が正しい。

どう考えても罰ゲームで人に告白をするようなクズ男が悪い。

それに加えて、罰ゲームの相手に選ばれたのが自分の好きな人なら尚更。


だが、これ以上の暴力は生徒会長ではなく、菱山先輩としての心証を損なう。

佐々木先輩も自分が原因でそんな暴力沙汰が起これば複雑な気持ちになるはずだ。

まして、そこから恋愛に繋がるはずもなく。

色々な事を考慮した上で止めなければならない。


「離せ!糸井まで私の邪魔をするのか!」


「なら、離そうか。」


何故か生徒会長に言われた通りに手を離す。

糸井先輩は諦めたようだが、俺はまだ1人で抑える。

十秒も抑えられる事が出来ずに、振り解かれてしまったが。


「何故、止めないんですか。今にもあの男子生徒殴りそうですよ。」


「本当にそうするならそれまでの男だ。冷静になるまでの時間は十分に稼いだよ。」


嘘の告白をした男子生徒は体震えている。

一度殴られた生徒の心身には恐怖が刻まれているらしい。

少しやり過ぎにも思えるが自業自得という事で。


生徒会長は拳を振り上げた。

これ以上は見てられないな。

この場にいたのに止められなかった責任は俺にもある。


「ほら、彼は大丈夫だ。」


尻を付いて座り込んでいる男子生徒を逃げられないように、胸ぐらを掴んで問う。


「お前は、相手の気持ちを一瞬でも考えたのか。」


「クソッ、んなもん考える訳ねーだろ。離せ!生徒会長がこんな事して良いのかよ!」


「私は私の心に従うまでだ。それが生徒会長などという肩書きで邪魔されるのであれば、喜んで捨てよう。」


「あんな女に罰ゲームで告白したって何の問題があるんだよ。本人は気付きもしないんだから、傷付くこともねぇーだろ。」


そんな心理が働いていたのか。

人としての倫理観は無いようだ。

告白するというのは学生にとって大きな分岐点。

それはされた方も同じである。

問題ないなんて口から出せるのは、何も考えられていない証拠だ。


「私はお前を許さない。ただ、それだけだ。」


「お前には関係ないだろ!」


「ある。私は、彼女の事が好きだからな。」


「はぁー?冗談でも言わない方が良いぜ。ボサボサして根暗、いつもブツブツ呪文唱えているような奴の何処か良いんだよ。」


「お前に説明する必要はない。一つ言うなら、二度と彼女に近付くな。」


淡々と人を詰める時の顔だ。

この迫力と殴られた恐怖が相まって、図書室を飛び出して行った。

あの感じだと逃げた後に、友人にでも愚痴を言うだろう。

そうなれば、生徒会長の悪評が広まる事になる。

本人は問題ないと言うだろうが、糸井先輩の力によって沈静化されると信じたい。


「それで、君はなんでずっとここに残っているんだい?」


「分かってる。佐々木を追い掛けなくて良いのかって事だろ。」


「覚悟は決まってるんでしょ?それなら行ってあげないと。」


「君が背中を押してくれて勇気が湧いて来た。本当に恋愛支援部があって良かったと思う。」


結果がどうなるかは分からないが、今回の相談はこれで終了だろうな。

生徒会長達が付き合えた場合は、部室に報告へ来るだろうから、その時でもゆっくりと話を聞こう。


「ごめんね、一年生が折角調査してくれたのにこんな強引な手段になって。」


「本当はこうなることも予想してたんじゃないですか?あ、文句とかじゃないですよ。」


「何となくだけどね。最初から佐々木成美さんの情報はあったし、変な罰ゲームがあるって今日情報を仕入れたから。」


「それでも後輩に動かせるのは、成長の機会を与えてくれていると考えて良いんですよね?」


「どうかなー。ただ、僕が駒として使ってるだけかもよ。」


口ではそう言っているが、本当にそう考えているなら最初の言葉が謝罪であるはずがない。

多分だけど、言い当てられて恥ずかしくなったのかも。


「相談内容が解決した事を部室にいるみんなに報告しよう。」


「もしかしたら、新しい相談者が来ているかも知れないですからね。」


「おっと、そうだとすると早く行かないと。」


ちょっとオーバーなリアクションだったが、返事してくれるだけ感謝しよう。


・・・気まずいな。

実は糸井先輩と二人きりになることは珍しい。

部室で一瞬だけとかならあるが、ほとんどすぐに他の部員と合流する。


何か共通の話題があれば、会話のキッカケに出来るのだが、生憎思い付かない。

糸井先輩はいつもと変わらず和かな笑顔を浮かべているので、俺が気不味いと思っているとは考えてもいないだろう。


「今日は君がいて助かったよ佐倉くん。」


「俺が出すか?」


そんな言葉が出るとは思ってもいなかったので、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていると思う。


「君と最初会った時、僕は一人部員が増えるぐらいしか思っていなかった。だけど、君は君自身が思っている以上に人の心に寄り添える人間だ。」


「俺が人の心に寄り添える人間?何かの間違いですよ。」


「人は自分の長所に気付き難いものさ。」


「褒めても何も出てこないですよ。」


良くある返しにくすりと笑ってみせる糸井先輩。

これは会話を続けて親密度を深めるチャンスなのではないか。

そう考えた俺が口を開くより先に、糸井先輩が語り出した。


「僕と七瀬くんは遅くても十二月で部活を引退する。」


二人とも三年生なので仕方が無い話だ。

寧ろ、大学進学を決めているのであれば遅いくらい。

自由時間が多く、勉強の妨げになる部活ではないからその時期なのだろう。

今が七月なので、時間にすると半年も無い。


今回の様に後輩達だけで動いてもらっているのは、急激な環境の変化に戸惑わない様にという狙いもあるはずだ。


「そこで佐倉くんに伝える事がある。・・・君が、次の部長だ。」


「・・・えっ?」


まだ理解が追いついていない。

今、糸井先輩の口から次期部長が俺だと告げられた気がする。

まさかそんなはずないよな。

入部時期で言えば、俺よりも華の方が早い。

そこまで考慮すると部長は華がなる方が自然だ。


「君は人を惹きつけた魅力がある。それは大勢では無いかも知れないけれど、君を知ろうとした人間は必ずと言って良い程に。」


「俺は糸井先輩の様に事前に手を打っておけませんし、七瀬先輩の様に周りを良く観察して気を配ることも出来ません。もっと長所のある二人の方が良いですよ。」


「君は悩んでいるのかもね。」


「幼馴染の事なら確かに悩んでますけど。」


「それにも付随する悩みさ。自己評価の低さだよ。君は君が思って以上にすごい人間だよ。」


他の誰でも無い糸井先輩の口から出た言葉だからこそ嬉しい。

この人にすごいと評価される事がどれだけ光栄な事か。

ならば、期待に応えよう。

例え、自信が無くたってやり遂げてみせる。


「分かりました。その話、引き受けます。ただ、その代わりに引退するまでみっちり指導お願いします。」


糸井先輩の背中を追って歩き出した。

ご覧いただきありがとうございました!

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毎日22時から23時半投稿予定!

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