母上も交えて無難な夕食会
アリッサ嬢が王城へやって来た。
顔を合わせるのは恥ずかしかったが、彼女も緊張しているのか、あまり視線も合わず会話も少なかった。
母上を交えた夕食会も、無難な話ばかりだ。
だが、5才という割りに会話運びはスムーズではないかと思う。そもそも母上は内気で、初対面の者とは大抵、会話が弾まない。なのにアリッサ嬢は上手に会話の糸口を作り、次々に話を展開してゆく。
……舌っ足らずな話し方に誤魔化されるが、只者じゃない。
「お可愛らしいお嬢様ですな」
寝室を整えながら、ブランドンがニコニコとそう評した。
ウィリアムが首を振る。
「見た目は可愛らしいですけど、一瞬で木に登りましたからね。見た目に騙されちゃダメです」
「それ、わたくしめも見てみたかったですなぁ」
「うん、実際に見た僕でも、まだ信じられないよぉ」
一緒に登った僕でも、信じられないさ。
だけど母上情報では、アリッサ嬢は腹筋や腕立てが100回出来るらしい。そりゃ、僕は駄目なはずだ。まだ10回でも厳しいのだから。
本当は今日、その話も聞いてみたかったのだが……母上との会話が弾んでいて口を挟む隙がなかったのは残念だった。
───ブランドンとウィリアムが下がり、僕はベッドに入って本を開いた。少し読書してから寝るつもりだ。最近、体を鍛える時間の割合が増えて、勉学の時間が減っている。あまり成績が落ちないようにしないと。
しばらく読んでいたら、扉を叩く音がした。
ブランドンだろうか?こんな時間にどうしたのだろう?
入ってくる様子がないので、不思議に思いながら廊下を覗いた。
「こんな時間にごめんなさい」
え?アリッサ嬢?!
ビックリしていたら、もっとビックリすることを言われた。
知らない場所に一人っきりでは眠れないから散歩しませんか、と。……意味が分からない。
百歩譲って、知らない場所で一人寝が不安というのは分かる。それが、何故、夜中の散歩になるんだ?
というか、彼女の部屋の外には護衛騎士が付いていたはずだ。どうやって見つからずにここまで来たんだ。
なんだか訳の分からない理由を述べながら、キラキラした金色の瞳が期待いっぱいで僕を見上げる。
……これは駄目だ。放っておいたら、一人で勝手に彷徨うに違いない。
せっかく、火龍公爵家の娘が王城へ来ていることがバレないよう万全の対策を立てたのに!こんなあっさり護衛を撒いて、この調子でふらふら城内を歩かれたら……どこで何と遭遇するか分かったもんじゃない。
一人でどこかへ行ってしまわないよう、彼女としっかり手を繋ぎ、僕は夜の王城ツアーへと出発した。もちろん、隣の部屋で休んでいたウィリアムが、そっと目立たぬ位置で護衛に付いたのを確認してから。
この後の分も書き上げているのですが、年末年始に向けてストックを作るために、残りは明日に。
年末年始も毎日、更新します(たぶん)。
は~、年内にアルフレッド視点の章を終えたかったけど、全然、無理っぽい~!




