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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ8才

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処罰の内容

 眠るラミアさんだけを籠に残し、他の者は隠者の塔を出て王宮へ移動する。

 お父さまが教えてくれたんだけど、私がお父さまから渡されたお守りの指輪、あれにウォーレンさんが特殊な魔法を掛けていて、私が攻撃を受けた際、隠者の塔へ転移するようになっていたらしい。

 なるほど~。

 でもそれ、事前に説明してくれても良かったんじゃないかなぁ。ビックリしたよ……。

 ところで。

 隠者の塔の階段を上がろうとしたら、体がすごく重くて私は上がることが出来なかった。

 どうして?

 まさか、さっきの光魔法のせい?

 壁に手をついて、必死で足を引っ張り上げていたら、お父さまが慌てたように私の横に膝をついた。

「どうした。怪我をしたのか?!」

「えと……なんか、体が重くて……」

 するとウォーレンさんも横に来て、心配そうな目で私を見た。

「さ、さっき……ザカリー殿下にかけた、ま、魔法は……体への負担が……大きすぎる……」

「え??そうなんですか?ただ体が重いだけですけど……」

「ひ、人の魂にまで……さ、作用する魔法は……き、君が思うより、術者の……魔力、体力を使う。へ、下手をすると、術者の……い、命が、け、削られる……」

 うそ?!そんなに??

 お父さまが青い顔になった。

「ウォーレン殿!アリッサは……」

「た、たぶん、大丈夫……し、しばらく魔法を使わなければ……」

 お父さまはホッとしたように頷き、私を抱き上げた。

「お父さま、歩けます!」

「馬鹿者。たった一段でも足が上がらんのに何を言っている。まったくお前は、本当に……無謀にも程がある……」

 だって、命を削るなんて知らなかったんだもん……。


 ―――陛下は、風龍公爵と水龍公爵のお二人と一緒だった。

 他に、扉の横に騎士団のオーウェン団長さまもいた。

 ちなみに、陛下のいる部屋に着いた頃には、私はものすごい睡魔に襲われていたのだけど……頑張って目をこじ開ける。今、寝るワケにはいかない。

 陛下は、ダライアスさまの横にいるザカリーを見て、溜め息をついた。

 ザカリーが鎖は解かなくていいと言ったので、彼は鎖に縛られたままだ。

「……マーカスの言うとおりだったか」

 メイジーさまが足早にこちらに来て、私を覗き込む。

「随分と辛そうだが……どこか、怪我を?」

「いえ、大きな魔法を使った後遺症のようです」

 私の代わりにお父さまが答える。メイジーさまは頷き、「分かった」と言って、足早に部屋を出て行った。

 そのあと。

 私はお父さまの膝の上で、メイジーさまが持ってきてくれた不思議な味のお茶を飲みつつ、うつらうつらと皆の話を聞いた。メイジーさまがくれたお茶は、魔力回復の効果があるお茶だそうだ。

 マーカス殿下の説明、辿々しいウォーレンさんの補足。

 最後にザカリーが、「どのようなバツも、うけるつもりです」と言うのを聞いた。

 ちなみに、私は治癒の魔法でザカリーの魂の傷を治し、結果として前世の記憶を消したんだけど、その部分は"アリッサ嬢が帝国で教えてもらった魔法で"という説明になっていた。

 違うけど……訂正しなくてもいいか……。なんか、頭も回らなくなってきたよ。

 そんな私を、陛下がすごく困った顔で見る。

「アリッサ嬢。命を狙われたのは君だ。だが……君はザカリーを許すというのだね?」

「許す、許さないではなく……罪を犯したのは、今のザカリー殿下ではないので……」

「だが、罪は罪だ。そもそも、ザカリーが本当にすべて忘れたのかどうか、確かではない。それに……たとえば酔って暴れ、記憶がないとしても、罪は償わなければならないだろう?」

 ん~……?それとは、少し、中身が違う気が……。

 あー、ダメ。

 眠くて、思考がまとまらない。

「そうだとしても、罪を犯したのは前世のせいです……それなら、裁くのは前世の法で。でも、ザカリー殿下は……未成年だから……えーと、少年法だとどうなるんだっけ……?」

 うう、そんなの、覚えてないよー……。弁護士も裁判官も目指してなかったもん……。

 えーい、もう、いいや!

「じゃあ、分かりやすく……目には目を歯には歯をってことで、どうでしょうか。私、すごく怖い思いをしたので……ザカリー殿下も、怖い思いをしてもらいたいです……」

「怖い思い?」

「えーと……バンジー。バンジー、してもらいます。この世界に、ビヨーンって伸びるロープがないから、足が痛いかもだけど……」

「ばんじー……」

 室内がざわざわとする。

 だけど、私は周りを見る余裕がない。

 落ちてくる目蓋を必死で持ち上げながら、陛下にお願いする。

「ザカリー殿下はバンジーで許してあげてください……。どうか……どうか、ザカリー殿下には寛大な処置を。そして……ラミアさんも。ラミアさんは、そうですね、魔法を使えなくして……今後は、普通の平民として生きていくというのも……十分、罰になるかと……だって、城の生活しか知らないんですから……。カ……カールトン領で、預かる……の、で……」

 そう、うちの領で。ラミアさんも、ラクみたいにやり直す機会を。

 ああ……もうちょっと、ちゃんと話を……しなくちゃ…………。


 ―――目が覚めたら、知らない部屋だった。

 どこだろう?

 身体が重だるい。そして、すごくお腹が減ってる。

 もそもそとベッドの中で動いていたら、お母さまが覗き込んできた。

「ああ!ようやく目が覚めたわね。おはよう、お寝坊さん」

「お母さま……」

 その後ろから、王妃さまがひょこっと顔を出す。

「良かったわ、なかなか目覚めないからとても心配していたのよ」

「王妃さま」

 と、いうことは。

 ここって、もしかして王城?

 お母さまが私の背中に手を入れ、抱き起こしてくれる。

「まだ眠いかも知れないけど……ちょっと起きて、食事をしなさい。あなた、5日間も眠っていたのよ」

「5日も?……えっ、あ、あの、ザカリー殿下は?!ラミアさんは!!」

 話し合いの最後、どうなったんだっけ?

 私、自分が何を言ったか、いまいちよく覚えてない……!

 私があたふたしたら、お母さまは呆れた顔になった。

「今さら慌てても遅いでしょ。先に、自分の体力を回復させなさい!」

 うう、そうなんだけどー……。


 病人用のパン粥みたいなのを食べつつ、お母さまから詳しい話を聞いた。

 ザカリー殿下は、重い病気のため王族の地位を降り、地方で療養する―――という形を取ることになったそうだ。シンシアさまと一緒に。

「えっ、シンシアさまも?」

「ええ、そうよ。……シンシアさまには、天恵者うんぬんの話はしていないみたいだけどね。ただ、ザカリー殿下が、アルフレッド殿下やアリッサの命を狙った、と」

 うわぁ、急にそんな話を聞かされたら、ビックリだろうなぁ。

 王妃さまが肩をすくめる。

「ついこの間まで、マーカス殿下が皇太子になるって、あの人、鼻高々だったのよ。それが三日前に会ったら、すっかり小さくなっちゃって。わたくし、嫌味を言うことも出来なかったわ」

 ふうん……。

 でも、マーカス殿下が皇太子になるのは、変わらないそうだ。良かった~!

 そしてラミアさんも、ウォーレンさんにより魔法封じをされて、カールトン領で預かるらしい。

「マックスがぼやいていたわよ、また騒動の種を領に持ち帰るのか、って。そもそもアリッサが、言うだけ言って突然意識を失うから、本来なら四龍や陛下できちんと処罰を決めなきゃならないのに……あなたの意見を採用せざるを得なくなったんだから」

 えへ。

 そうなんだ。陛下、ごめんなさい。お父さま、ごめんなさい。

 すると、お母さま「あ!」と手を打った。

「そうそう、起きたら、"ばんじー"とはなんなのか、聞いておいてくれって言われていたんだわ。ねえ、ばんじーって、なんなの?」

「ばんじー?なんの話……?」

「あなたが言ったんでしょ?」

「ばんじー……バンジー?あの、高いところから落ちるやつ?どうして?」

 お母さまと王妃さまが顔を見合わせた。

 私は、ブラックアウトする前の会話を思い出そうと首を捻る。

 言ったような気もするし、言ってないような気もするし……。

「アリッサが、ザカリー殿下にばんじーをさせるって」

「私が?」

「目には目を……とか、あなた、面白いことを言ったらしいの」

 あああ……!

 そういえば、言った……言ったよ。目には目を歯には歯を。

 で、咄嗟に思い付いたのが、バンジーだった。あの場で、何を言ってんの、私。

「ザカリー殿下が、アリッサの言う罰はすべて受け入れますって言うから、今はあなたの説明待ち状態よ」

 ひえー、ど、どうしよう?!

バンジーって、罰になる人とならない人がいますよね~

はたして、ザカリーはどっち?!

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! バンジージャンプは自分は無理だな(笑) 高所恐怖症だし、飛び降りる勇気(?)が生まれそうにない! 火事とかで高いところから降りる滑り台みたいなのは命の危機だし滑れるかもだ…
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