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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ8才

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私もちょっとお手伝いするよ!

 アシャム国では、娘の結婚相手は父親の一存で決まる。だけど、娘が想う相手と結ばれるための手段が一つだけあるそうだ。

 それがムハカマ。

 太陽神アーヤヌールの前で宣誓し、父親の代理人と一対一の決闘をするのだ。

 申し込んだ男側が勝てれば、娘と結婚出来るらしい。なお、男側も代理人を立てることはOKとのこと。

 ―――ファラ姫に教えてもらったそのことを、すぐにライアン兄さまやお祖父さまに伝えたら、お祖父さまは腕まくりをした。

「よし、今すぐ儂が決闘してくるぞ!」

「ダメだよ!」

 ライアン兄さまが硬く大きな声を出す。

「それは、僕がやるべきことだ。僕が決闘する」

 ……やだ。兄さま、めっちゃカッコいい!


 外国人の私たちがムハカマを知っているとは、アシャム国王も思わなかったらしい。とても苦々しい顔をされた。

 でも、王さまへ言う前に、太陽教の聖導師にムハカマの申し込みをしたので、王さまの方は受けざるを得ない。

 アシャム国では、太陽神殿の力は国王に匹敵するらしいのだ。

 ムハカマは、明日の日の出と共に行われることとなった。

 お祖父さまは大騒ぎだ。

「ライアン。儂の槍を使え」

「お祖父さまの槍は、僕にはまだ使いこなせないよ!」

「む……では、こちらの剣を」

「だから、お祖父さまの道具はどれも重いからさぁ。それより、使い慣れた自分のものがいい」

 その騒ぎの横で、お祖母さまが私を見る。

「魔法は使っては駄目なの?」

「剣や盾に魔法が施してあるのはいいけど、魔法での攻撃はダメだそうです。たぶん、この国はそんなに魔法が発展してないから……」

 そもそもアシャム国は、魔力の高い人間が少ないらしい。

 そんななかサフィーヤ姫は珍しく魔力が高かったため、それで、魔法を学ぼうとブライト王国へ留学を決めたのだとか。

「そう。残念ね。ライアンの魔法攻撃は、かなり巧みなのに」

「でも、道具に魔法を施すのがいいなら……ちょっと、兄さまを手伝えるかも知れません」

 うん。

 いいこと、思いついちゃった。


 旅の最中に使う目的で持ってきた魔道具用の魔石を、いくつか貰う。

 この魔石は、いうなれば前世の電池みたいな役割で持ってきたものだ。そんなに質の良い魔石ではない。

 他に、ファラ姫が聖輝石のくず石を分けてくれた。

 なんとアシャム国の特産(?)は聖輝石なのだ。市場には出回らない透明度の悪い石や小さい石を、他の国の魔石のような使い方をしているらしい。

「これをどうするの?」

 お祖母さまとバートが興味深そうに尋ねてくる。

 ちなみに、ライアン兄さまはお祖父さまと特訓中だ。明日に備えてムリのないよう、あくまでも軽く。

「印を描いて、武器の強度や機能を上げます」

「印で……?」

「普通は石に刻むものなんですけど、それだととても時間が掛かるので……簡易的に石に直接、描きます。たぶん、刻んだ物と比べれば6割くらいしか作用しないんじゃないかな……」

 それでも、無いよりマシだ。

 インクに糊(これもファラ姫に貰った)を混ぜ、石に印を描いていく。

 私の横では、メアリーが紐を編んでいる。印を描いた石を紐で編み込んで、ミサンガみたいに兄さまの腕につけてもらうのだ。石は武器につける方がいいと思うけれど、今から嵌めこんだりするのはムリそうだしね。でもまあ、対象を指定しておけば、ちゃんと作用するはず。

 それにしても粘性のあるインクで印を描くのは難しい。ただ石に彫るのと違って、描いてすぐなら描き直しが出来るのは助かるけど。

「わたくしも手伝いたいけれど、無理そうね……」

 お祖母さまは描き終わった石に触れないよう、遠目で眺めつつ溜め息をつく。

 バートは、感心したように私の手元を覗き込んだ。

「印の刻まれた石を買ったことはありますが、姫はご自身で印を刻んだり出来るんですな。その印はどのような効果が?」

「これは、風の魔法の威力を増す印です。兄さまの剣は風の魔法が組み込まれているので。そっちは、衝撃を緩和する印です」

 せっせと紐を編みながら、メアリーが目を丸くする。

「お嬢さま、こんなヘンテコな印をよく覚えてるものですねぇ」

 まあね。

 アルにあげるため、いろいろ調べたし、彫る練習をいっばいしたからね。人生、何が役に立つか分からないもんだわ。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! こうゆう時は、王道だとアリッサ様たちは真面目にするのに、相手の父親側が不正してくることが多いような(笑) 武具に仕掛けや、人質作戦とかね〜 ま、そこまで落ちてないと良いね…
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