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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ7才

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今年は春花祭を最後まで

 春華祭だ。

 お祖父さまが「かなり安定して魔法を使えるようになった」と言ってくれたので、この神事から私も参加する。

 それでも、念のために神官長とお祖父さまに挟まれた位置で臨むようだ。

 ふふん。もう、不用意に魔法陣に魔法を流さないから大丈夫だもーん。


 例年通り3日前から潔斎をし、春華祭当日の夜、白い服で神殿へ。さあ、夜通しのお祈り開始!

 私はお父さま達より外側の輪に、お祖父さまと神官長に挟まれて立つ。

 長い、長い詠唱と祈りが始まった。

 そして───結局、神事は特にトラブルもなくすんなり終わった。

 ていうか、めっちゃ長かった~……。途中、何度か立ったまま寝落ちしそうになったよ。頑張った、私。

 周りは相当、心配していたらしい。神事が終わるなり、皆がホッとした顔になって私を見る。

 ……失礼ねぇ。

 私も学習するのよ?そうそう同じ失敗はしないってば。


 神事が終わり、仮眠をしてから午後はリックとテッド、ガイと一緒に下町へ。紅い髪は茶色くし、リックやテッドの妹っぽく見えるように変装した。

 お父さまは相変わらずの渋い顔だったけれど、春華祭のお祭りは一度見てみたかったんだもん。目一杯、頼み込んじゃった。とうとう念願叶って、うれし~い。

 ちなみにセオドア兄さまが味方してくれて、「父上はアリッサを閉じ込めすぎ」と外へ出してくれた。

「護衛がいても領内ですら自由に動けなくて、アリッサはこれからどう生きていけば良いのですか?少しずつ世界を見せていくと約束しましたよね?」

 だって。

 最近、セオドア兄さまが頼もしい。


 下町は、どこもかしこも花だらけだった。カラフルでキレイだ。

 花の門や塔も豪華ですごかった。でも祭りの最後に、厄払いの紙人形焼きで一緒に燃やしてしまうのだとか。もったいないけど、焼くことによって神さまの元に届くんだって。

 家々の窓にも、たくさん花が飾られている。よく見ると、同じような花だ。ちょうどこの時期に咲く春告草を、各家庭で冬の間、大事に育てるらしい。

「ちょうど春華祭のときに咲くよう調整するのは、大変らしいっスね」

「そう。ちなみに春告草は、赤、黄、桃、白の4色の花が咲くんだけど、どの色が咲くかは種のときは分からないんだ」

「でさ、赤の花が多かったら商売繁盛や農作物の豊作、黄色が多ければその1年は病気にならない、桃色なら良縁に恵まれる、白だと災いから身を守られるって言われるんだぜ」

 ガイ、リック、テッドの順で説明してくれる。

 私は首を傾げた。

「……どの花が咲いても、結局、いいことばっかりだね?」

「ま、誰かが勝手に言い出したことで、本気で信じてるヤツはあんまりいないけどな」

 でも春のめでたい祭りだから、明るい希望があるのはいいだろ、とのテッドの言葉になるほどと私は頷いた。

 若い人なんか、桃色の花が咲くのを楽しみにしてそう。

 ───広場には、今までで見たことないほどたくさんの屋台があった。人も、こんなにこの街にはいたのか!というくらい溢れている。

 さあ、屋台、屋台!

 美味しそうな匂い~。

 思わず走り出そうとしたら、テッドに首根っこを掴まれた。

 ちょっと。主にその扱いはナイでしょ。

「えっ、屋台の食べ物、食べるんスか?」

 いつの間にか私の袖を掴んでいたガイが困ったように聞いてくる。私は口をとがらせた。

「そりゃそうだよ。屋台の食べ物は、今までも食べたことあるよ。大体、それが一番の楽しみで来たんだから。……テッド、リック。春華祭のときにしか売ってないものって、どれ?」

「んー、お嬢は舌が肥えてるからなー……」

 リックが腕を組みながら、屋台の列を見回す。そして、「よし」と手を打った。

「俺がいくつか買ってくるから、お嬢はテッドと向こうで待ってろ」

「ええ?!私も買いに行きたい!」

「普通の市のときと違って、春華祭は人が多すぎる。また町へ来たいなら、ここはガマンしてくれ」

「……はい」

 うう、今回は確かにそうだね。そう言われたらワガママは言えないね。

 祭りのときに町へ来れただけでもマシだもん。おとなしくしてよう……。


 リックが買ってきてくれた花の形のお菓子は、まあまあだった。

 久しぶりの屋台の串焼き肉も、まあまあだ。

 おかしい。前はもうちょっと美味しかった気がするんだけど。

 なんだろう、ガッカリ感がすごいわ……。

「屋台の肉なんて、塩を振って焼いてるだけだからなー。公爵家の食事と比べモンにならないって」

 むう。

 そうか。このところ、屋敷の食事の質が上がってきたせいで舌が肥えてきたんだな……。

 でも、前世ではお祭りの屋台ってだけで、タコ焼きとか、焼きそばとか、美味しかったのになぁ。

 やばい、なんか急激に前世の味が恋しくなってきた。

 ……そうだ、醤油。

 せめて醤油が欲しい。トウモロコシでもイカでも、醤油につけて焼いてるだけなのに、美味しかったもんね。

 よし、マシューに似たものがないか探してくれるようお願いしてみよう!

 その前に、リンゴ飴とか綿菓子も作っちゃおうかな。あまーいリンゴ飴を口周りベタベタにしながら食べたい……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読んでます! 醤油の魔力?魅力(笑) 醤油の焦げる香ばしい匂いも美味しさの秘密ですよね~
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