バザーを開こうと思っています
冬至祭のあと、私はかねてから計画していた案の実行に取り掛かった。
下町の神殿でのバザーである。
といってもバザーは人寄せ目的で、本当にやりたいのは子供教室だ。領内の識字率を上げたいのだ。
テッドやリックが「文字や計算が出来るようになって良かった!」と大喜びしたから挑戦してみようと思ったのだけど……さて、思った通りに行くかしら?
お父さまには事前に相談して、許可はもらっている。「庶民の識字率を上げてどうするんだ?」と聞かれたけど、そんなの、優秀な人材を埋もれさせないために決まってるじゃんね?
ていうか、義務教育のあった世界から来た私にとって、教育の機会が平等じゃないって不公平だと思うんだ(別に勉強好きではないけれど)。江戸時代の日本でさえ、寺子屋があって庶民は学べたのに。
ちなみに、冬の時期にバザーをやることは貴族的にはよくあるらしい。前世だとノブレスオブ何トカって言ってた気がするけど、要は貴族の義務として貧しい者に施し(嫌な言い方だね)をするんだって。まあ、施しと言うわりに、タダじゃないけど。
というわけで、バザーでは冬の間の保存食になりそうなものを中心に揃えてみた。ちゃっかり、商会で期限の切れそうな商品を利用して、硬いビスケットやパンも焼いた(水分を飛ばして硬めに焼くと長持ちするらしい)。
あと、端切れ。
貴族の令嬢方が着たドレスの布の端切れだ。古着としてドレスを出しても、庶民には必要ない。しかし、端切れなら、加工してリボンやバッグに変えられる。特に春華祭での新人式や成人式では、女の子達が可愛く着飾るので、華やかな端切れは需要アリってわけ(これは、メアリーに教えてもらったんだけどね)。
私は裁縫が壊滅的にダメなので、こんなのも可愛くていいよ?とシュシュの作り方をメアリーに説明したら、メアリーが布を買い占めそうな勢いだった。やっぱ庶民も可愛い格好はしたいよね。
さて、バザーの準備にはメアリーのお母さんを始めとした下町のお母さま方の手を借りている。
「お嬢様のバザーは、他にはない品物が多くて、楽しみだわ!」
喜んでもらえて、こちらも嬉しい。古いドレスが再利用できるし、商会の廃棄品も減りそうだし。いわゆる一石二鳥ってやつ?
「お嬢の思考回路は、絶対、貴族じゃなく商売人だと思うな」
ええ、リック、私もこの頃ずっとそう思ってるわ。




