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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ7才

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新たな誕生日を祝う

 夕食後、お父さまから大きなクマのぬいぐるみを渡された。

「これは……」

「アルフレッド殿下からお預かりした」

「アルから?!」

 今日、お父さまは午前中に王城へ行っている。アナベル姉さまが目覚めた件を報告しに。

 その帰りにアルから渡されたらしい。

 私の誕生日プレゼント。

 ふふ。前に王城へ泊まったとき、アルが小さいときに寝ていた部屋はぬいぐるみがいっぱいだった。それを見て、クマのぬいぐるみが懐かしいって話をしたの、覚えてくれてたのかな。

 うれしい。

 クマは、小さな箱を持っていた。

 中身は……涙型の青い魔石が三連に連なったペンダントだった。魔石には、魔術印が刻まれている。

 火の魔法に対する防御、麻痺の魔法に対する防御……あと、物理的な攻撃に対する防御かな?すごい、防御のお守りなのにカワイイ!

 これ、今日からずっと身に付けよう!


 翌日。

 誕生日パーティーその2が庭のガゼポで行われた。

 参加者は、テッドとラクとビルだ。

「たんじょうび……?」

 ラクが不思議そうに首を傾げている。テッドが重々しく頷いた。

「ああ。生まれてきた日を祝うんだ」

「なんでだ?」

「生まれてきてくれて、ありがとうってことさ。だってお前、お嬢が生まれなかったら、お嬢と出会えなかったんだぜ?」

「ふうん……」

 この誕生日会を提案したのはテッドだ。ラクに生命のことを教えようと考えてくれた結果らしい。

 出会った頃と比べて……テッドはすごく大人になったなぁ。なんだか、中身大人なはずの私より、しっかりしてきた気がする。ちょっと悔しい。

「お嬢様。誕生日おめでとうございます。ほら、ラク。お嬢様にプレゼントを渡しなさい」

 ビルがラクを促した。ラクは、もじもじしながら色とりどりの花束を椅子の下から引っ張り出す。

「姫さん。これ、プレゼント……」

「ありがとう、ラク。すごくうれしい」

「うれしい?」

「うん」

「そっか」

 ニカッっと照れたようにラクは笑った。最近、ラクはよく笑う。その屈託のない笑顔がうれしい。

 テッドが私を見て頷いた。

 それを合図に、私はおもむろにバスケットの奥に隠していた包みを取り出す。

「じゃあ、ラクにもプレゼントね」

「え?」

「ラクは誕生日が分からないでしょう?だから、私の誕生日の次の日を、ラクの誕生日にしようと思うの」

「お前、お嬢と出会って生まれ変わったようなもんだからな。ちょうどいいだろ」

「…………」

 私とテッドの言葉に、ラクは無表情になった。

 これは、ラクが混乱しているときの顔だ。自分の感情が分からなくて、無表情になるらしい。

 なので、テッドは気にした風もなく後ろからゴソゴソと服を出してきた。……ちょっとちょっと、むき出しなの?

「オレからはこれな。今度、街にも連れて行ってやるから、そのときにこの服を着な」

「わしからは、こいつをやろう」

 ビルも後ろから農作業用手袋だのシャベルだのを出してきた。そっちも、むき出し。

 もう!プレゼントは包んでよぉ~。

 そう思っちゃうのは、私の前世が日本人だからなのかなぁ?


 ラクはだいぶ時間が経ってから、くしゃりと顔を歪めた。泣きそうだったけれど、泣くことはなく……小さな声で「ありがと」と呟いた。

 そんなラクの頭を、テッドがぐしゃぐしゃとかき混ぜる。頭をぐらぐらさせながら、ラクは私を見た。

「なあ?オレ……生まれてきてありがとうなのか?」

「そうだね……ラクはまだ生まれたばっかりだからなぁ。生まれてきてありがとうってみんなからお祝いしてもらうにはね。悪いこととか、人を傷つけることとか、したらダメなんだよ」

「そう。お嬢がお祝いしてもらえるのは、お嬢がいい子だからだ。だからラクもいい子になれよ?」

 テッドが私の後に続く。

 ……私がいい子かどうかは、かなりアヤシイけどねー。どっちかっていうと、悪い子寄りな気もする~。でもまあ、誰かれなく傷つける気はないし。ラクに分かりやすく受け入れてもらうためには仕方がない。

 横でビルも頷いた。


 ちなみに私がラクにプレゼントしたのは、けん玉だ。

 一人で遊べるオモチャを……と悩んで思いついたのがそれだった。他にヨーヨーや独楽も良いかなと思ったんだけど、私は遊んだことがなかったのよね。けん玉なら、ちょっとだけやったことがあるのだ(もちろん、前世で)。

 で、絵を描いて、手先が器用なビルに手作りしてもらった。急いで作ってもらったので、申し訳なかったかも(しかもラクにナイショだし)?

 そもそも今年は、私の誕生日会をするつもりはなかったのだ。アナベル姉さまが目覚めていなかったから当然だろう。だけどテッドが“ラクに生命の大切さを教えよう”と言い出し、私の誕生日にあわせてラクの誕生日も作ることとなったため、大慌てで用意することになったのだった。

 なお、私はけん玉で簡単なことしか出来ないけど、テッドに教えたらすぐに複雑な技を出来るようになった。というワケでテッドにラクの前で手本をやってもらったら、ラクはすっかり夢中になった。

 ―――ただし。

「……夜中に、真っ暗な中でもカコンカコンやりましてな。夜は禁止にしました」

 数日後。

 ビルが呆れたように教えてくれた。

 ラクは夜目が利くらしい。真っ暗な中、けん玉で黙って遊んでいる姿はかなり不気味だったそうだ。

 そ、そっか。ごめん、ビル……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読んでます! けん玉の音が、七不思議にならなくてよかったね~ そうなる前に止めれたかな(笑)
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