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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2583年(1923年)

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83/910

俺たちは戦場に居るのであって役場に居るんじゃない!

皇紀2583年(1923年)9月20日 コムソモリスク=ナ=アムーレ


 極東共和国軍がビキン北方から行動を開始したことが浦塩派遣軍司令部からサガレン州派遣軍を経由して連絡を受けた真崎兵団は未だコムソモリスク=ナ=アムーレにて後方の確保に不安を感じていた。


 彼らは本国からの補給を確保しつつ物資を集積していたが、集積される物資は確保した周辺の集落へと右から左へ流れていた。


 コムソモリスク=ナ=アムーレ周辺の集落や町村は揃って極東共和国から鞍替えし、自警団や義勇軍を組織し、積極的に真崎兵団へ協力をしているが、これも真崎兵団の鎮撫による効果である。だが、その分だけ余分な物資の消耗を招き、常に兵団の兵站担当者は頭を抱えていた。


 兵站の維持と恭順した町村集落の維持を図るため、物資を投入するとその分だけ恭順する町村集落が増えるという悪循環のために真崎兵団は戦争をしに来ているのに自治体行政……既に県などの上級自治体水準……の業務範囲となっている始末だった。


 この状況に真崎兵団の幹部たちは日々頭を悩ませ、慣れない行政を取り仕切っていたが、ウスリー川方面での状況変化によって各地に散らばっていた兵団幹部が招集されたのである。


 幹部を集めた会議の冒頭、真崎兵団を統括する真崎甚三郎少将は訓示を述べた。


「諸君、本国において未曽有の大災害が発生し、半月が経つ……しかし、それを好機と敵は動き出した。全く卑怯な輩である。斯様な卑怯な行動に対して、我らは正義を示さねばならん……諸君らがこの地でに担った行政は本来誰がやらねばならなかったのか? そう、暴虐なる極東共和国であり、卑怯にも本国の苦難に付け込んできたのも極東共和国だ。諸君らは何故、ここまで来たのか忘れたのではあるまい? そう、敵を討つためだ……今や我らはその好機を掴んだ! これより敵が留守となったハバロフスクを急襲する!」


 真崎の訓示に幹部たちは頷きつつも、「えっ?さっき、敵の隙を突くのは卑怯って言ったばかりじゃん!」と心の中でツッコミを入れていた。


 だが、心の中でどう思っていたかは兎も角、彼らはやっと慣れない仕事から解放される喜びからハバロフスク進軍に賛意を示した。いつまでも続く書類仕事と陳情と配給待ちの列にいい加減彼らはウンザリしていたのだ。


「兵団長!」


「なんだね?」


「アムール川を遡上するのですか? それとも、自転車とオートバイによる機動戦でしょうか!」


「機動戦だ! 他の都市や集落に目をくれるな! 放置しろ、速度が優先される作戦であると心得よ!」


「はっ!」


 真崎の明快な作戦行動方針に彼らは頷き、具体的な作戦を練るため会議室で討論を開始した。


 真崎は幹部たちに作戦立案を任せ、司令部の外へ出た。


「あとは荒木さんが上手く敵を誘導してくれれば……」

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