表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~  作者: ひだまりのねこ
第四章 エスペランサの攻防

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/508

39 黒狼の騎士

「――というわけで、新しく仲間になった水の大精霊のミヅハだ。みんなよろしく頼む」


「カケルくん? 大精霊様は、普通人間の仲間にならないんだけど……まあ今更ね」


カタリナさんは、呆れながらも最後は受け入れてくれる。本当にありがたい。


「ミヅハ様、ひとつお尋ねしてよろしいでしょうか?」

『なんでしょうか? クロエ様』


 クロエが、真剣な眼差しでミヅハを見つめる。


「大精霊ともなれば、気の遠くなるような年月を経てこられた存在と聞きます。さすがにお兄様はないかと」

『…………』


 クロエさん?! そこ? 食い付くのそこ?


『クロエ様、私は見ての通り、生まれたての赤子も同然です』


「赤子は、喋ったりしませんが……」


「クロエ、ミヅハは大精霊なんだから、生まれてすぐ喋ったりしても、おかしくないだろ?」

『ミヅハ、0歳でちゅ……』


「ほらみろ、ミヅハは0歳だってさ」

「御主人様ッ!? 目を覚ましてください! どこにこんな0歳児がいますか?」


 クロエがミヅハをジト目で睨み付ける。


『お兄様、あの目つきの悪い狼娘は、何故私をいじめるのでしょうか……』

「クロエ、ミヅハが怯えてるじゃないか。よしよし」


 くっ、妹ポジションがここまで手ごわいとは……やりますね、ミヅハ様……


 私の匂い鑑定スキルの力で、御主人様が「お兄様」に喜びを感じていることはわかっています。そう、あのセレスティーナの「旦那様」と同じぐらいのパワーワードといえるでしょう。となると御主人様は、家族のように距離が近い方が好みなのでしょうか。考えてみれば、エヴァもダーリンって呼んでいますし、御主人様は気付いていないようですが、エルフにとって貴方様という呼び方は、婚約者や夫にしか使わない呼称です。つまり、シルフィとサラは、すでに婚約者ポジションということ……それに比べて、私はメイド。いってみれば、ただの主従関係。最初にそばにいたのは私だったのに、ひょっとして、私、一番御主人様から遠いの? 嫌、それは嫌……あ、でもクラウディアがいましたね。さすが我が永遠の親友クラウディア。はっ!? そういえば、クラウディアは、御主人様にお姫様抱っこしてもらっていました。あれ……もしかして、私だけお姫様抱っこしてもらっていない!? 私も一応お姫様なのに……何てことだ、ここから一体どうすれば……いっそのこと、私も妹に……妹になれば、一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝るのも当たり前だし、ふふふ、いいかもしれませんね。でもただの妹では弱い。後から設定を変えるのも負けたみたいで嫌ですし。妹メイドで行きましょう。これならば、24時間一緒にいられますし、ミヅハ様に対しても、姉という立場で優位に立てます。ふふふ、さすが神童と呼ばれた私だけありますね。完璧な最適解です。 



「……申し訳ございませんでした、御主兄様。ミヅハ様も、私のことは、()だと思って何でも言って下さいね」


「御主兄様って何?!」


 クロエの苦悩など知る由もなく、カケルの困惑は深まっていく。


「はははっ、カケルの周りはいつも賑やかで楽しいな。どれ、私も参加――」

「セシリアは、ネコの尻尾でじゃれていれば良いのです」

「クロエ、なんか私の扱い酷くない!?」


「ま、まあいいか。それで、どうする? この場所を放置する訳にもいかないし、報告にも戻る必要もあるし、手分けするにしても、方針を決めないとな」


 確かに、戻るにしても、この場所をそのままにするわけにはいかない。新手がやってくる可能性が高い以上、それなりの戦力を残す必要があるだろう。


「それなら、俺の召喚獣を何体か守りに置いていきますよ。ワームもいるし、何とかなるでしょう」


「そうね。高レベルのキングにジェネラルもいるし、何かあっても、カケルくんと連絡を取れるのだから、適任かもしれないわ」


 カタリナさんも同意する。


『お兄様、それならば、地底湖の守りは、私にお任せください。もともとこの場所は、太古より水の精霊たちの楽園だったのです。湖が浄化されたので、すでに、微精霊たちが戻り始めています。ここを守るように、私が命じておきましょう』


「そうしてもらえると助かる。ありがとうミヅハ、ところで、ミヅハは、ずっと実体化していて大丈夫なのか?」

『……酷いですお兄様、そんなに私に消えて欲しいのですか……』 


「い、いや、そういう意味じゃないんだ。ミヅハがずっといてくれたほうが嬉しいに決まってる」


(か、かわいい……お兄様がかわいいです)


『嬉しいです、お兄様。ところで、お願いがあるのですが、あの聖水を湖にも少し入れてもらえないでしょうか?』

「聖水? ああ、神水のことか。もちろん構わないぞ」


 湖に神水を注ぐと、水面が輝き出し、辺りを聖なる気で覆い始める。


「……お兄様、これはすごいです! これならあっという間に精霊たちが集まると思います」


 ミヅハが目をキラキラさせて湖を眺めている。俺の妹ってこんなにかわいいんだな。


 ちなみに、ワームたちは、浄化されて魔物から土の精霊獣にジョブチェンジした。見た目も少しだけましになったような気がする。体臭も、腐った卵のような悪臭から、畑の土みたいないい香りになったしね。その結果、ワームたちは、レアゴブリンの使役から外れたんだよな……ふふふ。


(これで、ゴキ野郎も用済みだな……こんどこそ始末して――)


「……御主兄様? 何か悪いことを企んでいらっしゃる匂いがしますが……」


 ちっ、クロエが鋭い。ゴキのやつ、悪運だけは強いな。だが、いつか神水で浄化してやるからな! 


***


 グリフォンのフリューゲルと、ラビ以外の召喚獣は、すべてこの場所に残していく。リーダーは、統率と魔物強化を持つ、ゴブリンキングのエーリッヒに任せることにした。


「じゃあ戻ってくるまで、ここの守りを頼んだぞ、みんな」

『お任せください、主よ。のこのこやってきた連中は、皆、経験値に変えてやります』


 うむ、頼もしい。うまくいけば、自動レベルアップシステムの完成だぜ。


 この場所は、敵の重要な拠点の一つだったようだし、潰せたのは大きい。この先アストレアへ行くための、重要な中継地点にもなるし。今回の成果としては、十分すぎるほどだろう。


「結果的に、ギルマスに頼まれたこと全部コンプリート出来たわけだし、この依頼は大成功だな!」


 セシリアさんがそういって笑うと、みんな一斉に笑顔になる。さあ、ギルドへ帰るか。


「っ!? 御主兄様、何かが来ます。相当なスピードです」


 突然、クロエが叫び、全員即座に戦闘態勢に入る。


 そして次の瞬間、俺たちの前に、黒い塊が飛び込んできた。


「あなた……アベル? 御主兄様、敵ではありません。騎士団のアベルです」


 黒い塊は、漆黒の狼で、その姿がみるみる人型にもどってゆく。


「はあ、はあ……クロエ様、ご無事で……なによりでございます。こちらに……カケル殿はいらっしゃいますか?」


 ずっと全力で走ってきたのだろう。息が整うのを待つ間も惜しい、そんな様子のアベルを見て嫌な予感に襲われる。


「俺がカケルだ。アベルさん、何があった?」


「……エスペランサが魔物の大群に襲われた。セレス団長は、砦を救うため、すでに砦に向かわれた。このままでは、団長が……頼む、カケル殿、団長を、砦を助けてください……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i566029
(作/秋の桜子さま)
― 新着の感想 ―
[一言] >クロエ様、私は見ての通り、生まれたての赤子も同然です 死んだら生まれ変わるベニクラゲがジジババなのかバブちゃんなのかと同じ問題やな(;'∀') >いつか神水で浄化してやるからな! ピロー…
[一言] 御主兄様って何て読むんですか?(^∀^;)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ