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異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~  作者: ひだまりのねこ
第十六章 ガーランド王国 世界樹の街へ

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エルフの王国へ


 スキル『物質透過』でお坊ちゃまの寝室に音も無くお邪魔する。侵入ではなく、お邪魔です。間違えないで下さいね?

  

 お坊ちゃまを起こすのは私に与えられた大切な役目ですから、怒られることはないのです。うふふ。


 迷宮の最下層に縛り付けられていた私が、お坊ちゃまに救われた時に覚醒めたスキルは3つ。『物質透過』『粉骨砕身』『癒やしの泉』です。


 物質透過のおかげでお坊ちゃまを起こす事無く堪能出来ますし、粉骨砕身はお坊ちゃまを守る時にステータス10倍になりますから、とてもお役に立てるのです。


 それに癒やしの泉があれば、皆さまの疲れはもちろん、不満や悩み、ストレスまで解消してくれますからね。お坊ちゃまのハーレムの手助けになるように、日夜頑張る所存です。



 「ん……んんんん?」


 顔中をぺろぺろされる夢を見て目が覚める。


「……クラウディア?」

 

 外はまだ暗く、朝の気配すら感じられない。隣をみればクラウディアが可愛い寝顔でぐっすり眠っている。となれば……犯人は決まっている。


「おはよう、ケルベロス」

「おはようございます、お坊ちゃま」


 俺の愛犬ケルベロスだ。うちの屋敷に来てからは、毎朝、昔のように起こしてくれるようになったのだが、真っ白なモフモフ全裸で、布団にもぐりこんで起こすのは止めてほしい。ウソです。止めなくていいです。


「うふふ、お坊ちゃま……お坊ちゃま……ぺろぺろ」


 ついでに顔中舐めまわすのも止めてほしい。はい、またウソを重ねました。常習犯です。ごめんなさい。


「起こしてくれるのは嬉しいんだけど、まだ起きるには早いんじゃないか?」

「ですが、お坊ちゃまはお忙しいですから……この時間しかなかったのです。申し訳ございません」


 淋しそうなケルベロスの表情にはっとする。


 考えてみれば、再会してからケルベロスとの時間を取れていなかった。


 早朝は鍛錬の時間で、日中は出かけているし、夜はお察しだ。


 またか……俺はいつもケルベロスからもらってばかりで、甘えてばかりだ。


「ケルベロス……おいで」

「お坊ちゃま……わふぅ!」


 嬉しそうに飛び込んでくるケルベロス。


 惜しみなく時空魔法100倍を使う。筋肉痛? なあに、運動すれば治るさ。



(……完全に目覚めるタイミング間違えたわね……) 


 早々に二度寝を決めるクラウディアであった……って寝れないわよ!?


 二度寝を諦めて、たぬき寝入りを決めるクラウディアであったが……結局我慢出来ず、カケルとケルベロスに飛び込んでゆくのであった。



***



 今日はエルフの王国ガーランドへ行く。


 なんだかんだで、すっかり後回しになってしまったけれど。


 本当はもっと早く訪問する予定だったんだけど、シルフィとサラには悪いことをしてしまったな。


 シルフィとサラは昨日から先に王都入りしているので、ここには居ない。



「それじゃあ、今日はガーランドの王都ユグドラシルに行ってくる」


 朝食の席で今日の予定をみんなに告げるが、ちょっと待て。こうやって見ると、女子校の先生になった気分になるな。クラス全員、同僚、保護者、用務員さん? も含めてお嫁さんだけどね!? 何やってんの俺!?


「カケル殿、ガーランドに行くなら、是非とも私も連れて行って下さい。王妃のマーガレットとは、古い友人なのです」


 それは全然構わないんですが、なぜベルファティーナさまは、まだ屋敷にいらっしゃるのでしょうか?


「だって、ご飯は美味しいし、お風呂も最高ですし、何より……カケル殿がいらっしゃるから……」


 頬を染めて照れるベルファティーナさま。あの……貴女本当にお義母さまですか? 実はセレスティーナの妹とかじゃないですよね!? あと、朝食の場で止めて下さい、みんなの視線がとっても痛いんですよ!?


「……先輩マジで半端ないね」

 

「ふふっ、お母様ったら可愛い」

「まったく母上は甘えん坊だな」


 君たち姉妹も少しはツッコもうね!?



「王子様、今回は私も行きますからね?」


 ふんすっ、とやる気を(みなぎ)らせるサクラが可愛い。


 サクラは植物魔法の使い手で、ガーランドとは縁が深いからな。オルレアン伯爵領とは交易も盛んだし、連れていった方がいいだろう。



 結局、ガーランドへ行くメンバーは、ベルファティーナさま、サクラ、美琴、リーゼロッテ、ソニアとなった。今回はひとりで行く予定だったんだけど仕方ない。


 クロエとヒルデガルド、ミヅハはセットなので数には入れないよ。


 いつものように、みんなを職場に送り届けてから出発する。


「クロドラ、頼むよ」

『ふふっ、任せておけ。この世の果てまで連れて行ってやる』


 いや……ガーランドまでお願いします。


 プリメーラからガーランドの王都ユグドラシルまでは、約30分の空の旅だ。


 実は空からしっかり王都を見るのは初めてだ。楽しみで仕方がない。だって――――


「ねえ先輩、ユグドラシルって、もしかして?」

「ああ、世界樹が見れるぞ、美琴」

「うはあ!? ファンタジーの定番キター!!!」


 ガーランドの王都ユグドラシルは、その名のとおり、世界樹と呼ばれる巨大な樹の上に築かれた都市だ。これがわくわくしない訳がないだろう。



「でも……さすがカケル殿ですね」


 突然、意味深な事をおっしゃるベルファティーナさま。


「え? 何がです? ベルファティーナさま?」 

「狙った訳でもないのに、ピンポイントで樹粉症のシーズンにガーランドを訪問するなんて……うふふ」


 樹粉症……だと? なんだその目と鼻がむずむずしそうな恐ろしいワードは!?


「ちなみに……樹粉症ってなんですか?」

「うふふ。それは着いてからの、お・た・の・し・み」


 可愛い妹のような容姿で妖艶に微笑むベルファティーナさま。どうでもいいんですが、なんで俺の膝の上に座ってるんですかね? 


 

 期待に胸を膨らませながら、一行は王都ユグドラシルへ向かうのであった。  

  

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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