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異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~  作者: ひだまりのねこ
第十一章 勇者な美琴と天才の刹那 

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女神に愛された都市イリゼス


 プリメーラに戻りクラウディアを呼びに冒険者ギルドへ向かった。


 この時間帯は冒険者の多くが出払っており、比較的空いているから好都合だ。



「あれ、お兄ちゃん? スタンピードは?」


 アリサがきょとんとした顔でたずねてくる。くっ、俺の妹は世界一可愛い。


「全部終わったよ。みんなのおかげで思ったより早く片付いたんだ。クラウディアは?」


「今、お昼休憩で外に食べに行ってるよ。あ、帰りに神殿に寄るって言ってた」


「わかった。ありがとうアリサ。悪いんだけどギルマスにクラウディアを連れていくって伝えといてくれないか」


「うん、了解。じゃあ、はい!」


 手を出すアリサ。なんだこれは? アリサの意図がわからない。くっ、読心スキルが欲しい。


 仕方がない。思いつく限りのことをやればどれかは当たるだろう。


 

 アリサの手に金貨を握らせ、その手の甲にキスをする。そして手を引きよせギュッと抱きしめたあと、高い高いをして仕上げはお姫様抱っこ。念のため、プリンも渡しておく。


「あわわわわわ……お、お兄ちゃん!? 何してんの? これじゃ仕事にならないじゃない、バカあああ!」


 顔を真っ赤にして怒るアリサ。たしかにふにゃふにゃになってるから仕事にならないな。ゴメンなさい。


 

 周囲からの羨望の眼差しを浴びながらギルドを出る。


 なんたって、アリサは今やクラウディアと並ぶほど人気の受付嬢だからな。 


 加えてミヅハ、クロエという超絶有能美少女妹までいるとか、本当にありがたい。


 うむ、俺も神殿でイリゼ様に感謝を捧げたほうが良いだろう。


 そういえば、アリサに刹那のこと言ってなかったなと思いながら神殿に向かった。



***



「おや、クラウディア様、またいらしてたのですね。熱心なことで女神様もお喜びでしょう」


 神殿に行くと、神官長様に声をかけられた。


 プリメーラに来てからほぼ毎日、神殿に来ているので、神官長様ともすっかり顔馴染みだ。


(祈ることぐらいしか出来ないからね……)


 私はクロエやセレスティーナのように戦闘向きのスキルを持っていない。


 通常王族ともなれば、ある程度の訓練を一通り受けるものだが、母国クリスタリアは正規兵を持たない商業国家だ。


 そのため私は成人するまで剣を握ったこともなかった。絶望的に戦いに向いていないのだ。


 今はカケルさまにいただいた指輪があるから、その辺の冒険者に負けるようなことはないけれど、素のステータスならゴブリンに苦戦する自信がある。



 神殿の奥にある女神像の前に跪く。


 女神イリゼ様の像は見惚れるほど美しい。


 オリジナルの像は、かつて異世界からやって来た初代聖女様が作らせたそうだから、きっと本物の女神様は想像出来ないくらい美しいのでしょうね。


 

 女神様はこの世界をお創りになった創造主であらせられるから、生きとし生けるもの、この世界の全てを愛していらっしゃる。


 決して人族だけの味方では無いのだ。


 でも女神様は私たちの声を、思いをちゃんと聞いてくださっている。


 直接何かをしてくれる訳ではないけれど、勇者様を送ってくれたりする優しいお方なのだ。


 だから私は祈る。


 世界に幸あれと。母国に幸あれと。


 そして私は感謝する。


 カケルさまをお遣わしになったことを。


 カケルさまと出逢えたことを。




『クラウディア……今まで良く頑張ったわね。貴女の祈り、しっかり届いているわよ』


 

 一瞬女神様の声が聞こえたような気がした。


 ううん、気のせいなんかじゃない。


 だって、女神様が最後に教えてくださった。



『もうすぐ貴女の最愛の人たちに逢えるわ』


 

 慈愛に満ちた優しい声色に自然と涙が零れ落ちる。



「おーい、クラウディア!」


 そして最愛の人の声が聞こえた。


 振り向かなくたって分かるわよ。


「一緒にイリゼスに行こう。クラウディアの家族もいるはずだから」



 そう……最愛の人()()ってそういうことだったんだ……



 ありがとうカケルさま。


 ありがとうございます女神様。



 でも、女神に愛された都市イリゼスが再会の場所なんてちょっと出来過ぎだわ。


 サービスしすぎですよ、女神様。


 

 最愛の人の胸に飛び込む。


 いつも私を受け止めてくれる引き締まった胸板が好き。


 私の想いや願いごと抱きしめてくれる力強い両腕が好き。


 その木漏れ日みたいな眼差しも、ひだまりみたいな笑顔も大好き。



 決して大柄ではないその身体でどれほどの重責を背負っているのだろう。


 私に出来るのは祈ることだけ。


 だからカケルさまがいつも笑っていられるように祈ります。


 でも、カケルさまは優しい方だから、周りの誰かが不幸なら、きっと笑っていられない。


 だからみんなが笑っていられるように祈りましょう。一応私も入れましょう。

 

 愛しい想いが止まらない。


 私の想いは届いているかしら?


 近くにいるのにもどかしい。


 恥ずかしいけど言葉にしよう。


「カケルさまっ! 愛してます!!」


 カケルさまはちょっとだけ驚いて、そしてゆっくりそっと耳元で。


「俺も愛してるよ、クラウディア」


 

『まったく……あまり神殿でイチャイチャしないで欲しいわ』



 なにか聞こえたような気がするけれど、きっと気のせい、風のせい。



 今だけはごめんなさい……女神様。


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i566029
(作/秋の桜子さま)
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