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異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~  作者: ひだまりのねこ
第九章 決戦の前に 束の間の日常

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臨時講師なんて聞いてませんけど?

 その後、全員を連れて敷地内の工場へ移動する。


 外装をレンガで覆った地下3階地上3階の建物だ。地下は常温保存用と冷蔵用、冷凍用にそれぞれ階を分けている。


 冷蔵と冷凍には、魔法で作った永久氷を使用することで氷室にするのだ。


 従業員には、魔法を付与したリングを貸与して、消毒と殺菌をしてもらうつもりだ。初級魔法で処理出来るので、交代でやれば魔力が少ない獣人族でも枯渇する心配はないだろう。


 設備をひと通り説明した後は、従業員用の寮を見てもらう。


 寮は5階建てで、1階が食堂、2階から5階が従業員用の部屋、地下には大浴場を完備している。


「一応全員分の部屋は用意出来ますが、一部は相部屋になってしまいますから部屋割の希望があれば言ってくださいね」 


 モモやソラたち兄妹はやはり同じ部屋の方がいいだろうからな。


「モモお姉ちゃん……ふわふわのベッドだよ!?」

「うん……ふわふわだね!」


「デッカイ風呂まであるのか!? やっほー!」 


 やはり身体が資本だからね。住環境には極力気を使った。喜んでもらえて良かった。



「しばらくはこちらでフォローしますが、寮の食堂、清掃、プリンの製造、販売、なるべく皆さんのやりたい仕事を選んでもらいたいと考えています。ですので、最初は全員に全ての仕事を経験してもらうつもりです」


 互いの仕事を理解することはとても重要だからね。それに意外な適性が見つかるかもしれないし。



「調理、清掃、販売の専門家は私が手配したので安心してね」


 研修が終わるまでの助っ人兼指導員はミレイヌが手配してくれたので安心だ。将来的に人材が育てば、別の街で新人を指導してもらおうと考えている。



「では最後に賃金だけど、研修期間中は1日銀貨5枚、その後は1日銀貨7枚でお願いしたい。もちろん寮は無料だし、食事付きだ」


「「「「は?」」」」


 しまった……やはり安すぎたか!? だがこれ以上上げるとなるとビジネスモデルを考え直さないと……ブツブツ。



「すまない、今はこれが精一杯だ。もちろん経営者として待遇改善には努力を――――」


「カケルさま、違います! 逆です! 待遇が良すぎるんです!」


 テンパっている俺を呆れたようにジト目するミレイヌ。


 ん? 待遇が良すぎる? どういうことだ?


「……カケルさまはプリメーラの住み込みでの平均賃金をご存知ですか?」


「いや、知らないな」


「ハァ……1日銀貨3枚です。猫獣人にとっては間違いなく破格の賃金ですよ。ちなみに商業ギルドの新人職員より上ですから」


 ま、まあ……少ないよりは、ねぇ?



「モモお姉ちゃん、銀貨ってなに?」

「え、わ、私も貰ったことないけど、鉄貨や銅貨よりもピカピカで綺麗なお金よ」


「そうだぞ、売ってるもの何でも買えるすげぇお金だぞ!」



 うっ……涙が、あげたい……この子たちに金貨をあげたい。喜ぶ顔が見たい! 


 だが、そんなことをしたら金持ちの道楽になってしまうし、この子たちの為にならない。



「みんな聞いてくれ、仕事とは別に、文字の読み書きや計算、礼儀作法、一般常識を教えてくれる先生方を紹介する。商業ギルドの現役職員だから、今後もお世話になると思うぞ」


「……は? 何それ!? 私は聞いてないわよ!」

 

 突然の発言に驚くミレイヌ。ごめんね今朝決まったばかりだから言ってなかったよ。


 工場に入ってきたのは、金髪ロールのお嬢様風の女性と落ち着いた雰囲気の濃緑髪の知的美女の2人。


「皆さんこんにちは! 商業ギルドに咲く1輪の花、受付嬢のローラです〜!」

「皆さまこんにちは、商業ギルドからまいりましたミネルヴァと申します。宜しくお願いいたします」


 人気受付嬢のツートップ、ミネルヴァさんとローラさんが臨時講師を引受けてくれたのだ。


 朝、商業ギルドに行った時に相談したら即決だった。感謝しかないよ。


 2人とも貴族の子女で、読み書きはもちろん、計算から趣味全般までこなせるすごい女性だった。



「ミネルヴァはともかく、ローラまで……貴方に教えられる子どもたちが可哀想だわ!」


「ふふふっ、自分に声がかからなかったからって嫉妬は良くないわ、ミレイヌ」

「まったく……煽るのはやめなさいローラ、ごめんなさいねミレイヌ」



 くっ、確かにローラの言うとおり、自分に声がかからなかったのは悔しいけど、自分はギルドマスターという立場になるのだし、そもそも育ちの良いミネルヴァたちと違って講師には向いていない。だけど……



「えへへ……プリン食べ放題に加えて、一回の報酬が金貨1枚とか……ああもう、こっちに転職しようかしら……そのままカケルさまに永久就職なんちゃて……んふふふ」


「……頑張るのよ、ミネルヴァ! この機会にカケルさまに気に入ってもらえれば……」


 ……2人とも心の声がだだもれなんですけど!? って金貨1枚!? プリン食べ放題!?


「ちょっと、カケルさま、金貨1枚は払い過ぎです。銅貨1枚で十分ですよ!」

「は? ちょっと何言ってるのよミレイヌ! 子どものお使いじゃないのよ!」



 ぎゃーぎゃー、騒ぎ出した商業ギルドメンバーを面白そうに眺める猫獣人たち。


 人材も集まったし、とにかく事業を始められそうで良かったよ。







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i566029
(作/秋の桜子さま)
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