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第19話 久しぶりに幼馴染みと

《ファミレス・ジョースター》


「ゆー君。太っ腹過ぎるよ〜! ありがとう」

「ご馳走様だし〜! 建見っち〜!」

「あ、あの! 私の分まで冬場限定の特大パフェを奢ってもらっちゃって……ありがとうございます。建見君」


 藍、七宮、白鳥さんが満足そうな顔で俺にお礼を言ってくれた。


「いやいや、これも皆を怒らせた罰だ……そう俺に対するドM的な罰だから気にしないでくれ。財布の中身は死んだけどな。アハハ……」


 俺は少し悲しい気持ちになった。でも可愛い女の子達に、冬場限定の特大パフェを奢れたんだからいわない。



「……ご馳走様。建見君」


 そして、藍達が座る場所から少し離れた席で、俺は秋月部長と向き合いながら座っていた。藍達に聞かれたら不味い話を秋月部長にする為に。


「それで? 秋月部長。さっきの旧校舎での……七菜子ななこさんのお話なんですけど」


「ええ、教えられないわ」


「はい? えっとですから……」


「だから教えられないわ。今はね」


「今はって……白鳥さんも被害を受けてるんですよ? 睡眠なのか知りませんけど。人の体を勝手に洗脳するなんて許される事じゃありませんよね?」


「そうね……でも旧校舎の七菜子さんを怒らせる様な事を、彩愛あやめがしたとはかんがえられないかしら?」


「白鳥さんがトイレの七菜子さんを怒らせる様な事をですか?」



「だ、誰が! トイレの七菜子さんよ! 誰が!」

「アホ七菜子。そんなに騒いだら。私達の存在がバレるってば!」


 ん? 何だ? 入り口前の席でサングラスとマスクを被る怪しい黎明高校の制服を着た女子高生?……どう見ても怪しすぎんだろう。


「……あの娘達。お馬鹿さんなのかしら?」


「あの娘達?ですか?」


「いえ。なんでもないわ。まぁ、なんて説明をすれば良いかしらね……私達の一族や白鳥家ってそういうのが得意なのよね」


「は、はぁ……」


 よく分からないが。とりあえず頷く。


「それで立地って言うのかしら? パワースポット的な場所だと波長が良う人の身体をね。こう凄い力でギュッ!……みたいな感じね。夏の頃、秋月神社でも1度。葵に下りて来てたもの……説明が難しいけどそんな感じかしらね」


「は、はぁ……そうなんですか」


 最早もはや、秋月部長の説明が意味が不明だったが。ここで色々と聞くと後戻りできなくなって面倒な事になりそうだから。秋月部長の話を聞くのに専念する事にした。


「……とりあえず。今、話せる事はこれくらいね……それとこれは。皆のパフェだい。後で使いなさい」


 秋月部長はスゥーと自分の財布から1万円を取り出し。俺に静かに渡した。


「は? ちょっと! こんな大金駄目ですって! 秋月部長」


「愚妹の失礼は。姉がなんとかするものなのよ。建見君……それじゃあ。今日は解散しましょうか。これから皆、各自で忙しいと思うもの」


 秋月部長は突然、立ち上がり。俺達の方ををずーっと見詰めていた。サングラスとマスクを被った黎明高校の女子生徒へと声をかけた。


「さてと。それじゃあ、帰りましょうか。2人共……貴女たちには高嶺たかみね美海みうさんの事とか。色々と聞かないといけないもの」


「い、い、いろはお姉ちゃん。いつから私達が居た事に気づいていたの……のごぁ?!」

「い、いろは様。違うんです。これはこのお馬鹿な七菜子が始めた事で……しでぇ?!」


 うお! 凄い。秋月部長もできるのか? 両手宙ずりアイアンクロー……知的そうに見えて案外武道派なんだな。


「それじゃあ。建見君。白鳥さん。ご迷惑をかけたわね。色々と落ち着いたらこの娘達に水着を着せて謝らせに行くから待っててね……ほら。帰るわよ。2人共。やしろでお仕置きしてあげるわ」


「ごめんなさい。いろはお姉ちゃん。お仕置きは勘弁して〜!」

「いろは様〜! なんで私まで〜!」


 ……なんだか知らないが。秋月部長には秋月部長の物語でもあるんだろうか?



「じゃあね〜! 建見っち〜! 藍ちゃん〜! ウチと彩愛あやめちゃんは友情を深める為にマップ行って来るし〜!」

「ふえぇ!! なんで私を巻き込むんですか? 七宮さん!!」


「お〜う! あんまり夜遅くまで友情深めてるなよ。それと変なのに絡まれるなよ〜!」


「了解だし〜!」


 七宮がそう言いながら、白鳥さんの右手を掴んで駅前のマップに入って行った。


「ありがとう。七宮さん! これで久しぶりにゆー君と一緒に帰れるよ」


 藍が……七宮に手を振りながら、ボソッと何か言ったな。小声過ぎで何を言ったのか聞き取れなかったが。


「ん? ありがとう?」


「う、ううん。そんな事よりも《《久しぶり》》に一緒に家に帰れるね。ゆー君……私嬉しいよ。それじゃあ。帰ろう。ゆー君」


「あ! ちょっ! 手を引っ張るなよ。藍〜!」


 そうして俺は藍と久しぶりの2人だけの帰り道を歩き始めた。


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