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第14話 白鳥さんの裏の顔?

 

 心配して見にきてみれば。誰かに絡まれてのたのかよ。白鳥さん。


 ……あれ? あのヤンキー、数日前にツボ押し矯正で性格の根底まで変えてやった。お猿な不良先輩だよな?



「な、何なんですか? いきなり……私はただ本屋でBLの本を買いに来ただけなのに」


「グエヘヘ……お前。裏チューブで、際どい配信してる白鳥ハクチョウイロハだろう? その右目の泣き袋でピーンときたぜ」


「つっ!……ち、違います! そんな人知りません」


「なら、胸元にホクロがあるか確かめさせろ。配信中はよく水着なんか着て、俺達を楽しませてくれてるよな? ちゃんと保存してあるんだからな」


「あぅ……(なんで、あんな1回だけしかプレミアム公開してた動画まで観てるですか。この怖い人は)」


「はい。そこまでですよ。不良先輩……アンタはもう終わってるです」


「あん? 誰だよ! 俺は今、白鳥イロハちゃんのサイン色紙を貰うために必死になってんだぞ。その後は俺との放課後ランデブー?……ヒデブァ?!!!」


ドサッ!


 よ、弱~! 不良先輩。数日前より弱くなってんじゃんよ。何があったし?


「あ、貴方は……メイドのコスプレイヤーさん?」


 コノヤロー、せっかく助けに来たのに、こんな時もボケかますのか。ぼっちちゃん。


建宮裕次たてみやゆうじだ。裏チューブの白鳥ハクチョウイロハちゃんとやら」


「なぅ! ち、違います! 違うんです。あれは自己表現に行き詰まって最後に辿り着いた結果なんです! けして露出癖があるとかじゃなくてですね!」


 別に聞いてもないのに自分の秘密を勝手に喋ってくれるな。


 ……白鳥さんって裏チューブで水着配信とかやってたのか。後で絶対に検索しておこう。


「後で、検索してブックマークしとくわ。白鳥ハクチョウイロハちゃん」


「し、しなくて良いです!! ていうか。何故、貴方がここに居るんですか? 私の隠れファンなんですか?」


「絶対違うわ。動画見たらブックマークするけどな」


「なんで覚悟決まったような顔で言うんですか! 何なんですか? 私に惚れて…」


 なんでそうなるんだよ。白鳥ハクチョウイロハちゃんは……まぁ、かなり可愛いな。これは帰った後、動画を観るのが楽しみだわ。クラスメイトの水着水着。


「いや、それはないない。白鳥ハクチョウイロハさんが不良先輩に、路地裏に連れてかれたのを見えたから助けに来たんだって」


「……私を助けに?……来てくれたんですか?」


「そうそう……不良先輩をゴミ箱に収納してと」


「ごがぁぁ?!」


 断末魔の叫びか聞こえた気がするが、この先輩がやろうとした事を考えるとなんの罪悪感も感じないな。


「これで路地裏清掃は終わりと。じゃあな。白鳥ハクチョウイロハちゃん。今度からは絡まれない様に気をつけろよ」


 建宮裕次クールにさ……


「待って下さい! 建宮さん!!」


「痛っ! ちょっ! 白鳥イロハちゃん。握力強っ!」


「す、すみません……さっきは助けてくれて本当にありがとうございました……少し動揺してて謝らなくて……」


「あ、あぁ、人間。パニックるとそうなるよな。それじゃあ、また明日学校で……」


 へ~! ちゃんと素直に謝れて偉い!……そして、この娘は俺の女の子ヤバイセンサーにビンビン反応しているので、さっさとエスケープするぞ。


 今の白鳥イロハちゃんの雰囲気がヤバイ。これはあれだ。七宮に旧校舎で追いかけ回されていた時に感じたあの感覚だな。


 俺の中のヤバイ女の子キャパシティーは七宮でストレージがオーバーフローしているからな。これ以上の容量は無いんだ。


 さようなら。ぼっちちゃんまた明日の学校で会おう。


「私の秘密を知ったんだから逃がしませんよ。あそこの本屋で一緒にBL本を買いに行ってもらいます。恋人同士じゃないと買えない限定品があるんです」


 この娘、やっぱり色々とヤバイわ。


「……何言ってんだ? 白鳥イロハちゃん。意味が分からな……」


「その名前をそれ以上連呼したら。明日の部活で雨宮藍さんに建宮君からエッチな事されたって言います」


 コイツ……やっぱり狂ってやがる。やっぱり、とんでもないキャラだったわ。


「……すまん。白鳥さん。俺が悪かった……ん? あれ?」


「どうしました? 建宮君」


「いや? ファミレスの中で……七宮達が雨宮会長と汐崎副会長に空中アイアンクローされてる」


《ファミレス・ジョースター》


「高嶺さん、静華、美来みく四君子しくんし君から聞いたよ。また悪戯いたずらしたようだね?」 

「雨宮パイセン。ゴメンだし~! これには色々理由があるんだし。最後には皆、ハッピーハッピーハッピピだし~!」

「違うです。雨宮会長。私は静華ちゃん達に頼まれてぇ~! 全部後で簡単に修復できますから~!」


「佐伯~! お前……俺のスマホまで壊れたんだぞ。俺があれを断った仕返しか?」

「汐崎先ぱ~い! 違うんです。私は最初から……私の心は蘭々だけなんです。蘭々、この暴力先輩から私を助けて下さい~! 私の蘭々~!」


「……あぁ、もうめちゃくちゃだよ」

「皆、陽キャで輝いてるよ~! ゆー君~!」



 とんでもない光景だな……君子危くんしあうきに近寄ちかよらずだな。


 最近の雨宮会長……しずく姉ちゃんの俺を見る目も、なんだか獲物を見るような目をしてるし。怖いからファミレスには戻らないでおこうと……


「よし。白鳥さん。その恋人限定のBL本を買いに行こう。それともう暗くなってきたし、家まで送るよ。心配だからな」


「ふぇ?! 良いんですか?……メイドのコスプレイヤーさんが、こんなに優しいなんて想定外です」


「いや、誰がメイドのコスプレイヤーだよ。先に帰ると藍と蘭にだけ連絡して……これで良し。リスク管理って大事だよな。白鳥さん」


「へ? そ、そうですね……私も今後はエッチな配信は控えていきたいと思います」


 いや、それは絶賛やって頂きたいと思います。


 ……こうして、俺は雨宮会長。いや、雫姉ちゃんに会うのをなんとか回避し、白鳥さんと共に近くの本屋へと向かった。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

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