第11話 もう1人の幽霊部員?
「痛たた。クラスの蛮族女子達め。後で覚えてろよ……」
「だからゴメンだし。建宮っち」
七宮が俺に胸を押し付けながら謝ってくる。毎度毎度、そんなハニートラップに引っかかるわけないだろう。鼻血は出そうだがな。
「放れろ。七宮、ふんっ!」
「ちょっ! 何するし~! もっとイチャイチャしようよ。建宮っち~!」
このヤンキーギャル、絶対反省してないだろう。
しかし、何が女装メイド喫茶もやるからもしれないからメイド服着たら許してあげるだ……着たけどさ。
写真と動画まで撮られまくった。今日はなんて日だ。
「なんで撮った写真が他のクラスや学年にまで出回ってんだよ。誰だバラ撒いた奴は……」
「ん~? お姉ちゃんかな。多分、生徒会権限で」
「雫姉ちゃん?! 何してんだよ。あの人は!!」
「……多分、私がゆー君にマッサージした事話しちゃったからかな~……アハハ」
藍が気まずそうに笑っていた……本当に今日はなんて日だ。
ホームルームの後、クラスメイト達に愛あるギルティーを喰いった俺はクラスの一致団結に一役買う事ができた。
そして、その後は皆の誤解を説くことで成功し許してもらえた。
親友の蘭と一緒にメイド服を着させられ踊った事によってだが………恥ずかしかったな。
「……後で処してやるからな。七宮」
まぁ、冗談だが。
「建宮っち。お乳揉ませるから。許してだし」
七宮は自信ありげに両手で藍より少しだけ小さい胸を持ち上げ、俺に言ってきた。
「………そういえば秋月先輩。今日はもう1人の新入幽霊部員がやって来るんでしたよね? まだ来てないみたいですけど」
「ムガ~! ウチの誘惑を無視するなし! 建宮っち~!」
「うるさい。エロ宮。分かったよ。自慢の乳を揉んでやるから。俺の膝に座れ」
「はぁ? 建宮っち。変態発言過ぎだし。引くんですけど! 座るわけないし!」
「なんだと! いつも誘惑してくるくせに、なに純情ぶってんだ。全く!」
「……建宮っちに触られると。は、恥ずかしいからに決まってるし……」
……おい。いきなり七宮が顔を赤くして恥じらい始めたぞ。可愛いか?
「そ、そうか……なんか悪かったな。感情的になってたわ」
「ウチも悪し……ゴメンだし。建宮っち。仲直りの指切りげんまんしようし。建宮っち」
「あ、あぁ、そうだな」
なんか知らんが、七宮と仲直りの指切りげんまんをして仲直りのした。
「ゆー君~! ずっと見てたからね。帰ったら色々とお仕置きだからね。お姉ちゃんと一緒に処してあげるんだから」
「……なんでそうなるんだよ。藍さんよぉ」
そして、その光景を見ていた藍がニコニコ顔でぶちギレていた。
なに俺? 処されるの? 最近、皆誰かを処すの好きすぎないか?
「何かな? ゆー君。何か言いたそうな顔だね? 私は怒らないから。私に何を言いたいのか素直に教えてほしいかも」
「建宮っち。何、藍ちゃんと一緒にイチャイチャしてんだし! ウチが素直に謝ってるんだから反応しろし~!」
藍と七宮が引っ付いてくる。止めろ。身体を押し当ててモニュモニュするのは止めてくれ。鼻血が鼻血が~!
そんな時だった。文芸部の部室の扉を強く開け。怒声を叫ぶ女子が現れたのは……
ガラガラッ!
「あ、アナタ達! こ、ここをどこだと思って居るんですか! 神聖な学舎である学校でなんてハレンチな行為を行っているんですか!」
黒髪ポニーテール。ツリ目の整った顔立ちの………誰だ? この女の子?
「誰だ? 藍、七宮。知ってるか?」
「………ごめん。分からないかな。ゆー君」
「ウチも知らんし。つうかアンタ誰だし?」
「同じクラスの白鳥彩愛です。ていか、建宮君とは幼稚園からずっと同じクラスなんですけど。なんで覚えていないんですかぁ!!」
同じクラス?の白鳥さんの叫び声が部室内に響き渡る。結構、声が高いなこの娘。
「あら? やっと来たのね。彩愛、皆に紹介するわ。第4の新入幽霊部員。アヤメよ。仲良くしてあげてね」
「よろしくお願いします! ハレンチな同じクラスの皆さん!」
「それじゃあ、全員揃ったし。今年の文芸部の出し物を話し合いましょうか。皆」




