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極秘ミッション

 

『でも夜だからか、なかなか行動パターンが掴めなくて』

「だから俺に昼間のうちに偵察して欲しいってことか」

『そーいうこと』


 ロベリアの話は大体理解できた。けれど、気になることが一つ。


「何でそんなことをするんだ? ボスの目的を果たすなら国防の要を落とすのは理にかなっているとは思うが」

『なんで? それは極秘ミッションってやつだから』

「――ボスの頼みではないんだろう?」


 その一言で、ロベリアの気配が変わった。


 確証はなかったが、諸々を加味して推察を口にしたら、どうやら図星だったみたいだ。

 立ち止まって出方を伺うと、少ししてからロベリアが影から出てきた。


「ジェフってそんな頭切れる奴だっけ?」

「ボスはロベリアが街で何をしているかまでは知らなかった。もしかしたら言わなかっただけかも知れないから確証はなかったんだが」

「カマ掛けたってことかあ。……はあ、僕も喋りすぎたからなあ。こればっかりは仕方ないか」


 何やら独りでぶつぶつと喋っているロベリアに身構える。

 秘密を知ったからには生かしておけないとか言われたら、有無を言わさず逃げる必要があるからだ。

 戦っても良いがロベリア相手にそんなことはしたくない。

 ここ数日で一番世話になったし、一緒にいたから分かる。悪い奴ではない。だからそれは最後の手段だ。


「……否定はしないんだな」

「うん、する必要ないし」

「それって、秘密を知られたから死んでくれ、とかそういう……」

「僕もそこまで鬼じゃないよ。ジェフはちょっと変わってるし、良い奴だから僕も殺したくはない。そもそも、秘密を暴かれたからって困ることはないんだ」

「……どういうことだ? 知られたくないから隠してたんじゃないのか?」


 ロベリアの考えが全く読めない。

 取りあえずは命の危険は無くなったようで、少しだけ警戒を解く。


「隠してたのは知られたら面倒な事になるから。ボスは良いんだけど、ガウルが難癖付けてきそうでさ。それが超絶嫌だったから隠してただけ」

「知られても良い隠し事って矛盾してないか?」

「まあね。僕も言ってて少し可笑しい」


 笑みを含ませて答えたロベリアに敵意は感じない。

 けれど、疑惑は色々と残っている。


「なんで隠してたんだ? 俺になら分かるが、ボスにまで秘密にするからには知られたらマズいんだろ?」

「うーん、ジェフの疑問を解決する答えはこれしかないかも。ずばり、利害の一致ってやつ」

「……利害の一致?」

「ジェフだったら妹の為ってことで利害が一致しているからボスに協力しているんでしょ? 僕も目的があってボスに協力してる。それが双方の利にかなってるからバレても構わないってこと」

「ロベリアの目的って、さっき言ってた無力化ってやつか?」

「そうだね」


 ――国防の要を落とす。

 ボスの言うクーデターを成すには必須と言って良いだろう。

 ロベリアがボスの命令で動いているのならここまで話は拗れない。

 問題は、第三者がこの企てを計画しているということだ。


「誰に命令されてそんなことをするんだ?」

「それは言えないかな。ジェフにバレちゃったことだし、帰ったらボスにも言うけれどその問いの答えはボスの出方次第だね」

「そうか……」

「まあ、今はここから先、無事に生き残ることの方が大事だけど」


 そう言い残してロベリアは俺の影に消えていった。

 ロベリアの言う通りだ。俺のすべきことは今この場所で余計な詮索をすることではない。


『あ、そうだ。ちょっとギスギスしてるけど、今まで通りで良いから。と言っても、今ので信用ゼロだとは思うけど』

「確かに心境は複雑だけど、ロベリアが今まで俺を騙してきたわけでもないし、むしろ助けてくれている。信用はしてる」

『ジェフがガウルみたいに堅物でなくて良かったよ』


 安心したように答えたロベリアに一つ頷きを返して、次のエリアへ向かうためにゲートを開いた。




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