絢爛に煌めく黄金を紐解く
できちった
・金晶独蠍 ”皇金世代”
元となったモンスターは金晶独蠍、水晶群蠍の偏食個体である。
厳密には「水晶群蠍の偏食個体としてのエクゾーディナリーモンスター」であるため、カテゴリ上は金晶独蠍ではあるが、エクゾーディナリーモンスターとしては水晶群蠍からの派生となる。
つまり、
「水晶群蠍の共食い偏食個体」であり「選ばれた個体が老成個体を糧に誕生する」=水晶群蠍に二重の補正が入った特別な金晶独蠍である。
“皇金世代”は数世代に一度生まれる自身へのマナ蓄積量が他個体の数十倍の許容を持つ幼生が水晶群老蠍の背で生まれ育ち、その偏食性を水晶群老蠍そのものを捕食することで解決した選ばれし偏食個体である。水晶群老蠍が己を捧げる理由は不明とされているが、一説では"皇金世代"の存在そのものを「種族を守護する次世代決戦戦力」として水晶群老蠍が認識しており、その身を捧げることで……あるいは"皇金世代"が生きるために消費される同族と外敵から守られる同族の天秤がリターン側に傾いたためとも言われている。
真実を知るは水晶群蠍達だけであるが、少なくとも後述する"皇金世代"が存在する水晶巣崖の危険度を鑑みれば、その規格外の巨躯故に行動に制限のある水晶群老蠍よりも皇たる蠍の方が種族の守護者として優れているのは事実である。
そもそも金晶独蠍は同族喰らいの偏食という性質を背負うが故その身を同族を狩る事に長じた攻撃的形状、また同族からの攻撃に晒され続けるために自身のみで完結した再生能力持つ特性へと変化した個体であるが、この"皇金世代"は己の肉質をより強固堅牢かつ強力無比に鍛え上げており、その性質は水晶ではなく合金のそれに近い。水晶巣崖に存在する宝晶塔を捕食可能という唯一無二の性質を持つが故に肉体に捕食した鉱石の性質を反映させることができるらしく、その姿はまさしく絢爛豪華に着飾った王侯貴族のそれである。
通常個体の水晶群蠍は主食となる水晶、あるいは死亡した同族を捕食摂取するために「動かない水晶」をカットする為に発達した鋏を持ち、偏食個体の金晶独蠍は主食となる同族つまり「動く水晶体」をカットする為……そして同族を仕留めるために戦闘と耐久に特化した分厚い鋏を持つ。
通常種の老成個体である水晶群老蠍の鋏はその巨躯故に大抵のものを千切る必要がなく、なおかつそのまま摂食口を地面に寄せれば摂取することが出来るため鋏としての機能はほとんど退化している。開け閉じすることなくそのまま地面に叩きつけて地を均すその鋏は巨大な鉄塊、あるいは巨神の鉄槌のようにも見えるだろう。
新大陸でその生息を確認された帝晶双蠍の鋏は水晶をカットする為の機能と、体内に蓄積した魔力を射出する砲塔としての機能を両立させた形状をしている。これは恐らく帝晶双蠍の生息するシグモニア前線渓谷の構造上、上から下に向けての遠距離攻撃手段を持つ必要があるためと推測される。前線渓谷の下層に生息する生物は水晶を落とすなどの物理的な攻撃では効果が無いのでより「わかりやすく」「当てやすい」攻撃手段を獲得したのだろう。
だが"皇金世代"の鋏はそれら全てと比較してもあまりに異質な形状をしている。その形状はさながら「折りたためる曲剣」とでも言うべき異様な形状をしており、蟷螂のそれに近いが構造的には不動指(鋏の可動時に動かない方)が前腕と一体化し、可動指(物を挟む為に動く方)の可動域が異様に広くなったものと考えられる。人間で言えば親指以外が手首と融合し、異常発達した親指が折りたためるほどに動けると言えば良いだろうか。
その性質は「切断」に特化しており、自身が戦闘に出なければならないような状況に陥った時に確実に敵を滅するという意思が形を成したかの如く"皇金世代"の身体は戦闘に特化した形状となっている。水晶の採取、摂取などに向かない形状であるがこの個体の「特性」を鑑みればそもそも自分で食糧を確保する為に鋏を動かす必要が無い為にこのような極端な形状になったと考えられる。
そして他鉱石の性質を反映されたこの「曲刃鋏」は鍛え上げられた業物となんら遜色のない性質を持っており、単純ながら生物としては異様とも言える切れ味の切断攻撃以外にも折り畳む動作を利用した前肢と曲刃鋏で対象を挟み込むことでギロチンの如く断ち切るなど多彩な攻撃手段に利用することができる。
だが"皇金世代"を語る上で最も重要なのはその尻尾……通称「聖剣」である。
"皇金世代"の「聖剣」とは水晶群蠍、またその系列種が備える毒針が異常発達したものであり、通常は敵性対象に注入することで対象を水晶化する変換液を噴射する為の器官であるそれは帝晶双蠍と同様に変換液の注入という役割を退化させた代わりに異なる機能を備えている。
まず最初に自身が摂取した鉱石の中から特に優れた成分のみを抽出して剣を鍛え上げる機能。これはあくまでも魔力の射出とキャッチに特化した帝晶双蠍とは異なる方針による戦闘への特化であり、"皇金世代"の振るう「聖剣」はまさしく伝説に語られる黄金の聖剣に等しいとまでされている。
次に「聖剣」に空いた微小な孔から滲み出す特殊な分泌液によるコーティング、この分泌液は通常種などが分泌する変換液とは全く別質のものである。この分泌液によってコーティングされた「聖剣」はスイングの際に周囲の魔力を「聖剣」へと付着させ、【マジックエッジ】に似た魔力攻撃として放つ事ができる。尤もその出力は人間が放つそれとは比べ物にならないほど高い。これは「聖剣」自身の運動エネルギーが魔力刃を加速させていると推測され、付着量が蓄積するほどに増していく切れ味もさることながら数百メートル先であっても10秒以内に到達する驚異の速度を持つ。唯一救いがあるとすれば人体を断裂させる程の威力を出す為にはコーティングを何重にもしなければならない事、そしてその威力は「聖剣」が纏う炎のようにも煙のようにも見える光のゆらめきで判別可能という事だろう。
とはいえこれはあくまでも"皇金世代"単体の話であり、水晶群蠍を統べる王としての性質を含めれば"皇金世代"は単なる強力な個体というだけではない。
金晶独蠍"皇金世代"最大の特徴……それは水晶巣崖に存在する水晶群蠍を統率、指揮するというものである。水晶群蠍は人類などとは全く異なる感覚器官によって現象を知覚しているとされているが、"皇金世代"の威光を感知した水晶群蠍は通常の生態とは全く異なる、規律のとれた騎士団の如き動きを取る。
これまでも水晶群蠍の知能が異常発達している事に関しては学者達の間でも様々な説が提唱されていたが、この"皇金世代"が表に出る事なく水晶群蠍達に指示を出していたという説が現在の主流となっている。
具体的な伝達手段としては"皇金世代"が水晶巣崖の水晶体に特殊な魔力波長を伴った衝撃を与える事で水晶巣崖全体、ひいては同質の肉体を持つ水晶群蠍自体に命令を出しているとされている。だがあくまでも体躯そのものは金晶独蠍より一回り大きい程度でしかない"皇金世代"が水晶巣崖全体に伝達するほどの衝撃を生み出すことは困難であり、具体的な原理はより詳細な調査が必要とされている。
一説では"皇金世代"の出現と同時に王の言葉を端々に伝える為の中継点の役割を果たす水晶群蠍「儀仗個体」が水晶巣崖各地に配置されることで遠距離への伝達を可能としているとされる。これは"皇金世代"の出現と同時に「体の一部が異様な発達を見せる水晶群蠍」の目撃情報が存在する為である。
この説が事実であるならば"皇金世代"を頂点に戴き、各地にその言葉を伝える者を置く社会形態はまさしく王と貴族の構図そのものである。
この王を生かす為、水晶群蠍達は本来摂食対象ではない宝石塔を採取して"皇金世代"へと献上する……あるいは豊富な魔力を保有する個体が自らを差し出すなどして己達の皇に献身的な行動を見せる。果たしてこれは"皇金世代"からの命令に抗えぬが故の行動なのか、それともまるで人間のように敬意と献身によるものなのか。それを伺い知ることはできないが、輝ける皇が存在する限り水晶群蠍達は一糸乱れぬ統率を見せ、そして"皇金世代"は種族を脅かす者に対してその剣を振るう。
永く生きた蠍の長をも喰らう様はまさしく王たる証。
より絢爛に、より荘厳に。
聖剣を携え、ただ一つの王が作る未来こそが輝ける黄金の時代なのだ。
シャンフロAIが"皇金世代"をデザインする際に誰を参考にしたのか…………(正解は聖剣を持つプレイヤーと水晶群蠍への野生値が一番高いプレイヤー)(つまり実質サイガ-100とサンラクの………ひ、ヒロインちゃん?)




