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小説の書き方!!私的メモ  作者: 岸田四季
インタビュー
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ヒメノムラサキさんに突撃インタビュー!!

 今回は千四号さんからの推薦で、ヒメノムラサキさんにインタビューしてきました。現在は「イレイザー」シリーズを始め、様々な短編小説を書いていらっしゃる作者さんです。

 作者さんとしてだけでなく、小説を見る目も半端じゃない方です。前に一度小説の感想をもらったことがあるのですが、本当にです。なんだかこっちの考えをすべて読んでいるかのごとくズバズバと言い当てられ、少し怖くなりましたよ(笑)。とは言いますが、別に怖い人ではありませんよ。ウルトラいい人です(笑)。

 それではいつも通りの質問をさせて頂きました。

 あ……そろそろバリュエーションが無くなってきた……。


・今書いている小説を書くようになったきっかけは何ですか?

「今書いている小説」ということは、現在連載中の作品を書き始めたきっかけを書けば宜しいのでしょうか。

 私がイレイザーシリーズを──というより「戦う少女」を書くに至ったのは、ある作品との出会いがきっかけでした。井上雅彦先生が監修するホラーアンソロジーシリーズ『異形コレクション』。その三十六冊目である『進化論』。そこに収録されていた多岐亡羊先生作『バード・オブ・プレイ』こそが、妖怪を題材として扱うこと以外未定だった本シリーズに、戦う少女の要素を加えるに至ったきっかけです。

 それまではいわゆる戦闘美少女モノに然して魅力を感じていなかったのですが、この作品のおかげで「戦う少女にしか出せない恰好良さ」に気が付くことができました。そういった意味では、この出会いがなければ今の拙作はなかったといっても過言ではないのかもしれません。例え同名のシリーズを書いていたところで、活躍するのは女子中学生ではなかったと思います。

 小説そのものを書き始めたきっかけとなると、ちょっと記憶にありませんね。何せ小学校高学年の頃からそれらしきものは書いていましたから。ただ、あの頃は周囲から注目されたいがため、小説の内容よりも挿絵に力を注いでいたような気がします(笑) 私が小説を書いていると知った友だちが、頼んでもいないのに「ぼくのかんがえたさいきょうのわざ」のアイディアをたくさん提供してくれたのも、今では良い思い出です。結局ひとつも使いませんでしたが(笑)


 自分も最近まで「戦う少女」というのがあまり好きじゃありませんでしたが、この間アニメ化したブラック★ロックシューターをきっかけにちょっと好きになりました。確かに少年には出せない少女独特の良さというのがありますね。

「ぼくのかんがえたさいきょうのわざ」はとても見てみたいですね(笑)。


・小説を書くときに心がけていることは何ですか?

 ジャンル上リアリティを要する場合は、キャラクター同士の会話が噛み合い過ぎないよう注意しています。普段自分が友人としている日常会話を回想していただければ嫌でもわかると思いますが、人は案外他人の話を聞いていません(「傾聴」がプロの技術とされているくらいですからよっぽどなのでしょう)。相手が喋っているときは相槌を打ったりしていても、自分の喋る番が来るや相手の話の内容とは何の関係もないことを平気で話していたりします。気が合わない相手とだから話が特別噛み合わないのではなく、気の合う友人という間柄でさえ「これ」なのです。これが、リアルな会話です。

 ジャンル問わずリアリティのある作品を書きたいと考えていらっしゃる方は、特に会話に気を遣って欲しいです。会話が噛み合い過ぎると、ひたすら情報が消費されてゆくのを眺めているような気分になってきますし、結果キャラクターが誰一人物語の進行に支障を来すことなく、一致団結してストーリーを進めてゆくような安っぽい作品になりがちです。

 では、会話をリアルにすることによって生じがちな中弛みはどう処理するのかといいますと、それは貴方が持つ作家としての「武器」で補って下さい。それは人によっては魅力的なキャラクターであったり、豊富な知識であったりするでしょう。短所が全くない作品ではなく、いくつかある短所を長所で補い切れている作品の方が、私は面白いと考えます。 


 キャラクター同士の会話がかみ合いすぎないようにするというのは、すばらしい着眼点ですね。言われてみれば、3人以上いる会話の時って結構話を聞いていなかったりしますね。まあ、さすがに1対1で話している時は聞いていますが、たった1時間前の会話も案外思い出せなかったりしますよね。

 短所がない作品ではなく、長所で補えている作品。まさにその通りだと思います。というより、短所がない作品というのはほぼ不可能だと思います。文句を付けようと思えばいくらでも付けられますからね(笑)。

 それより短所と長所の割合が9:1の自分は一体どうすれば……。


・更新はどのくらいのペースでしていますか?

 ひたすらにマイペースを貫いています。アマチュア作家の特権です(笑)

 多少更新が滞ったとしても、自分が納得のいく作品を提供するというのが私のスタンスです。急くあまり質の悪いものを提供してしまうのは、読んで下さっている方々にも申し訳ないですから。


 自分もアマチュア作家の特権を乱用しまくっています。マイペースが一番ですよ、マイペースが。


・好きな小説は何ですか?(プロでもアマでもかまいません)

 京極夏彦先生の京極堂シリーズ、米澤穂信先生の小市民シリーズ、化野燐先生の人工憑霊蟲猫シリーズからは多大な影響を受けました。ただ、京極先生と化野先生の作品は間違いなく読み手を選ぶでしょうし、米澤先生のそれも人によってはやや苦味が過ぎる青春小説なので、こうして挙げてみると厄介な作品群ですね (笑)

 嶽本野ばら先生や大槻ケンヂ先生の書く作品も好みです。しかし、オーケンは本当に多才だなぁと舌を巻くばかり。

 角川ホラー文庫も作家を問わず参考にさせて頂く機会が多いです。起承転結の枠組みにすら囚われない奇抜な作品が数多くありますので。

 あとエッセイや評論にもよく目を通します。それらは小説と違って書き手の言いたいことがダイレクトに表現されていますから、キャラクターの持つ「思想」を構築する際に大変役立ちます。


 (;_; )おろおろ ( ;_;)おろおろ

 もし訳ありません。全員知りません(泣)。こういうところで知識の浅さが露呈されていってしまうんですよね……。

 エッセイや評論はあまり読まないんですが、確かに書き手としてみると面白そうですね。


・プロットはどのように書いていますか?

 ……プロット書いたことないって言ったら、『小説の書き方!!私的メモ』の偉大な先人たちからお叱りを受けそうですね(笑) 作品の軸となるテーマ、そして緻密なキャラクター設定があれば、私の場合わりと苦もなくストーリーが書けてしまいます。

 テーマに沿ったキャラクターの造形さえしっかりしていれば、物語の着地点は違えど不思議とオチがテーマから逸れないという嬉しい誤算が私の場合よくありますので、拙作はその誤算の連続に助けられているような気がします(笑)

 ちなみに緻密なキャラクターの作り方は質問されたわけではありませんし、書いていたら日が暮れそうなので割愛させて頂きますが、そのキャラクターが個性を持っているか否かを確認する手段なら手軽でいいものがあります。

 複数の登場人物が集合して雑多に話し合うシーンを書いて下さい。ただし、地の文ぬきで。要は台詞のみでキャラクターの個性を、しかも居合わせている他のキャラクターと被ることなく表現して下さい。この際特徴的な口調、語尾を用いるキャラクターの使用は厳禁です。口調と語尾のみで「このキャラは強烈な個性を持っている」と作者自身が錯覚してしまいます故。

 ちなみに、私は手抜きになる恐れを踏まえた上で、作中にいわゆる語尾キャラを使用しないだけであって、語尾キャラそのものを否定してはいません。実際『ローゼンメイデン』のあの娘とか好きですよ? ……あっ、ここカットして下さい。


 プロット書いたことがないってスゴイですね。自分なんて話を組めないどころか、どんな内容か忘れてしまいますよ(泣)。

 自分も語尾が特徴的なキャラクターは使っていませんね。というより、作れません。語尾を考えていると、女キャラで「~ゲス」や男キャラで「~ポン」とかとんでもないものばかり浮かんで、とてもじゃありませんが使用できません(泣)。

 あっ、ひすいちゃ(ry……

 カットで。


・ストーリーはどのように構成しますか?

 前述した通り、テーマと登場キャラクター、必要であれば独自の世界設定を決めたのちは「よしっ、もうお前ら勝手にやれ」状態です(笑) 私の場合、作品を通して言いたいテーマが根底にあるので、そのテーマがブレないオチであれば、事前に予測していたオチとは違えど許容します。

 ただ、私はテーマというものを「伝えたいメッセージ」ではなく「作品の基盤」として利用しています。何かしらの意図があって書かれた作品というのは、伝えたいことの詳細がわからずとも、なんとなく安定して見えるものです。

 この辺りは自身の活動報告でも似たようなことを書いたのですが、小説におけるテーマとは、読者に「伝える」ものではなく「感じ取ってもらう」ものだと私は考えています。明確に伝えたいメッセージがあるのなら、わざわざ小説で書かずとも大人しく評論・エッセイで書けばいいのです。

 そして、テーマがぼんやりとしか把握できないからこそ、読者の深読みという行いが成立し、読者の中で物語は更なる広がりを見せる。深読みという行為は一見馬鹿にされがちですが、あれこそが読書の真骨頂であると私は考えています。読書とは想像力などを鍛える能動的行為であり、情報をひたすらに与えられるだけの受動的行為ではないのです。


「伝える」ではなく「感じ取ってもらう」

 なんか格好いいですね。今度インタビューに答えてくださった方々の名言集でも作ろっかなぁ……。

 確かに明確な何かがあれば論文でも書けばいい話ですよね。曖昧で複雑な何かを感じ取ってもらうのが小説、という理解でよろしいでしょうか?



 ヒメノムラサキさん、ご協力ありがとうございました。

 今回もとても勉強になりました。どこかに書いてあるようなありきたりの内容ではなく、ヒメノムラサキさん自身の考えが聞けて面白かったです。


 次回もお楽しみに!(なるべく更新速度を上げます)

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