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第65話:この後予定…ある?

挿絵(By みてみん)



「あ、きょーたろうくんとりみちゃん!待ってたよー」

 と手を振るまりさん。


「ん?莉未ちゃん?」

「え?莉未さん?」

 まりさんの声に気づき振り向く瑛人と雪弥。


「あれ?麻莉さんと雪弥くん?…なんでここにいるんですか?あ、瑛人くんも居る」



『ん?』

 と3人の頭上に浮かぶ。



「まあ莉未、座ってよ。まりさんも瑛人も雪弥も落ち着いて」


「いや嬌太郎、意味分からねえんだけど」


「いいから座って」

 みんなを座らせ舵を取る。

 こういうのって年長者が仕切るもんなんだけどまりさんじゃ頼りないからなあ。

 チラっと目を配るともう既にスマホをいじっている。

 …まあいいか。


「えーっと、みんな揃ったところでおれの方から紹介していくね」


「え?揃った?どういうこと?」

 雪弥が眉間にしわを寄せる。


「まあ、いいからさ」


 と言うと雪弥は納得いかないと言った顔をしながら座り直す。


「まず、おれが”ロキ”。これはみんなが知っていることだからいいよな」


「ああ、それは知ってるけどよ」

 瑛人も腕を組み納得いかない表情をする。


「次、この人が相馬麻梨さんで、”そまり”さん」


「はーい、そまりでーす」


「え!?麻梨さんが”そまり”さんだったの!?」

 この中でそまりの正体を知らないのは莉未だけだ。


「次に、雪弥が”廃リバー”」


「え!?雪弥くんが”廃リバー”さんだったの!?」

 この中で廃リバーの正体を知らないのも莉未だけだ。


「…でさ、嬌太郎くん。どうして莉未さんがいるの?」



 雪弥がうーん、と首を傾げる。すると莉未がこぶしをギュッと握り立ち上がった。

「わ…私が”mm”なんです!」



 え?と瑛人と雪弥が固まる。


「りみちゃん来てくれてありがとねー」

 まりさんの笑顔で莉未の緊張も少し解けたように見えた。


「…mmって人が莉未ちゃんだったの?」

 瑛人の口からようやく声が出る。


「そういうこと。大丈夫…?瑛人、雪弥」


 瑛人と雪弥がゆっくりと頷く。


「じゃあさ…つまりさ、みんな顔見知りだった…てこと?」

 雪弥は驚きのあまり頭をかかえた。


「あれ?2人とも知らなかったのー?ウチは知ってたよー」


「えーっと…麻梨さんはどうして知ってるんですか?私麻梨さんに打ち明けたことなかったと思うんですけど…」


「え?だってそれはさー、きょー…」


「あああ!なんとなく声で気づいたらしいよ!あははは」

 おれがまりさんに情けない顔して相談したなんて恥ずかしくて言えない。


「ん?そうだっけ?まあいいかー」


「そ、そうなんですね。麻梨さんって鋭いんですね」


 ふぅ…、なんとか誤魔化すことができたか。


「嬌太郎は莉未ちゃんがmmだってこと知ってたんだな」


「ああ、ついこの前の話しだけどね」


「ほほう、よかったな~嬌太郎」

 瑛人がニヤリと笑う。


「え…あ!?なんだよ!」


「別にー、なんでもねえよー」


 こいつ…!


「あの…麻梨さん?なにかありました?さっきから忙しそうにスマホいじってますけど仕事ですか?」

 雪弥が不思議そうにまりさんを見つめている。


「ん?あー、これ?ううん仕事じゃないよー。えーっと…」

 またまた忙しそうにトントンと画面をはじく。


「よーし」


 よーし、ってなんだよ。


「じゃあさ、みんな集まったことだしおれ達も何か飲み物頼もうか」


 隣りの莉未も頷く。


「あ、ちょっと待ってー」

 まりさんが話をさえぎる。


「さっきからなんなの?まりさん」



  ―――― カランカラン


 店の扉が開く音が聞こえ聞き覚えのある元気すぎる声が耳に入る。


「やっほー!みんなー!」

 振り向くと真っ赤な髪に真っ黒な服を身にまとった瑠美が現れた。


「るみちゃーん」


「まりさんありがとです!」


 へ?どうして瑠美ちゃんが?

 まりさんありがと…?


「る、瑠美!?どうしたの!?」


 一番驚いたのは莉未だろう。

 姉なのに何も知らされていなかったようだ。


「どうして、ってみんなが集まるのにあたしだけいないのはおかしいじゃん?」


 オフ会なんだら呼ばれてなくて当然なんだよなあ。

 てかまりさんはどういうつもりで呼んだんだ?

 ふと、まりさんの顔を見ると彼女はニッシッシッと笑っていた。


「それに……雪弥くんも来るって…聞いたから」

 瑠美は下を向きモジモジとした。


「え?僕?…でも僕も瑠美ちゃんが来てくれて嬉しいな」


 そうだった、雪弥もまんざらじゃなかったんだったな。


「今度こそみんな揃った…よね?まりさん」


「うん、始めていいよー、きょーたろうくん」

 いつになく笑顔が眩しいな、よほど楽しみだったのか。


「えーっと、これってなんの集まりなの!?」

 瑠美がみんなの顔をクルクルと見渡す。


 そこから説明かあ…。

 おれ達は瑠美に一通り説明し、来週の生配信の打合せをした。


 ♦


「えーっと、まあこんなところかな?」


「そうだね、ゲームもあの時決めたやつでいいね」

 雪弥が賛同する。


「あとはきょーたろうくん、任せたからねー」


「うん、分かったよ」


 配信は来週土曜の21時から行うことになった。

 瑛人と瑠美ちゃんも参加したいとゴネたが、おれと莉未でなんとか抑えることに成功した。


 時計を見るともう針は17時を回っていた。

 盛り上がっていて時間を忘れていたようだ。


「あー、そういえばさ、今日浜辺でライトアップするイベントがあるって聞いたよー」

 まりさんが思い出したかのようにつぶやいた。


「えー!ほんとですか!?みんなで行きましょうよ!」

 瑠美ちゃんが目をキラキラとさせ立ち上がった。


「いいね、みんなで行こうぜ」

「うん、僕も行こうかな」

 瑛人も雪弥もつられている。


「じゃあみんなで…」


「あーーーーー、ごめん、ウチ仕事入っちゃったー。ごめんだけど誰か手伝ってくれないかなー」

 まりさんが急にスマホを取り出す。


「それならあたしが手伝います!」


「ありがとー、でも重い荷物があるからなー。うーん困ったなー」

 あごに手をあて眉間にしわを寄せる。


「あー、いいっすよ、おれら手伝います。な?嬌太郎、雪弥」


「だな。おれも行くよ、まりさん」

 まりさんの店の勝手を知っているのはおれだからな。


「あ、きょーたろうくんはだめ」


「え?なんで」


「この前クレーム来たんだよねー、あの店員は態度が悪いって」


「そ、そうなの?」

 確かに愛想良くはないけどクレームが来るレベルとは…。


「もう遅いからきみはりみちゃんをちゃんと家まで送り届けなさい」


「え、でも私一人で帰れますよ?」


「いいからいいから、用心棒が居たにこしたことはないよー。ちょっと頼りないけどねー」


 一言余計なんだよな。

「わかったよ、じゃあそっちは任せるよ。瑛人と雪弥、瑠美ちゃん、よろしくね」


 おっけー、と返事をもらいおれ達は店を出て二手に分かれた。


「じゃあ帰ろっか、嬌太郎」

 行こ、と駅の方面に莉未が立つ。


「ああ、うん」

 いや、ちょっと待てよ?

 …浜辺でライトアップ…浜辺で…これってさ……。


「ちょっと待って!あ、あ…あのさ!」

 握りしめた手に汗をかく。


「どうしたの…?」

 莉未がキョトンとする。


「この後さ…なんか予定ある…?」


「え?特にないけど?」


 ドクンドクンと鼓動が早まる。

「…よかったら…に…行かない?」


「ん?どこ?」


「よかったらさ…浜辺行ってみない?」


「…さっき麻梨さんが言ってたやつ?私と?」


「うん、だめかな」


「ううん、誘ってくれて…嬉しい」

 そう言うと莉未は浜辺へ続く道を歩き始めた。





「…行かないの?」

 と振り向いた逆光の中の彼女に鼓動が加速した。







明日投稿するものが最終話となります。

時間がある時でも良いので、読んでいただけると幸いです。


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