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第63話:あの時の約束

挿絵(By みてみん)



mm(みり)さんが集会所に入りました】


(…え?…り、莉未?…来てくれたの…か…?)


 ―――チャット欄 ―――

『誰か入って来たぞ、ここ鍵付きだよな?』

『ん?mm(みり)じゃね?』

『おー、ついにmmきたか!』

『これでやっと進めるな』

『よかったなロキ』

『うぉおおおおおおおぉぉおおおおおぉ』

『ろきみり~』

『最初から呼べばよかったのに』

 ―――チャット欄 ―――


(ここの部屋のパスワードはいつもおれとmmが使っていたもの。つまりここへ入って来たのは莉未本人以外あり得ない。莉未……莉未はおれが”嬌太郎”だと分かっている上で来てくれたんだよな…?)


 ―――チャット欄 ―――

『あれ?通話しないの?』

『せっかく一緒にやるんだからさ』

『ちょうど拠点に戻ってきたところだし繋いだら?』

『mmの声聞きたい』

『mmチャンネル消してたからなあ』

『そういえば消しちゃってたな』

 ―――チャット欄 ―――


「おー、来てくれて助かる!でも通話は難しいんじゃないかなあ」

(平然を装わないと…。通話まではしてくれないだろう。…とりあえず…来てくれて本当に、本当に良かった…)


 ―――チャット欄 ―――

『そうなん?』

『まあ落ち着いたら繋いでくれるんじゃない?』

『ロキの声だけだとなあ…、mmがいることによって成り立ってるようなもんだからな』

『おれは待つ』

 ―――チャット欄 ―――


(…通話なんてなくても来てくれた、それだけでもおれは本当に嬉しい)

「ですね、”いつか”繋いでくれると思うので待ちながら進めましょうか」



  ―――― その後mmの助けもありストーリーがスムーズに進み追加ストーリーのアイス〇ーンに突入するところまで来た。



 ―――チャット欄 ―――

『はっや、やっぱmm最高や』

『mmしか勝たん』

『ロキも頑張って』

『ロキは武器を固定した方がいい』

『ロキは無難に太刀にしたら?』

 ―――チャット欄 ―――


「アドバイスありがと、じゃあ太刀で行きますね」


 ―――チャット欄 ―――

『mm通話はよ』

『ロキの声だけじゃ寂しいんだよなあ』

『そろそろいいんじゃね?繋いでも』

『なんか都合悪い?』

 ―――チャット欄 ―――


(そうなんだよ、都合悪すぎなんだよなあ。…って贅沢言ったらだめだろ)

「ま、まあまあ、今通話の機材トラブルとかあるらしいので」


 ―――チャット欄 ―――

『なら仕方ないか』

『ケンカでもしたんか?』

『あやしー』

『さっきからロキの言動がおかしい』

『いいけどさー』

 ―――チャット欄 ―――


(さすがに誤魔化しが効かなくなってきたか…)

「と…とりあえず進めましょう!」



 ―――― 順調に進みイヴェル〇ーナ戦まで進めたが…。



 ―――チャット欄 ―――

『なんか連携取れなくなってきたな』

『ちぐはぐー』

『通話しろや~』

 ―――チャット欄 ―――


(確かに立ち回りに無駄ができて連携が取れていないか…。以前は通話しながらだったから討伐できたんだったな)

「まー、でも次は大丈夫ですよ!」



 ー♢ー♢ー♢ー通話開始(mm)ー♢ー♢ー♢ー

 〈mmさんがログインしました〉

 ー♢ー♢ー♢ー通話中(mm)ー♢ー♢ー♢ー




「みんなの言う通りですよ、きょ……ロ、ロキは無駄な動きが多くて私合せるの大変でしたよー」




 ―――チャット欄 ―――

『おおおおおおおおおおぉぉぉ』

『mm』

『おかえりー!mm』

『やっぱこの声よ』

『機材直ったんか』

『喧嘩したと思ってたわ』

 ―――チャット欄 ―――


(…え…え!?莉未!?・・・ど、どうして…)

「どうしたの?きょ…じゃなくて…ロキ、早く行くよ」

「え!?あ、はい!」


 ―――チャット欄 ―――

『ロキ陰キャかよ』

『ロキミリいいわあ』

 ―――チャット欄 ―――


「じ…じゃあ行きましょうか…」

「行こうよ、ロキ」

「うん、ありがとう…」



  ―――― 12時間経過…。



「すみません、ホントすみません」


 ―――チャット欄 ―――

『いやまあよく頑張ったよ』

『いいんじゃね?』

『謝らなくていい』

『続きはまた今度よろしく』

 ―――チャット欄 ―――



 おれはアイス〇ーンの中盤過ぎまでプレイし、疲弊した身体に鞭を打つ体力さえなくなっていた。


「で、ではここまでで…ありがとうございました」

「みんなありがとねー」


 ===ロキ配信終===


 配信開始から50時間、ここまで長時間の配信をしたのは初めてだった。

 そしてもうこんなに無謀な配信はしないと心に決めた。



 ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー

『……』

『…えーっと…』

 ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー


 なんて声掛ければいいんだよ。

 そもそも声掛けて大丈夫なのか?

 さっきまで通話してたとはいえ、あれはあくまで”ロキとmm”としてのものだ。


 ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー

『…あの時』

『え?』

『…あの時、約束したよね』

『約束…?』

『忘れちゃった?』

 ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー


 …約束…あの時……あ!


 ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー

『”なにがあっても絶対また一緒にゲームをする”』

『うん…、待っててくれたの…?わざとモン〇ンワールドをして私が来るのを待ってたの?』

『…うん、これならもしかしたら、来てくれるかなって』

『ロキ…じゃないね、嬌太郎は私のことなんでも分かってるね。私のアパートに来ても絶対に会わないって決めてたから』

『だよね』

『……がっかりさせちゃった?私がmmで…』

『がっかりはしなかったけど、びっくりした。何がなんだか分からなかったよ』

『私は今でも信じられないよ』

『…あのさ』

『ん?』

『明日の10時。…あの日約束した場所で会わない?』

『え…?でも学校…』

『1日くらい大丈夫だよ、付き合ってよ』

『………うん、分かった』

『ありがとう、じゃあ約束だよ』

『うん、約束。…じゃあ今日はもう寝るね、おやすみなさい』

『あ、うん…じゃあね』

 ー♢ー♢ー♢ー通話終ー♢ー♢ー♢ー


(会って話さないといけないことがたくさんある…)


 おれは緊張の糸が切れソファに倒れ込み深い眠りについた。


 ♦♢♦


 翌日


 ピピピッピピピッピピピッ……


 ぐがっ…、ん~…。


 ズシンッ!


 イテテ


 ソファから落ち目が覚めた。

 ああ、もう朝か。

 …えーっと今は9時半…ああ9時半ね…9時半…9じは…9時半!?


 寝る直前に8時にセットしておいたスマホのアラームはどうやら1時間半も無駄な仕事をしていたらしい。

 今から準備して出て電車に乗るのが9時50分だとしても街に着くのは10時半前…、うわぁぁぁあ!やばいって!


 おれはバタバタと準備を済まし50分の電車に乗った。


 じっとしていられない…。

 はっ!連絡してないじゃないか!

 肝心なことに気づいたおれはスマホを取出しmmに…じゃなくて莉未にLI〇Eしようとした…が…。



 ―――― LI〇E【莉未】 ――――

  『大丈夫だよ、急がなくていいからね、事故に合われたら嫌だから』

 ―――― LI〇E【莉未】 ――――



 …遅刻を先読みされていたのか。


 ―――― LI〇E【莉未】 ――――

『ごめん!今電車乗ってるから!』

 ―――― LI〇E【莉未】 ――――


 とりあえず返信し、早く着け早く着けとブツブツ言いながら揺れ動く車内をウロウロした。


 ようやく電車が止まり、おれは先日同様に走り、同じ待ち合わせ場所へ向かった。


 そして改札を出て約束の場所へ着いたのだが莉未の姿がない。

 …呆れて帰ったのかな。


「きょ…嬌太郎……」


 え!?ゆっくりと声のする方を向くとあの丸柱のもとに莉未が白いブラウスを着て立っていた。



「莉未…」




 ―――― 二人がここで再会するのは必然だったのかもしれない。





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