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第62話:#ロキ #拡散希望

挿絵(By みてみん)



 PCを起動させた。


 カチッ、カチッ、カチカチッ


 ふぅ………よし…


 ===ロキ生配信===

「こんちにわ、みんないるかな」


 ―――チャット欄 ―――

『お、昼ロキだ~』

『いつよー』

『暇だから来た』

『昼配信って珍しいね、あー土曜だからか』

 ―――チャット欄 ―――


「うんうん、今日は土曜だし配信してみました」


 ―――チャット欄 ―――

『何かやるのー?』

『スマ〇ラじゃん?』

『たまには違うのがいいな』

 ―――チャット欄 ―――


「今日はちょっと決めてることあるので」


 ―――チャット欄 ―――

『なになに』

『おもろいのよろ』

『なに?』

 ―――チャット欄 ―――


「えーっと、モンハ〇ワールド、アイ〇ボーンも含めて全クリするまで寝れません!みたいなことやっていきます」


 ―――チャット欄 ―――

『ん?そのゲームってさ』

『あれ?』

『おいおい』

『ボケたか?』

 ―――チャット欄 ―――


「ボケてないですよー」


 ―――チャット欄 ―――

『いやいや、これコラボ動画で上げてたやん』

『もう見たぞ』

『またやんの??』

『え~』

『そもそもこのゲームってさー』


『これ”mm”と初めてコラボしたゲームじゃん』


『まあ楽しそうにやってたのは分かるけどさー』

『どうせならmmちゃん呼んだらいいじゃん』

『mmとの初コラボのやつかー、ちょっと懐かしい』

『いいんじゃね?mmいなくてもクリアしてみ』

 ―――チャット欄 ―――


(そう、このゲームはmm…莉未と初めてのコラボで題材として選んだゲーム。毎日のようにメッセージで打合せして、緊張しつつも通話しながら撮った思い出のゲーム)

(……この企画の本当の目的は…)


 ―――チャット欄 ―――

『拡散しとこ』

『ロキが朝まで配信するってよ、みたいに』

『ガンガン拡散してくるわ』

『みんなに下手なのバレるよ笑、拡散してきまーす』

『ワイも』

『なんか草』

『mmさんに来てもらえば』

『#ロキ #mm #コラボ みたいな感じか?』

『mmいなきゃ無理だろ』

 ―――チャット欄 ―――


(どんどんどんどん拡散してくれ。莉未にもこの情報を届けてくれ。…そして来てくれるのを待ってる。おれ一人じゃクリアできないのを一番知っているのは裏作業でも一緒にプレイしてた莉未なんだから)

「いやいや、おれ一人でクリアできるから!」


 ―――チャット欄 ―――

『無理やろ』

『まあ待ってろ』

『やせ我慢。mmなら飛んでくるんじゃね?』

『なんならドスジャ〇ラスくらいで来てくれそう』

 ―――チャット欄 ―――


「みんなおれのこと舐めすぎじゃないですかね…まあ、じゃあぼちぼちやっていきましょうか」



  ―――― おれは順調にプケ〇ケ・トビカ〇チ、リオレ〇アを狩っていった。



 ―――チャット欄 ―――

『あら、ロキの割には上手くなってるやん』

『一人で大丈夫なんじゃね?』

『まあこれくらいはソロできないと終わってるけどな』

 ―――チャット欄 ―――


(まずいな…おれ、なんか上手くなってるんだけど…一人で全クリしちゃうんじゃないか?)


 などと過信しているのも束の間、早くもナル〇クルガで躓いてしまった。


 ―――チャット欄 ―――

『やっぱ下手くそで草』

『翻弄されてるやん』

『うわぁ…』

『準備が悪い』

『mmちゃん来ないかなー』

『拡散はしてるんだけどなあ』

『そろそろ気づくんじゃね?』

 ―――チャット欄 ―――


(…やっぱり来てくれないか…。でも諦めるな、最後の最後まで待ち続ける)

「次は勝ちますよ!さっきは飯食い忘れてたんで負けたんですよ」


 その後やっとの思いでナルガ〇ルガを倒し、少しずつ先へ進んでいった。


(莉未……)



 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢


 その頃、莉未はベッドの上で布団を被り縮こまっていた。


(ロキが…嬌太郎…どうして…)

 莉未はあれ以来ずっとその事実を飲み込めずにいた。


(…そういえば前に一度だけロキを嬌太郎なんじゃないかと思ってたことがあったけど…あの時は配信中の嬌太郎と道端でばったり会ったし…)

 以前マイ○ラの回路の組み方と手順が配信とリアルで全く同じであることに疑問を持ち会話の流れでロキを嬌太郎だと断定し、その日のロキの配信で探りを入れようとしていた。

 しかし、配信をしていたのは変声機を使った瑛人でその間買い出しに行っていた嬌太郎に莉未が偶然出会いその疑いは消えた。


(分からないよ…、私どうしたらいいの。もうロキ…嬌太郎に会えないよ、でも一緒にゲーム……楽しかったな)

 莉未の心の中でも嬌太郎と同様に、また一緒にゲームをしたい、コラボしたいという気持ちがあった。

 しかし莉未はどんな顔をして一緒にゲームすればいいのかが分からなかった。


 その時枕元に置いてあったスマホのバイブが鳴った。

 ブルルル、ブルルル。

(さっきからずーっと鳴ってる…LI〇Eとか電話じゃないから無視してたけど…)

 スマホを見て莉未は驚愕した。


(なに…なにこれ!?)


 なんとSNSのメッセージが100件以上も来ていたのだ。


(……最悪。どうせアンチとか悪質なメッセージだろうなあ)

 莉未は面倒くさそうにさらっと見ていくことにした。


(えーっと……ん?……え……なにこれ…ど、どういうこと??)

 メッセージの内容はほとんどが同じようなものだった。



 ―――― SNS【視聴者】――――

『mmちゃん、ロキが配信で困ってるよ!』

『ロキがやべーよ』

『暇だったら行ってあげて』

『ロキがモン〇ン下手過ぎて見てられん』

『mm頼む…』

『ロキの負数えぐすぎ』

『まじで行ってあげて』

 ―――― SNS【視聴者】――――


(え…ロキ…じゃなくて嬌太郎がモン〇ン?どうして?)


 ―――― SNS【視聴者】――――

『コラボ仲間なんだから助けてあげて』

『全クリまで寝ないんだとよ草』

『mmとコラボしてたからあの時はクリアできてたんだよ』

『てか本当はmmのこと待ってるんじゃね?』

『強がってるけど実は…みたいな感じかもよ』

『行ってあげて下さい!』

『つーか生配信コラボ見たいっす』

『ロキミリみたーい』

 ―――― SNS【視聴者】――――


(全クリするまで終わらない…ってそんなの嬌太郎には無理だよ。…あんなに下手なのに)

 莉未は延々と流れてくるメッセージを1通1通読んだ。


(……み、見てみるくらい…いいよね…)

 莉未は恐る恐るロキのチャンネルを開き生配信の動画をタップした。



 ===ロキ生配信===

『はあ…全然勝てない、こいつほんとおれ苦手なんですよね』

『でもまあ次こそは…!』

 ===ロキ生配信===


(…ディアブ〇スだ…それも亜種…。ロキが…じゃなくて嬌太郎だったね、嬌太郎がソロで狩るなんて絶対無理だよ…)


 ===ロキ生配信===

『うっわ…、武器が悪いですね!遠距離…そうだなあ、使いやすいライトボウガンで行ってみます!』

 ===ロキ生配信===


(嬌太郎、ライトボウガンなんて使ったことないくせに…)

(…ほら、また負けちゃった)

(…あー、惜しい!あそこで閃光弾使わないと)

(えー!秘薬くらい持って行きなさいよ!)


 少しだけ見てみようと、と言っていた莉未だが毎回へまをする嬌太郎にじれったくなり、食い入るように配信を見ていた。


(ああ、もう!寝たら爆弾置かないとだめでしょ!)

(私がいたらこんなのすぐに…すぐに…、だめだよ私はもう…)


 一瞬でも一緒に狩りをしたいと思ってしまった自分を責めた。


 ===ロキ生配信===

『はあ…何回負けてるんだろう。流石に一人は無理かもしれませんね…』

 ===ロキ生配信===


(え?…これって…)


 ===ロキ生配信===

『無理っぽいから助っ人呼びますかね』

 ===ロキ生配信===


(助っ人!?…助っ人って…私のこと?)


 ===ロキ生配信===

『えーっと、じゃあちょっと廃リバーさんに連絡してみますね』

 ===ロキ生配信===


(え…!?どうして!?どうして廃リバーさんなの…!?このゲームは…)

(このゲームは……)


 ===ロキ生配信===

『じゃあ今廃リバーさん呼ぶのでちょっと待っててくださいね、えーっと…』






  ―――― 【mmさんが集会所に入りました】







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