第43話:緊張してきた…
ゲームを楽しむ…ってか。
そういえばいつの間にか実況者として数字を稼がなければと焦り、特に気になってもいないのに流行りのゲームに手を出すようになっていたな。
それにここ数日、mmやまりさんのことで行き詰ってゲームをすることさえ苦になっていたんじゃないのか?
…おれが目指していたものはそんなんじゃないよな、好きなゲームをしてそれに対してみんなの反応をみたい…それだけだったはずだ。
登録者数、そんなの気にしなくていいじゃないか。
今は好きなことをしよう、ただただ好きなゲームをする。
…確かにmmやまりさんのことは気になりはするけど一旦その気持ちは置いておいてやりたいことをやろう。
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『おつかれ』
『おつかれ、久しぶりだねロキ、廃リバーさん』
『うん、お疲れ様。ロキくんとmmさんと通話するの久しぶりで緊張するなあ…』
『なんか迷惑かけちゃってごめんね、でも今日からまた本気でやるから』
『おー、ロキ燃えてるねー。私も頑張らないと』
『そういえばロキくんダイヤに上がってたよね?すごいよー!』
『え!?そうなの?ロキすごい!』
『寝ないでやってたからねー、てか普通に面白い。それにmmと約束したしさ』
『え…あ、そうだったね。ありがとうねロキ』
『ううん、こっちこそ刺激もらえてやる気になれたよ』
『よーし、じゃあ3人で優勝目指して頑張ろうね』
『おう!』
『うん!』
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そうだ、今は大会に向けて練習に励まないと。
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それからは毎晩のように3人で集まり何度も立ち回りの確認をし、おれ達は確実に連携プレイが良くなってきているのを感じていた。
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『明後日だね』
『うん、明後日だね。mmさんはその日仕事とか休み?』
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そうか、雪弥にはmmが大学生だってこと言ってなかったな。
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『うん、日曜だから休みだよ』
『よかった、僕も大学休みなんだあ』
『え?廃リバーさんも大学生なの?』
『あー、言い忘れてた。廃リバーも大学生なんだよ』
『へぇ、知らなかったなあ。てかロキは知ってたんだね』
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やべ、雪弥のことを知ってるからつい…。
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『あ、ほら…おれ達仲いいからプライベートの話しもよくしてるんだよー…ははは』
『ふーん、まあそうだよね』
『ロキくんって頭いいのにちょいちょい遅刻するよね』
『遅刻?そんなに連絡取り合ってるの?』
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おい!何言ってんだよ、リアルで同じ大学に通ってるのがバレちまうだろうが。
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『廃が毎日心配して聞いてくるんだよ、それでだよ』
『え?……あ!そ、そうだよ!』
『…あのさ…もしかして』
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やば、バレたか!?
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『付き合ってる…とかじゃないよね……』
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は?
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『え、なんでそうなった?』
『カップルみたいだなって思ってさ…』
『そんなんじゃないって!なあ、ゆk…廃リバー!』
『そうだよ!僕がロキくんみたいな人と付き合うわけないじゃん!』
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雪弥…問題はそこじゃないんだよ…。
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『ならいいんだけど…。ロキがそっちだったらどうしようって思ったよ』
『どういうこと?』
『え!?違う違う!』
『何が違うの』
『なーんでもない!そろそろ寝よっか!明日は早めに合せて遅くならないうちに寝ようね、じゃあおやすみ!』
〈mmさんがログアウトしました〉
『mmさんは何が言いたかったのかな?』
『分からない……、てか雪弥お前ほんと危なっかしすぎるよ』
『ご、ごめんなさい…』
『もういいけどさ、大会中とかは絶対やめてよ、これフリでもなんでもないからなー』
『うん、気をつけるね』
『じゃあおれも寝るよ、また明日な』
『僕も寝るよ、お疲れ様』
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雪弥の天然っぷりにはいつも驚かされるな…。
まあでも3人共みんな同学年で大学生だなんてすごい偶然だよなあ、いつか…いつかオフ会とかしてみたいかもな。
通話を終えた後、射撃訓練場に籠り30分ほど自主練をした。
♦♢♦
大会当日の朝、中高時代ともに帰宅部だったおれは小学校の運動会以来の大会にド緊張していた。
―――― SNS【mm】――――
『今日は頑張ろうね』
―――― SNS【mm】――――
mmだ。
…そうだよな、緊張してる場合じゃないよな。
ずっと練習してきたんだ。
―――― SNS【mm】――――
『おはよ、がんばろうね』
『ロキ緊張してる?』
『全然してないよ』
―――― SNS【mm】――――
…してない、とは言えないよな。
プルプルプル、通話の通知…mmだ。
ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー
『ロキ』
『は、はい!』
『あはは、しっかり緊張してるじゃん』
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ださすぎる…。
ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー
『ちょっとだけだよ…、こういうの慣れてないからさ』
『…大丈夫だよロキ、私が一緒にいるんだから…』
『え?』
『あ!えーっと…、ほら!私も廃リバーさんも一緒に居るから安心してねってこと!』
『あ、うん。そうだよねいつも通り3人でやれば大丈夫だよね』
『そうそう!』
『ありがとね、なんかmmの声聞いたら落ち着いてきたよ』
『…ならよかった…が、頑張ろうね』
『うん!じゃああとで!』
ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー
ありがとう、mm。
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通話を終えた莉未(mm)
(…私…変なこと言ってないよね?…バレちゃったかな?ロキを好きってこと…)
次はロキの緊張をほぐすため通話をしかけた莉未本人が顔を赤くし正常な状態でいられなくなった。
(大丈夫かな…あとで通話した時上手く話せるかな…)
―――― ついに迎えたAP〇X大会当日の朝。莉未は予想だにしない形で緊張を得てしまった。




